彼女の名前は
「キャア~、凄いよ。君。」
危険が去った途端、背中の女の子が、今度は前から
僕に激しく抱き着いてきた。
「・・・・・・」
ヤバイ、近くで見ると僕の中学校の女子とは
別次元の生物かと思えるくらい綺麗な女の子だった。
ニットの白いセーターに高そうなガウンを羽織り、
薄いピンク色の長いスカート姿が決まっている。
僕も健全なる中学二年生男子。煩悩の種が心に・・・・。
不覚にも体が反応して、それがバレる前に、突き放す。
「可愛い~。照れてるのね。助けてくれて、ありがとう。
あいつら、ずっと店内にいる時から、私に付きまとって
困っていたの。私の名前は、季久美。君の名は。」
「ぼ、僕ですか。僕は、駆磨です。」
「へえ~、変わってるね。もしかして、お寺の子。」
「よく、わかりますね。」
「前に、アニメで業って名前の子が出てきたから
調べたんだ。仏教用語でしょ。」
僕は、そのアニメを知らないが、同じ名前の子がいると聞いて
嬉しくなった。
「そう、そう、助けてくれたお礼に、これあげる。」
季久美さんは、これまた高そうなバッグからリボンの着いた
箱を取り出し、僕に差し出したのであった。