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恋するバレンタイン・キック  作者: 三ツ星真言
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僕の通う中学校

 僕が住む町は、はっきり言って山奥の田舎だ。

 市役所と駅があって、コンビニ、レンタルビデオ屋さん、

ファーストフード店などがある市の中心部まで、バスで1時間

かかる。バスの本数も、一日、3本とめっちゃ少ない。

 名前なんか猪鹿町で、嫌になるくらいだ。

 当然、過疎の町で、町民より猪、鹿、猿などの動物の方が

数が多い。あっ、雉もいるわ。うちの中学校に転勤してくる

先生は、朝の短時間で、車の中から、猿、雉を見かけ、学校の

すぐそばの山田さんちの犬、タロウを見て、桃太郎になった

気分を味わうらしい。感動しているのが、不思議だね。

 僕が通っている猪鹿中学校は、全校生徒たったの10人だよ。

 一年生 男子2人、女子1人。三年生男子4人。

 二年生は男子は僕一人で、女子が2人。

 男子が7人、女子が3人で、みんな仲が良いんだけど、先生に

女子が大事にされているというか、女子の権力が強いように思うのは、

僕だけではないように思う。保育所の頃から、そうだった。

 僕にとって、女子はかわいい女の子、守ってあげなければならない

対象ではなく、暴君、女王様にしかすぎなかったんだな。だから、

僕にとって女子は恋愛対象として見ることができなかった。たぶん、

向こうもそうだろう。いつも、昼休み、テレビのドラマや歌番組の

話をして、推しメンの話で盛り上がっている。

 テレビを見ない僕には、全然興味関心のない世界だな。

 僕たち、男子は天気が良ければ、昼休みは校庭でサッカーをして

遊んでいる。雨が降れば、体育館でバスケットボールかな。たまに、

ゲームの話をするけど、スマホもゲームも持っていない僕に気を

遣ってか、すぐに終わる。

 放課後の部活動は、全員、空手部。経済的にもゆとりがない家庭が

多いので、一番安上がりで、個人でもできる安全な競技が選ばれたらしい。

 そのくせ、市には空手部がある中学校は他にないので、いきなり

県大会出場だ。めったに行くことのない県の武道館という大舞台に

立つという経験を積ませてあげたいという先生方の熱い思いらしいが、

僕たちは試合よりも終わってからの自由時間を楽しみにしているんだな。

 だから、もっぱら型稽古が中心で、たまにサンドバックやミットを

叩いたり蹴ったりするけど、組み手をやることはまずない。

 定年間際の校長先生が顧問なんだけど、まったくぬるま湯にドップリ

つかっているような感じの部活動なんだな。楽で、いいけどね。

 そして、その昔から、バレンタインデーの日は、女子は学校にチョコを

持ってきてはいけないという学校の決まりがある。

 もらえない子ともらえる子がいては、何かと問題になるという学校側の

配慮というか、ホワイトデーの三倍返しなどに対する家庭への経済的配慮も

あるという話らしい。毎年、女子から不満の声があがるが、それほどガチでは

ないので、騒ぎには発展しない。男子も、ある意味安心している。

 どっちにせよ、僕には伴天連の祭りだから、関係ありません。

 

 


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