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父親の教え
今回の僕は、等身大の男子中学生で行きたいと思います。
はっきり言って、めっちゃ不器用です。
こんな奴おらんやろ~って言いながらも、最後まで
お付き合い下さい。
人間として、男としての成長を温かく見守ってほしいです。
「いいか、よく聞けよ。
うちはお前も知っている通りお寺で、私もお前も信心深い
仏教徒。御仏に仕える身だ。
この時期に世間を騒がすバレンタインデーなるものは
伴天連、邪悪な異教徒の祭りの日だから、うちには
関係ない。ましてや、悪魔の契約なるチョコをもらった
日には、即刻、地獄へ落ちるか、魂を抜かれゾンビと
なるかのどちらかだ。
だから、もらえなくても気にする必要はない。むしろ、
無事幸いと御仏に感謝するのだ。良いな。」
幼い頃から、住職である父親にいい聞かされてきた僕は、
ずっとそう信じてきた。母親がいない僕は、父親の言葉が
すべてだったから、仕方なかったんだな。
そんな僕も、もう中学2年生になっていた。
そして、また、今年も、その日、バレンタインデーが近づき、
世間が騒ぐ時期となっていたけど、僕にはまったく関係ありません。