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霧の花
あの日のことを今も思い出している
落ちては消える花びらのように
淡く儚い記憶
霧のように音も立てず消えてゆくの…
思い出というひとひらだけの
花びらを残してく
咲き乱れ幻想の光景
まなざしに焼き付けて
夢見心地ひとときの安らぎに揺られながら…
それは浮き世の夢だと現に目覚め霞ゆく心が
また繰り返される恋を曇らせる…
※恋の花乱れて悲しく咲くのなら…
めぐり逢えた日々を今も思い出す
その日を忘れて楽しく生きれてたら
声が枯れるまで泣くこともなかったろうに…
文綴る想い届けることもできず
せめてこの言ノ葉が芽吹いて
花を咲かせられたら…
花咲いた季節縁の下で
待ち焦がれているけど
便りを運ぶ鳥たちも彼の空に消えるだけ
美しく咲けない心はいつも一人きりで待ちぼうけ
無情の恋がまた日々を遠ざける…
恋の花揺られて優しく散るのなら…
手をふりながら見送れたはずなのに
霧に溶けながらかすれて消えていくの…
襖を閉ざして泣くこともなかったろうに…
※
恋の花乱れて悲しく咲くのなら…
恋の花揺られて優しく散るのなら…