表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

under 500

覚えている

頭が貴方を覚えている。


髪が寝癖の形を覚えている。


眉が哀愁を覚えている。


瞼が開く作業を覚えている。


瞳が部屋の色味を覚えている。


耳が目覚まし時計の音を覚えている。


鼻がバラの香りを覚えている。


唇が柔らかい感触を覚えている。


口が喋った言葉を覚えている。


舌がカレーの辛さを覚えている。


頬が火照ったときの熱を覚えている。


顔が空気を覚えている。


首がネックレスの痕を覚えている。


胸が脈の速さを覚えている。


心が濃い出来事を覚えている。


胃が満足感を覚えている。


体がソファの沈み方を覚えている。


服がいくつもの折れ目を覚えている。


胴が密着具合を覚えている。


骨が衝撃を覚えている。


血が興奮を覚えている。


肌が汗の流れた道を覚えている。


肩が布の素材を覚えている。


鞄が贈り物の重さを覚えている。


腕がブランケットの凹凸を覚えている。


肘が床の冷淡さを覚えている。


手が湿り気を覚えている。


指がドアノブの丸さを覚えている。


爪が皮膚の潤いを覚えている。


膝が曲げ伸ばしの動作を覚えている。


脚が歩いてきた道のりを覚えている。


靴が接した砂粒を覚えている。


魂が帰る方向を覚えている。


脳が貴方の名前を覚えていない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 初めましてです。夜雨(よるあめと読みます)と申します。この作品を読んで、いたく感動し、どうしても私の気持ちをあなたに届けたいと、感想文を書かせていただいています。とにかく、これほどまでに簡潔…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ