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尾張の状況

1547年(天文16年)2月下旬 那古野城 織田三郎信長


 斯波義統たちが清州城を出てからひと月ほどが経過した。

 このひと月、清州城の大和守家臣方からこちらに対して特に大きな動きはない。

 半蔵達からの報告によると、あちら側も内部で色々とごたついているようだ。


 大和守はあれから一度だけ、家臣たちに降伏の書状を送った。

 しかしあちらからの反応は芳しくはない。

 清州城では、反弾正忠家としての意見は固まってしまったらしい。

 しかし、その旗頭が中々決まらない様なのだ。


 今までは傀儡とは言え、織田大和守信友があいつらの旗頭として皆を1つにしていた。

 しかしその信友がいなくなり、代わりになる者が見つからないらしい。

 大和守家を纏めていた四家臣にしても、誰が上に立つかで牽制し合っているようだ。


 この動きを鑑み、俺たちは斯波義統にしばらくは動くのを待つようお願いした。

 現在義統や信友は表上、那古野城にはお園さんの療養の為に来ていることになってはいる。

 しかし、実情がそうではないことは少し調べればわかることだ。

 おそらくこのままズルズルと時が過ぎれば、俺たちの周りで動き出す勢力が出てくるだろう。

 特に、泳がせている勘十郎サイドが動き出すのではないかと俺たちは睨んでいる。


 一方国外からの干渉は少ない。

 お隣の三河の方では、一向一揆の動きが少しづつ活発になりつつある。

 ここでガツンと松平が抑え込めれば大したことにはならないだろうが、まぁ無理だろう。

 確か史実では重臣たちの中にも一向宗が何人かいて、そいつらが一向一揆勢に加担してしまったはずだ。

 三河の混乱はおそらくまだまだ続くと思われる。


 北の美濃は、現在斎藤道三が地盤固めに励んでいる。

 史実では息子の義龍に反旗を挙げられ討ち死にした道三だが、そこは俺が少し手を貸してやった。

 というのも、道三が義龍を邪険にしていた主な理由が、義龍自身の病気であったからだ。

 彼の病気はハンセン病。

 そのせいで、発疹や神経症状が出現し、見た目的にも少し醜くなってしまっていた。


 この時代、病の原因なんか分かるはずが無いから、うつらないようとりあえず自分から離しておくことは不自然な話ではない。

 道三と義龍も、その一例と言う訳だ。


 彼の病気は、俺の≪回復≫で完治した。

 あとは仲直りをしてもらうだけだが、まぁ今までのことがある。すぐには無理だろう。

 しかしそこまでは俺も力を貸してやるつもりはない。

 道三自身の頑張りで、親子の仲を取り戻してもらうことにした。

 帰蝶と彼らのやり取りで、少しずつ歩み寄り始めている様子は聞いているから、まぁ大丈夫だろう。


 近江の方からは、特に目立った動きはない。

 間者の類は入り込んではいるようだが、半蔵達がしっかり狩ってくれているおかげで事なきを得ている。

 将軍が動き出せばまた違っては来るんだろうが、今の将軍足利義晴は細川元晴と対立し、近江の朽木に逃げ出しているらしい。

 だからこちらに手出しをしている暇は無いだろうな。


 と言う訳で、残る大きな勢力は国内の岩倉織田家くらいなものだ。

 が、彼らは未だ沈黙を守っている。

 先日一度だけ義統に使者がやって来て、お園さんへのお見舞いの挨拶をして帰った。

 その際、これからも義統に従います的なことを言って帰ったらしいから、今は静観して最後は勝ち馬に乗る気なのかも知れない。

 何というか、したたかな奴らだよな。


 まぁ邪魔をしないのであれば、とりあえずは放置で問題ないだろう。

 先ずは清州の大和守家臣たちと、あわ良くば勘十郎サイドについた老害たちを何とかしよう。

 また親父たちと集まって、これからについて話し合わないといけないな。

 


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