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脱出1

すいません。少し短いです。

1547年(天文16年)1月下旬 清州城 織田三郎信長

 

 斯波や織田大和守の身内を集めさせている間、義統が俺に尋ねてきた。


「弾正忠よ。儂らを城から連れ出した後、我らをどうするつもりじゃ?」


「はっ。当初は斯波様に我弾正忠家を尾張守護代に任じて頂き、その旨を他の織田家へと伝えて頂く予定でございました」


 尾張守護である斯波義統が弾正忠家を尾張守護代に任じてくれれば、名目上は彼を旗頭として親父が尾張を治めることになる。

 そしてもし他の織田家が反抗してきた場合は、守護代の名の下、逆臣として潰してしまうつもりであった。


「しかし、大和守はすでに弾正忠家に下っておる。まぁ大和守だけではあるが」


「はい。ですのでまずはここを無事抜け出したあと、一度那古野に向かい体制を整えましょう。その後、ここ清州の者たちに弾正忠家へ下るよう促していただきます。そして従わぬものは、まとめて潰してしまえばよいかと」


 親父の潰す発言に、大和守の顔が少し引き攣る。

 傀儡とは言え、今まで自分に仕えていた家臣を潰すと言っているのだ。

 そりゃすんなりと受け入れは出来ないだろう。

 が、俺たちも引く気はない。

 親父が大和守の両肩に手を乗せ、しっかりと彼を見据える。


「大和守殿。もし家臣らを討ちとうないと思っておるのであれば、そなたの意地にかけて家臣らを説得なされよ。儂らもここで引くことは有り得ませぬぞ」


 親父の凄みのある声に、大和守がゴクリと喉を鳴らす。

 

「……少し、考えさせてくだされ」


 未だ決意が固まらないのか、はっきりとしない返答をする大和守。

 家臣らの存在が彼にとってどういうものなのか、彼自身も分かっていないのかもしれない。


 親父たちのやり取りを見ていると、半蔵から声が掛る。


「若。お身内の方々、無事揃いましてございまする。」


「そうか、ご苦労。大膳らの様子はどうじゃ?」


「あちら方もこちらの動きに感づき、兵を集めておる様子にございます」


「やはり気づかれたか。まぁ色々とあからさまであったから仕方が無いの」


 これまでのやり取りで、俺たちが何か企んでいたのはバレバレだろう。

 今はまだ直接攻撃してきてはいないが、皆で城から出るとなれば、すんなりはいかないだろうな。


「親父よ、やはりあまり時間はなさそうじゃ。城を出る支度が出来次第すぐに出立いたすとしよう」


「うむ。籠はこちらが用意したものを使えばよい。すぐに支度は出来ようぞ」


「よし。半蔵、忍と迅雷隊に順次≪支援≫を掛けていく。掛けられたものから順に配置につかせよ」


「御意」


 それぞれが出立の支度を整え、城を出ていく準備を整えていく。

 女子供は状況が理解できず困惑しているものもいるが、義統や大和守が簡単に事情を話しなんとか大人しくさせてくれた。

 色々と想定外のこともあったが、なんとか準備は出来そうだ。

 あとは城を無事脱出するだけだが……

まぁやれることはやった。あとはアドリブで乗り切るしかないな。

 

 


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