大望
1544年に変更いたしました。
吉法師11歳です。
「爺よ、色々と聞きたいことがあるのであろう」
少し畏まって爺さんに向かい合う。
「はい」
爺さんも畏まってこちらをみる。
「簡単に言うとだ、わしは記憶の一部を代償とし、神からこの力を賜ったようなのだ」
「な、なんと!! 遂にワシの若が、神からも寵愛を賜るほどに――」
言い回しが危ない気がするが、スルーだスルー。
「う、うむ。でだ、この力について、爺はどうするべきだと考える? 皆に知らせた方が良いと思うか?」
「そうですなぁ……」
爺さんが、うぅむと頭をひねっている。
ふと、爺さんの頭を見ると、先ほど行った【信仰度確認】の表示がまだ残っていた。
そして、青文字の40Pの右横に、新たに白い文字で20Pの表記が。
うん? どういうことだろう。
確かにこのスキルの力を見せるまでは、こんな表示はなかったはずだ。
つまりこれは、スキルの力を見せたことで、または神様云々の下り以降に表示されたことになる。
もしかしてこれも、信仰度を表しているんだろうか。
ステータスを見てみると……
スキル
【神聖魔法】
≪発光≫≪浄化≫≪回復≫≪支援≫
【信仰度確認】
【眷属化】(規定信仰ポイント不足)
【社作成】(規定信仰ポイント不足)
信仰ポイント:20P
新たに表示されたポイント分、信仰ポイントが貯まっている。
やっぱりこれは、最初の40Pとは別物ってことだ。
もしかして、青文字が吉法師自身に対するポイントで、白文字はこのスキルまたは神に対してのポイントってことだろうか。
はっきりしたことは分からんが、とりあえずこれらは別々にカウントされるってことだ。
つまり、このスキルの力で神や神の使徒の名を騙ったとしても、この青文字ポイント自体が上がる可能性は少ないと言う事だよな。
うぅむ、これは安易に力を見せびらかさない方が良いかもしれない。
「爺、わしはこの力、しばらくは隠しておいた方が良いのではないかと考えておる」
「そうですな。若のそのお力は、余りに大きすぎまする。きっと良からぬ奴らに目を付けられ、碌なことにはならんでしょう」
うん、そうだよな。そう言う意味でもこの力は出来るだけ隠しておくべきか。
「しかし、いつまでも隠しておくなど宝の持ち腐れであるのもまた事実。来たるべき時がくれば、この力、遠慮なく使っていくつもりだ」
「そう……ですな」
爺さんは渋々ながらも納得してくれた。
「まずはワシ自身が力を付ける。そして信頼できる味方を、周りから分からんよう徐々に集める。今の尾張は余りに不安定過ぎるからな。目立ってしまうと、すぐに潰されるであろう」
東の今川に北の美濃。尾張内部も盤石とは決して言えない。
遊び惚けているダメな嫡男と思われていたほうが、色々と動きやすそうだ。
「しかしそれでは、家臣の者たちが付いて来ぬのではありませぬか?」
「まぁそれは仕方があるまい。それに、母上はすでにワシの弟である勘十郎を次期当主になどとほざいておるのであろう。それに同調する奴も少なくないと聞く。そんな奴らはこれからの織田には不要じゃ。最後に一掃してしまえば良い」
「なんと。それはあまりに……」
「爺よ。世が乱れてから約100年。この国は病んでしまっておるのだ。ワシはこの国をこの手で救いたい。戦の無い世を作り、この国の人々が飢えや戦に怯えることなく笑顔すごせるような、そんな世界を作りたいのだ。しかしそれを実現するためには、今の現状は余りに柵が多すぎる。ワシはそれらを排除し、天下へと駆けあがりたいのだ」
「天下…」
ちょっと語り過ぎたような気がしないでもないが、これは本心だ。
もしこの力で天下泰平を実現出来たら、どれほど満たされるだろうか。
そして、どうせ天下を統一するのであれば、俺は明るい世界が良い。
きっとその方が楽しそうだ。
「分かりました。この平手、若の大望の実現のため、粉骨砕身尽くさせていただきまする」
頭を下げ、平伏する爺さん。
手がちょっと震えてるな。
嬉しさ、畏れ、緊張……どんなことを想っているんだろう。
出来ればポジティブな思いだといいな。
「うむ。爺よ、これからも頼りにしているぞ」
「ははっ」
まぁ大丈夫か。
なんてったって、俺にはチートが付いてるからね。
平手中務政秀 信仰度
青 40P→45P 白 20P




