半年後 近況(後)
吉法師の年齢にミスがありました。(10歳→11歳)
タイトルの副題を変更致しました。
稲作について一部変更致しました。
ステータスの一部を変更しました。
詳しくは活動報告をご覧ください。
1544年(天文13年) 10月上旬 那古野城 吉法師
親父の次は、兄貴についてだな。そう、俺実は兄がいるんだよ。誰も話に上げないから完全に忘れていたわ。というのも、兄貴は親父の庶子で継承権が無いみたいなんだ。だから俺が嫡男であるには変わりないんだけど、みんななんか俺に遠慮して話題に出さなかったらしい。いやそこは教えてくれよ。確か兄貴って、史実では今川との人質交換で竹千代(史実ではのちの徳川家康)とチェンジされたり、信長に謀反起こしたりする人だよな。うむ、それくらいしか記憶にないや。年は19歳で久秀と同じ年らしく、久秀は兄貴と何度か会ったことがあるらしい。良い人ですよ、だってさ。なんだそのざっくりした評価は。
一応話にもでたし一度会っておきたいと思い、親父に頼んでみた。するとあっさり了承され、那古野城に連れて来てくれた。普段兄貴は古渡城の城下にある屋敷に住んでいるらしい。土地を持たされているわけでも無く、家臣が十人程いるだけ。元服したのも、四年前に親父が松平の安祥城を落とす直前だったらしく、かなり遅め。片や俺は一城の主で、元服前だけど爺を始めとした俺の為に動いてくれる人たちが結構いて、好き勝手させてもらっていて……長男と嫡男でここまで扱いが違うとか、改めてここが戦国の世なのだと感じさせられた。
きっと信長に謀反を起こしたのだって、色々とストレスがたまった結果なんだろうな。俺もやりたいことがあるから嫡男は譲れないけど、出来ればいい環境で過ごしてもらっていい関係を保っていきたい。そんな勝手なことを想いながら、俺は兄貴と対面した。
結果から言うと、兄貴超いい人でした。すまん久秀よ。あれは良い人としか表現出来ないわ。
対面直後こそ少し緊張していたのか固い顔をしていたけど、話していくうちに緊張が解れたのか、柔らかい笑顔で対応してくれた。万千代みたいな偽物の笑顔じゃなくて、本物の優しい微笑みだ。こそっと【信仰度確認】をしてみたら青ポイントが最初から20Pあったから、もしかしたら親父が何か話していたのかもしれない。口の軽い奴め。まぁきっと親父も、俺と兄貴の関係に気を遣っての事なんだろうけどさ。
俺はこの兄貴とはやっぱり敵対したくないなと思い、彼に俺の傍について欲しいと頼んでみた。つい前世の癖で頭を下げて頼んでしまい、親父も兄貴も少し驚いていたな。戦国のルール的に例え長男に対してであっても、嫡男が他の兄弟に頭を下げるのはよろしくないらしいからさ。
でもそのおかげもあってか、兄貴は俺の頼みを聞き入れてくれたんだ。親父も表には出さないようにしていたが、何だか嬉しそうな顔してたな。
それからしばらくして兄貴は那古野城に移り住み、今では俺の傍付きをしてくれている。俺の能力についてももちろん教えて、今ではよく久秀と三人で稽古をしている。≪支援≫の練習もな。
あとは、信仰ポイントについてだな。俺のスキルを見せて神の存在を伝えると、【信仰度確認】で白ポイントが表示される。この時大概の奴は20Pなんだけど、お道ちゃんみたいに高ポイントの人もいれば、半蔵達みたいに低ポイントの奴もいる。ただ、半蔵達は八兵衛からの又聞きのせいかもしれないから、一応除外しておこう。
それでこの白ポイントなんだけど、こちらからアクションを起こしていないと徐々に下がっていく場合が多いことが分かった。アクションというのは、主にスキルの使用だな。そしてこの白ポイントの低下が特に激しいのが、三バカたち。三バカ達と会う時はいつも吉法師軍団や他の奴らが一緒にいるから、最初に会った時以外でスキルは使用していない。すると、この半年で勝三郎と万千代は10Pと少しに低下し、犬千代に至っては3Pにまで落ち込んだ。青Pの方は特に低下は見られないから、多分これはあいつらの中で神に対する認識が薄れていってしまっているせいだと考えた。
逆に、お道ちゃんの白ポイントは少し上がって37P。お道ちゃんは耳の治療の後からとても活発になり、あの村に時々顔を出してはまだ調子が戻らない老人たちの介抱をしたり、薬をあげたりしているらしい。きっと彼女の信心が深いから、白ポイントが上がったのではないかと思うんだけど……
俺が言っている『神』って、とても漠然としているんだよな。日本の神道では八百万の神々がいると言われているし、仏教では仏に至っていない存在として神という言葉が使われることがある。キリスト教は唯一神だけど、対してこの国、神が多過ぎなんだよ。多分お道ちゃんも、健康や豊作の神様辺りだと思っているんではないだろうか。
お道ちゃんみたいに自分で解釈して信仰を持続できる人は良いんだけど、彼女みたいな存在はきっと稀だろう。苦しみが深ければ深い程、その苦しみから解放された時の喜びは大きいけど、そんな深い苦しみを持っている人なんてそれほど多くはない。大概の人は、少しの喜びを感じその時は感謝をしても、その内その感情も薄れていってしまう。だから白ポイントを持続させ更に上げていくために、具体的な『神名』や『教え』が必要なのかもしれない。
とは言っても、それをすると敵が増えちゃうんだよなぁ。神道には具体的な教えは無いみたいだけど、俺が掲げる教えによっては南蛮みたいに神道を否定することになっちゃうかもだし。仏教に至っては、神を信仰するのは余りよろしくないみたいだし……その辺りをどうするか、一度お道ちゃんと相談してみるか。
さてその信仰ポイントについてだが、この半年間で徐々に溜まり、やっと十万ポイントにまで至った。一日当たり三千ポイントくらいは集めるようにはしているんだけど、その分使っちゃうんだよね。忍びの訓練もそうだけど、俺の普段の生活にも欠かせないんだ。特に≪浄化≫。この時代、食べ物や水って寄生虫が多いって聞いたことがあるけど、実際そうみたいでさ。だから何かを口にする時でスキルを使える時は、極力使うようにしている。他にも服とか布団とか、身近なものには大体≪浄化≫を掛けてしまっている。便利なんだよな、≪浄化≫。
このポイントの集まりの悪さもどうにかしないと、戦争なんかでは役に立たないだろうと頭を悩ませてた。しかしつい先日ステータスに変化が生じ、その悩み解決へ道筋が示されたんだ。
スキル
【神聖魔法】
≪発光≫≪浄化≫≪回復≫≪支援≫
【信仰度確認】
【眷属化】(規定信仰ポイント不足)
【社作成】
≪社(小)≫ 発光(小)・回復(白ポイント1割使用)・浄化(白ポイント1割使用)・信仰ポイント回収 New‼
≪社(中)≫(規定信仰ポイント不足)
≪社(大)≫(規定信仰ポイント不足)
信仰ポイント:100,206P
遂に【社作成】が解放されたました!
今までステータスブックを眺めても信仰ポイントの増減しか変化がなかったから、新たな展開にちょっとテンションが上がってしまった。しかも説明がちょっと具体的だ。
社がどういう形かは分からないけど、きっとここに書かれている回復や浄化の効果があるんだろう。それよりも注目すべきは信仰ポイントの回収だよな。これひょっとして、今まで泣く泣く放置してきたあの村の信仰ポイントも回収できるんじゃないか? 俺があの村に行くにはお社様として駕籠を必要で目立ってしまうから、今まで避けてたんだよ。でもこれでそれも解決出来るかも!!
よし、そうと決まれば早速あの村に向かうとしよう。丁度収穫祭に誘われているんだ。その時に一緒に社を作れば盛り上がるだろうさ。
あぁ、早くみんなの驚く顔が見てみたいなぁ。
織田三郎五郎信広 信仰度
青 20P→28P 白 20P




