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プロローグ

プロローグのみ三人称。あとは一人称。

1544年(天文13年)


 とある田舎の武家屋敷。その広い庭で一際大きな存在感を放ち聳え立つ、一本の松の木が植えられておりました。そんな立派な木の枝に、まるでそこが己の居場所であると言わんばかりに佇む一人の少年。


「若! またそんな高い所に登って……危険ではありませぬか。早く下りて来てくだされ!」


 そんな少年を見上げながら、一人の初老の男性が早く下りる様にと声を張り上げております。男性は焦ったように声を荒げるも、その声にはどこか呆れも含まれており、少年の常日頃の行いがうかがい知れます。しかし少年はそんな男性の声を気にも留めず、木の上から見える広大な眺めを堪能していたのでした。


「かっかっか、また爺が何か言うておるわ。こんないい眺めが見られるんじゃ。少々の危険を冒すくらいなんともなかろうに」


 男性からの注意を飄々と受け流しているこの傲岸不遜な態度をとる少年。彼の名を吉法師、史実では後に織田信長と呼ばれるはずであった少年でございます。そう、この時までは。


「はぁ、まああまり爺を放っておくと後の説教が長くなるからの。そろそろ下りてやるか――」


と、少年が木から降りようと立ち上がったその瞬間。雲一つない晴天の空が、まるで雷でも落ちたかのように真っ白に発光したのです。


「――っ!?」


 急な光に思わず目を眩ませ、バランスを崩す少年。慌てて近くの枝や幹に手をかけようとしました。が、未だはっきりとしない視界のためか、掴もうとしたその手は空を切ってしまいます。そしてそのまま地面へと投げ出され……





「なんじゃ今の光は……天変地異の前触れか? ……はッ!! 若っ、しっかりして下され! 若ーー!!」



 1544年、天文13年4月。この日、世界が一瞬真っ白な光に包み込まれました。この光こそが、これから始まる全ての物語の始まりであったのです。


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