表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/151

第七十九話 リフレクト

 「あぶない!!」


 アマツが咄嗟に前に出て、ファイアウォールを展開する。

 そのおかげでビームはその壁に阻まれ、アマツたちに当たることはなかった。


 「お、ナイス」


 サラが微笑みを浮かべながら言う。


 「あ、ありがとうござます!」


 彼は一礼する。


 「......我ノ、ビームヲ、防グトハ」


 そのロボットのような容姿をしたエネミーは、これまたロボットのような片言で喋り始める。


 「我の名ハ、リフレクト。クローバーノ、手下」

 「やっぱ、ロボットじゃないんですか、あの人?」


 アリアスが、リフレクトをエネミーと言い切ったサラに問う。


 「......いや、エネミーだ、その筈だ」


 サラは少し言葉を詰まらせながらも改めて断言する。


 「そんなことはどっちでも良いです、あのエネミーをやっつけましょう!」


 アマツがそういい放ちつつ、右腕に炎を宿そうとすると、


 「まてーい!!」


 図太い声が上がる。

 なにかと思い、後ろを向くと、図体のでかい、小太りの中年男が前を歩いていた。

 上級戦士の一人である。


 「そこの小僧、俺様にそのエネミーを譲ってくれよ」


 男はアマツの目の前まで歩み寄る。

 目立ちたがりやか? と思いつつも、


 「いいっすけど......」


 彼はその男に譲る。


 「へへっ、聞き分けが良いじゃねえか!」


 男は悪どく笑うと、背中の大剣を抜き取る。

 そに剣は見るからに重そうな、ずっしりとした剣である。


 「この剣は鋼鉄もあっという間に斬れる名刀だ! 切れないものはないぜ!」


 彼はそういうと、大剣を引きずりながらリフレクトに向かって走っていく。

 しかし、そのエネミーは避けるような動作は全くしない。


 (なんだ、なんで避けない......?)


 アマツは疑問に思ったのだが、それはすぐ解かれることとなる


 「一刀両断っ!!」


 男はリフレクトの前で剣を振りかぶると、そのまま床から垂直に振り下ろす。

 すると、アマツが聞こえたのは斬ったときの鈍い音ではなく、剣を防いだような、金属音が聞こえた。


 「剣を防いでいる......!?」


 アマツが見ると、リフレクトの前には、網を張り巡らせたかのようなバリアが展開されていた。

 

 「なにぃ!?」


 男は目を見開く。

 そのバリアで自分の剣をこうも容易くブロックされたのだから。


 「愚カ者メ......」


 リフレクトはそう言うと、バリア越しからビームを男に放つ。

 ビームはバリアをすり抜け、男の少し出た腹に当たる。


 「うごっ」


 男はビームの勢いで吹っ飛ぶ。

 その着地点は、丁度アマツの頭上である。


 「うおっ!?」


 アマツは咄嗟にその着地点から逃げた直後に男はそこに倒れた。


 「うえ......いでえ......」


 男は肥えた腹を押さえながらうめき声を上げる。


 「ああもう情けない!」


 その様子を見かねたアリアスが今度は向かう。


 「おい!」


 アマツが止めようとするが、その時はもうすでにリフレクトの目の前で飛びあがっていた。


 「何がバリアよ! そんなの消し炭にしてあげるわ!」


 よほど腕の改良に自信があったのか、彼女はそう豪語するが、アマツはとてもそんなことができるようには思えない。


 「インシネレーション!!」


 彼女はインシネレーションを放った。

 やはり改良前と比べると威力が大きく、それが一目でわかる。

 だけど、それでも、あのバリアが破られるような気がしない。


 「無理だ......」


 アマツがその言葉を発したのと同時に、アリアスのインシネレーションの放射が終了した。

 案の定であった、床や壁は真っ黒に焦げているのにも関わらず、リフレクトと、そいつが立っていた床は全く焦げていない。


 「くっ......!」


 彼女がその悔しさをかみしめていると、、今度はリフレクトがビームで反撃に出る。

 彼女はそれをかわすと、今度は鉄拳をリフレクトに喰らわすも、やはりバリアに防がれる。


 「アリアス!」


 アリアスが攻撃を半ば自棄に攻撃しているのを見るに耐えられなくなったアマツは走ってアリアスのもとへ行く。

 しかしその途中、リフレクトが出現させた光の剣によって、彼女の右手が吹き飛んで行くのが見えた。


 「!!」


 義手であるとはいえ、ショッキングな光景である。

 そして彼女の顔の一寸にも満たない距離に、リフレクトの剣が突き付けられていた。


 「あ......」


 アリアスはすくんでいるのか、動くことはない。


 (逃げろアリアス! 動け!!)


 そしてアマツは、怯えている彼女のもとへと全速力で走る。


 「死ネ」


 リフレクトがその剣を振りかぶったとき、


 「やめろっ!!」


 アマツがアリアスを庇うようにして抱きいた。

 そして、サラ達がいるさっきの場所へ戻ろうと床を蹴った時、背中に衝撃が走る。


 「ッ......!!」


 おそらく剣で斬られたか。

 しかし彼はそれを食いしばり、急いでその場所へと急ぐ。


 「はぁ......!!」


 最後は滑り込むようにして倒れた。

 彼女を抱いて。


 「......」


 アリアスはアマツの懐から抜け出す。


 「あ、アリアス、大丈夫か......」

 「え、ええ、大丈夫......」


 彼女は彼の顔を見ずにそう言う。

 顔を少し赤らめながら。


 「ああ、良かった......いてて」


 気を抜いたら背中が急に痛んできた。

 背中を見ると、そこからは血がにじんでいるのが分かった。

 幸い、それは浅かった。


 「フン、取リ逃ガシタカ」


 リフレクトは光の剣を消滅させる。

 

 「マアイイ、今カラ纏マテ皆殺シ――」

 「っとここで最終兵器登場!」


 リフレクトの言葉の最後に被せるようにしてそう言い放ったのは、サラである。

 彼女はボロボロのアマツたちの前に立ちはだかる。


 「......いいよね?」


 彼女はアマツに問う。

 彼女を動かすのはアマツたちじゃ本当に太刀打ちができない時のみと、会長に言われていた。

 ――今がその時だ。


 「......はい」


 彼は少し間をおいて答える。

 するとサラはニコッとしながらリフレクトのほうを向く。


 「......大丈夫、絶対に生きて帰すから、全員」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ