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第七話 初仕事はサソリ退治!?

 T市のある場所。

 彼は、一人もいない町を、ワイシャツ姿で駆けていく

 エネミーが暴れる音がする。


 「あそこだな、エネミーは」


 アマツははじめての仕事に少しワクワクさせながら言った。

 

 アマツは辺りを見回したが、廃墟になったかのように、人気が無かった。

 エネミーが暴れる場所に近づくと、段々と壊れている建物をみかけるようになった。

 人の死体はまだ見つからない。

 全員逃げ切ったのだろうか。


 段々と戦う音が大きくなっていく。


 と、雷が落ちたような音がした。


 「!」


 アマツはその音に聞き覚えがあった。


 と、アマツの目の前に光線が走った。

 それに触れた建物が木っ端微塵に吹き飛ぶ。


 「うわ!?」


 建物が倒れたことにより出た粉塵が、アマツの視界を遮る。

 そしてその粉塵から、雷を落としたような音を出したであろう張本人のシルエットが見えた。


 「ちっ、固すぎる......」


 彼はエネミーに苦戦しているようだった。

 粉塵が段々と薄れてきて、声の主の姿が見えた。


 無精髭を生やした、金髪のおじさんだ。

 アマツはこの人を少し昔、見たことあった。


 彼はアマツの方を


 「あ、小僧、お前はあの新人だな! お前も一緒に戦え!」


 アマツの噂は他の戦士たちにも知られているようだった。

 「あなたって確か......ジュールさんでしたっけ?」

 「ああそうだ、よく知ってるじゃないか! 俺こそが、ジュール・プレット、上級戦士だ!」


 彼は自信を持って言った。


 アマツは数ヵ月前、彼が戦っているのを見たことがあった。

 その時は危なげなくエネミーを倒していたが、今回はきつそうだった。


 と、どすんどすんとエネミーが歩く音がした。


 そのエネミーは、サソリのような、2本の鋏と6本の足があり、先端が尖った尻尾、そして全身を外骨格で覆っている。


 「シュゥゥゥ......」


 サソリようなエネミーは口から蒸気を出しながら息を吐いた。


 「こいつ、俺の技が効かねぇんだ」

 「そんなの、俺の炎で一発っす!」


 アマツは右手に炎を出した。


 「消し炭になりやがれ!!」


 アマツはそう言うと、エネミーに向けてファースト・ファイアを打ち出した。

 その炎はサソリを覆った。

 かなりの威力だ。


 「どうだ!? ダメージぐらいは与えられるか!?」


 アマツは攻撃をやめた。

 煙で包まれて、エネミーがどうなったのかはわからない。

 

 「こりゃあすげえ、試験だけで上級戦士に入っただけはあるぜ......だが......」


 煙が吹き飛んだかと思うと、そこにはアマツが攻撃したエネミーがいた。

 そのエネミーに傷はほとんどついていなかった。


 「え......嘘だろ......」


 アマツはショックを受けた。

 これでも全力を出した筈なのに。


 「やっぱりだめか。なんて体してやがる......」

 

 ジュールが厳しい顔をしていると、エネミーが金切り声をあげた。


 「キィィィィィィィィィィィィィィ!!」


 エネミーは彼らに対して怒ったようだ。


 「うお、うるせ!?」


 アマツ達は、あまりの不快音に耳を塞いだ。

 そしてエネミーは鋏を開けると、何かをチャージし始めた。


 「おい小僧! 避けろ!!」

 

 ジュールがそういった瞬間、その鋏から、光線が放たれた。

 アマツ達は飛び込むようにして避けた。

 その光線は、アマツの後ろにあるビルを貫通させると、その後ろのビルで爆発した。

 飛行機が墜落したかのような爆音をあげts。


 「な、なんだあの威力......」


 アマツはその圧倒的な力に萎縮してしまった。

 自分の渾身の必殺技も効かない、攻撃力も自分よりも高い。

 あんな奴に勝てるのだろうか......


 と、ジュールが立ち上がった


 「なにじっとしてるんだ! 戦うぞ!」

 「は、はい......」


 アマツは重たそうに立ち上がった。


 (逃げたい......)


 アマツはそう思っていたが、ジュールは全く臆していない。


 「小僧、あいつには絶対弱点があるはずだ! 弱点を探せ!」


 ジュールはそう言ってエネミーに向かって行った。


 (逃げるのは無理と言うことか......)


 アマツもエネミーに攻撃しはじめた。


 「キィィィィィィィィィィィィィィ!!」


 エネミーが再び奇声をあげると、尻尾を振り回し始めた。

 その尻尾がコンクリート製の建物に当たると、その当たった部分が砕けた。


 「ほ、本当に弱点はあるんですか?」

 「分からんが、とにかく探せ!」


 と、ジュールは電気のようなもので出来た玉を出し、サソリに投げつけた。

 アマツも、火柱を出して攻撃をする。

 が、どれもこれもエネミーには効かなかった。


 「はぁ、はぁ」


 とアマツが疲弊していると、エネミーに鋏で身体を掴まれてしまった。


 「ぐわ、し、しまった!」


 少しずつアマツの腹が締まっていく。

 それにつれて痛みも増してきた。


 その時、ジュールがエネミーの後ろに回って、ジャンプをした。


 「小僧を、離せ!」


 そして、エネミーの上に雷を落とした。

 すると、


 「キィィィ」


 とエネミーが声をだした。

 どうやら怯んだようだ。

 怯んだエネミーは、鋏でつかんでいたアマツを離した。


 「痛ぇ!」


 アマツは尻を叩きつけた。


 「小僧! 奴の弱点がわかった!」


 ジュールはエネミーを挟んでニヤリと笑った。


 「奴の背中の甲羅に何故か穴がある。そこを狙って攻撃しろ! これがお前の記念すべき一体目のエネミーだ!!」

 「わかりました!!」


 エネミーがジュールに向かって攻撃をしはじめた。


 「ほらほら、こいよぉ!」


 ジュールが挑発をしながらエネミーの攻撃をかわしていく。


 その隙に、アマツがエネミーの後ろに回り込み、背中の上に乗った。

 そのことに気付いたエネミーが暴れだした。


 「く、この!!」


 アマツが、エネミーの、甲羅の間にある穴に向かって、炎を吹き出した。


 すると、エネミーの鋏から、アマツが出した炎が吹き出した。


 「ギ、ギイイイイイイイイイ!?」


 エネミーは、目からも炎を出し、間も無く力尽きた。


 「ふう......な、なんとか勝てたか......」


 アマツはがくりと地面に座り込んだ。


 「おお小僧、良い戦いっぷりだったな。そう言えば、名前は何だったっけ?」

 「赤城アマツです」

 「アマツか、お前もT市にすんでるのか? だったら今後も共闘するだろうな。よろしく!」


 と、ジュールが右手を差し出した。


 「はい!!」


 アマツはその右手をがっちりと握った。

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