表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/151

第五十四話 P市南部攻略作戦その2: 病院にて

 「インシネレーション」


 アリアスはクローバーのメンバーの頭をインシネレーションで吹き飛ばした。


 「くそっ!」


 ほかのメンバーが銃を向けてきた。

 アリアスは背を向けている状態だ。

 ここからよけようとしても少なからず被弾するだろう。


 するとアリアスは、即座に脚を上げ、かかとで銃を蹴り飛ばした。


 「腕だけだと思わないで!」


 すると、アリアスは肘からブーストを発動させ、その勢いを利用して無防備になったメンバーの頭部を殴りつけた。

 

 「ブーストパンチ!」


 メンバーの頭はへこみ、そのまま倒れた。

 そして、ほかのメンバーからの攻撃に対応できるよう、構えようとしていたら、いつの間にかメンバーは全員倒されていた。


 (え、もう?)


 と、不審に思った。

 人数は結構いたはずだが......。


 「......よし、ここらへんのクローバーは殲滅したか」


 すると、剣を鞘に納めるアシュリーの姿が見えた。

 このメンバーのほとんどは、彼が仕留めたのだろう。


 (さすがNo.6......)


 と、アリアスは感心していると、


 「健全な奴は負傷した奴を担げ、このまま目的地の病院へ運ぶ」


 と、アシュリーは班員に指示を出した。


 「おい、お前もだ」


 と、アシュリーから負傷した男性を渡された。

 その男は足を怪我している。


 「あ、はい......」


 アリアスは少し不服に思いながらも、その男性の肩を持ちながら病院へ運んだ。


 ※ ※ ※


 15分ほど経ち、やっと病院についた。

 

 「しかし、汚いわね......知ってたけど」


 まさに廃病院である。

 外壁はツタで大半がおおわれており、中もボロボロである。


 「よし、とりあえず病室に行くぞ」


 アシュリーはエントランスで負傷者に対する手当てをするように指示をする。

 アリアスは男や数人の戦士と一緒に1階の病室へ向かった。

 

 「......ここはホラー映画のロケ地かな?」


 当然電気は点いていないし、植物のツタが内部にまで侵入している。

 2人の負傷者を含めた戦士の一人がアシュリーに渡された懐中電灯を点けて、部屋の中を照らすが、この雰囲気がホラー映画でよくある廃墟の探検シーンを彷彿とさせる。


 少しして、病室のドアの前に着いた。

 やはり、ドアは汚れている。


 「全く、室内がどうなっているのか想像できるわ」


 アリアスが先を思いやられていると、他の戦士がスライド式の扉を開けた。


 「あれ......」


 室内を見ると、多少の汚れこそあるものの、植物が占領している様子はなく、6つほど置かれているベッドは想像してたよりも綺麗で、十分に一夜を過ごせる環境であった。


 「なんだ、綺麗じゃん」


 いい意味で期待を裏切られた。

 アリアスは安心する。

 アリアスらは負傷者をベッドに降ろす。


 「ああ、すまねぇ......」

 「ええ、大丈夫よ」


 すると、病室に一人現れた。


 「すみません、医療器具を持ってきました」


 背中に剣を携えた一人の下級戦士、柊琳ひいらぎりんが、医療器具を持ってきた。

 彼女は、戦闘能力は下級戦士の中でも平均程だが、医学知識に長けており、今回も衛生兵として参加している。


 「では、そちらの方の治療をさせていただきますね」

 「ええ、いいわよ」


 すると、その戦士はアリアスが担いでいた戦士に対しての手当を始めた。


 「なるほど、右足に被弾したんですね」


 そして彼女は、右足に埋まっている弾丸を取り出し始めた。


 「麻酔無いんでちょっと痛いですよ」

 「う、うああ......!」


 男は顔をしかめて痛みを紛らわせながら悶えている。


 「あ、ありましたね。浅くて良かったです」


 琳は十分前後で弾を摘出した。

 そして、そこを包帯で巻いた。


 「ふう、これで、包帯を巻いたらとりあえずは安心ですね。あとは安全が確認されれば別の医療機関の方が病院へ搬送してくれるはずなので、そこで治療すれば完治できるかと思います」

 「あ、ありがとう......」


 応急手当てをされた男は感謝する。


 「さて、次の患者さん」


 と、次の負傷者のところへ移動した。


 「ああ、右腕を貫かれた感じですか......」


 と、手当を始めた。


 「......なんでその技術を持っているの?」


 アリアスがおもむろに彼女に質問した。


 「ええ、うちの祖父が戦争時代の時、衛生兵を務めていましてね、その祖父に感化されて身に着けたというか......」


 琳は手当に汗を流しながらこの技術を手に入れた理由を話す。


 「最初、医者になろうと思っていたんですけどね。ある日、私の友人がエネミーに殺されてですね。その友人のような人を一人でも増やしたくはないと思いまして、ディフェンサーズに入隊することを決意したんですよ」

 「うん」


 アリアスは頷く。


 「私、体力もそこそこある自信があったんですけど、いざ入ってみたら、なかなかエネミーを討伐できなくて......ディフェンサーズを甘く見てたって感じですよね」


 と、彼女は苦笑いをする。


 「まあ、エネミーを直接討伐はできてなくても、こんな重要な作戦でこうやって活躍できているので、結構満足ですけどね。はい、終わりましたよ」


 彼女の話が終わるのと同時に、彼女の手当も終わった。


 「では、私は別の場所で手当てをしなければいけないので」


 と、琳は退室していった。

 

 「はぁ、ああいう活躍の仕方もあるのねぇ」


 アリアスはそういって、ベッドに倒れこんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ