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第三十七話 久しぶりな友人との会話

 「お前、最近人殺しをやってるんだって?」


 十郎はスーパーで買ってきたコロッケを食べながら言う。


 「人聞きを悪いことを言うんじゃねえよ。警察の代わりに仕事してやってるんだよ」


 アマツは『人殺し』という言葉を不快に思いながら言う。


 「で、感想は?」

 「最初は抵抗あったけど......慣れたな」


 アマツは、クローバーの構成員で人間であるエルドンを殺すことに抵抗があった。

 しかし、慣れというものは恐ろしいもので、以降、彼はクローバーの人間を倒すことに抵抗は無くなった。


 「人殺しって慣れるものなのか?」

 「多分......あ、そうだ」


 すると、アマツは冷蔵庫の方に向かい始めた。

 そして、彼が取り出したものは、ラム酒だ。


 「ラム酒!? なんでそんな高いものを」

 「へへ、ちょっと買ってみた」


 と、ラム酒を掲げる。


 「どうだ、勝負をしないか? 一気飲みの」


 と、ラム酒をテーブルに置くと、今度は小さいロックグラスを2つ持ってきた。


 「お前いつからそんな酒飲みになったんだよ」

 「結構前からそうだっただろ」


 アマツは十郎の意見も聞かず、ラム酒を注ぎ始めた。


 「そういえば俺、明日銀行いくし」

 「なんで?」

 「クローバーと戦うためだよ......あ」


 アマツはしまったと思った。

 なぜなら、この作戦は一般人には決して漏らしてはいけないと役員に言われていたからだ。


 作戦名「クローバー殲滅戦」


 明日、3区の東京銀行にて、クローバーによる襲撃が起こる。

 この襲撃作戦はクローバー関係者のみに伝えられた情報だったのだが、あるメンバーがディフェンサーズの攻撃にあった際、に命と引き換えにその情報を吐き出した。

 これにより、東京銀行の職員や金などをあらかじめ避難させ、ディフェンサーズはその襲撃が起こる日に、準備万端の状態でクローバーとの戦いに臨むことができる。

 また、クローバー側も襲撃後のディフェンサーズの攻撃に対抗するために、、幹部級のメンバーも参加するという情報も入っている。

 なので、、多数の下級戦士および上級戦士に加えて、ナンバーズも数人送り込むということになっており、大激戦が予想される。

 作戦名の通りこのディフェンサーズの目的は、『東京銀行防衛』ではなく、『クローバーに打撃を与える』であり、建物の損害は考えない。

 

 

 「やばい、これいっちゃいけないんだったわ」

 「何やってんだよ......まあ俺は誰にも言わないから安心しろ」


 と、無表情でサムズアップをする十郎。


 「絶対言うだろお前」

 「いやいや、言わないって! 友人を信頼できねえのか?」


 十郎は焦った様子で両手を左右に振る。


 「できないな」

 「ひでえな......」

 

 と、十郎がっくりとする。


 「ま、そんなことはおいといて」


 アマツはラム酒が入ったグラスを持つ。


 「どっちが早く飲めるか、勝負だ!」

 「はぁ、分かったよ」


 十郎は気が乗っていないようだが、仕方ないと言った様子でグラスを持つ。


 「よーい......始め!」


 とアマツが合図をすると、2人同時に飲み始めた。


 「......ふぅ」


 先に飲み終えたのはアマツだ。


 「ゲホッゲホッ!!」


 と、むせているのは十郎。


 「俺の勝ちだな」

 「くぅ~、なんて度の高さだ。喉が焼ける......」


 と、喉を押さえる。


 「アマツ、良くそんなの飲めるな......」

 「俺もこんな簡単に飲めるとは思ってなかったわ」


 アマツはははっと笑う。


 「それじゃあ、もう一回するか」

 「はぁ!? もう無理だって!」


 十郎が怒った態度を見せる。

 アマツは冗談でいったつもりだったが、そこまで怒るとは思っていなかった。


 「冗談だって、やめるよ!」


 と、苦笑いをする。


 「全く、こんなの何回もやってたらアル中で死んじまうぜ......」


 十郎はグラスを自分のところから離した。

 

 「はぁ......俺らがこうやって酒を飲むのも最後になるかもしれないな」

 「それ、何回目だよ」

 「泣かないの?」

 「俺は喉の痛みで泣きそうだよ」


 十郎が呆れているような顔をアマツに見せる。


 「......でも、今回も死ぬなよ?」

 「当たり前だ!」


 そして、二人はタッチを交わした。

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