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第三十四話 無効化

 三人は、エントランスの階段を降りている。

 コツンコツンという音が壁にこだまさせている。


 彼女が光が見える方向を見ると、そこには壊され、床に倒れているドア。

 そして、その張本人と見られる人物が、逆光を受けながら立っていた。

 

 「......貴方がデュル・クレバーね」


 ミカはその人物に確認をする。


 「ああ、そうだ」


 彼の声はかすれている。


 ミカは階段を降りきると、その近くにある電気スイッチを付けた。

 天井のシャンデリアが光出すと、デュルを覆っていた逆光も消え、彼の姿が見えた。

 逆立った髪に鋭く小さい目、口からは舌を少し出しており、お世辞にも品があるとは言えない。


 「あれがデュル......」


 メアリーは恐怖なのか不気味なのか、ミカの後ろに隠れるようにする。


 「まあ、このレヴェリッジ家にはとても似合わないわね」


 ミカはデュルの品の無さを遠回しに指摘する。


 「ウヒヒ、ミカ・レヴェリッジか。お前を抹殺する」

 「奇遇ね、私もちょうど貴方を地獄に落とせと上から指令が来たところでね」


 両者はそれぞれ睨み合うと、


 「さあ、やるなら裏の庭で闘いましょう?」

 「望むところだ、ヒヒッ」


 ※ ※ ※


 ミカの豪邸の裏には広大な庭が広がっている。

 M市の町はずれにあるこの土地は広く、東京ドーム2個分より少し大きいくらいの広さだ。

 その庭で、二人の人物が対峙している。


 「先に行っていくが、俺はお前を抹殺するためだけにここに来た。その二人は俺の邪魔をしない限り俺も気概は加えん」

 「私の側近および妹に対する気遣い、心から感謝を申し上げるわ」


 ミカは真っ白なドレスの端を持ちデュルに一礼する。

 するち、彼女らの遠くにいる暁の隣にいるメアリーが不安そうにミカを見ているのが見えた。

 ミカは彼女のほうを向くと、少し笑って、再びデュルのほうを向く。


 「さあ、始めようか......」


 デュルは指をポキポキと鳴らす。


 「貴方からかかってきてもいいわよ」


 彼女の言葉に遠慮することなく、デュルは彼女に拳を浴びせようとする。

 しかし、彼女はそれを光の壁でガードすると、彼の背後から輪を発生させ、ビームを二発撃った。


 「うごぉ......」


 彼がよろめくと、すぐさま後ろに回り、ビームを放射する。

 しかし、彼もスピードが速く、そのビームをことごとく避けられる。


 (早い!)


 彼女はそのスピードに驚かされる。

 彼の攻撃を一回も喰らっちゃだめだ。

 喰らった瞬間、自分の負けは決まるようなものだ。

 彼女は、彼のスピードを見て、自分は今不利な状況に立たされているということを思い知らされた。


 「ヒヒヒッ!」


 デュルは品のない笑顔と声を出しながら、彼女に迫る。


 「やばい!」


 彼女は焦りながらも、壁を出してその攻撃を対処しつつ、ビームを出して彼を攻撃する。

 だが、やはりそれも彼は避ける。


 (もっとビームを出さないと!)


  彼相手に長期戦は危険、早めに片づけなければと思った彼女はより大量の輪を出現させて、彼に襲い掛かる。

 

 「ぬわっ!?」


 さすがの彼も、これだけ高密度の攻撃はすべては避けられない。

 一方の彼女も、攻撃のしすぎで、疲労が溜まっている。


 デュルは一旦距離を置き、態勢を立て直す。


 「ウヒヒ、なかなか強いじゃないか、さすがは、No.3と言ったところか?」


 デュルは長い舌を垂らしながら言う。

 

 「それはどうも」


 と、デュルの後ろに光の輪が現れる。


 「!?」


 デュルは不意を突かれた。

 輪から放たれるビームは、避けることはできず、被弾する。


 「くっ!」


 彼がよろめくと、ミカは大量のビームを彼に浴びせた。

 その弾幕は激しく、辺りは煙に包まれる。


 「はぁ......これだけやれば......」


 ミカは息を切らせながら、デュルを殺ったという確信を持った。

 しかし、彼は倒れることはなかった。

 煙幕に紛ながら、彼女の前に登場したのだ。


 「は!?」


 ミカは驚きで言葉が漏れた。


 (しまった!!)


 彼女はビームをデュルに放つが、それをしゃがんで避けられた。

 その直後、彼女の腹がデュルの足で上に蹴られた。

 その腹に大きな衝撃が走り、体が宙に浮いた。

 

 「がはっ!?」


 ミカは口から血を吐き、それは空中に撒き散らされる。

 彼女は空中に浮いたまま、痛みで頭が真っ白になった。

 そして再び、頭と背中に衝撃が走る。


 「ぐっ......!」


 視界が霞み、頭痛で考えることもできない。

 少しすると、視界は正常に見えるようになり、頭痛も直った。 

 彼女が体をゆっくり上げると、デュルがミカに近寄ってきているのが分かった。

 そして彼は、下卑た笑いでこう言った。


 「ゲームオーバーだ、ウヒヒヒ......」

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