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第十九話 ピエロのマルク その2

 アマツ達は大魔王ペソの幹部、マルクと戦っていた。

 最初こそマルクに押されていたものの、アマツが森林の木でマルクを下敷きにして、一気に風をアマツ側に吹かせた。

 が、マルクが出現させた黒い物質によって、形勢は逆転されようとしていた。


 「何を出してるんだ?」

 「ヒャヒャヒャ、それはこれからのお楽しみだ......」


 マルクは下敷きになりながら不敵な笑みを浮かべている。


 その黒い物質は、大きくなり、それは渦を巻いている。


 「く、来る......巨大なビームか?」


 アマツとアリアスは身構えて、その物質からの攻撃に備えている。


 「くらえ、ブラックホール!!」


 マルクがそう言うと、渦の回転が急激に速くなり、風を吸い込んでいく。

 

 「ブ、ブラックホール!?」


 ブラックホールは、マルクが下敷きにしていた木をも飲み込んでいった。

 アマツ達はここから逃れようとするが、ブラックホールの吸引力があまりにも大きく、


 「い、うわあああ!?」


 ほどなくして吸い込まれてしまった。

 

 そのブラックホールは真っ暗。

 どこを見渡しても黒以外のものが見えない。

 その周りにアリアスや木もいるんだろが、それも分からない。


 アマツは声を出そうと口をモゴモゴと動かす。

 が、何故かそれは開かない。

 体を動かそうとするも、それも叶わない。


 「ヒャヒャヒャ!!」


 聞き慣れた声がどこからか聞こえてきた。


 「どうだ、ブラックホールに入った気分は?」


 マルクは馬鹿にするように言う。


 (くそっ、あいつめ......)


 アマツはあ言い返したかったが、やはり声を出せない。


 「さあ、俺を痛めた仕返しだ! たっぷりと味わうがいい!!」


 と、マルクが言うと、突然腹に銃弾で撃ち抜かれたかのような激痛が走った。


 「――!!」


 アマツはその激痛に顔が歪んだ。

 しかし、やはり声はあげられない。


 「ヒャヒャヒャ、どうだ、痛いか? この空間では俺様が生き物の痛覚を操作することが出来るのだ! 例えば、ここも......」


 と、マルクが言った直後、今度は頭にハンマーで殴られたような痛みが走った。


 「――!! ――!!」


 この激痛をもがいたり声に出したりして紛らわすことができないのが、更にアマツを苦しめる。


 「そろそろ良いだろうな、これは俺の体力も使うからな」


 マルクがそう言うと、アマツは外に放り出された。


 「うがっ!!」


 彼やアリアスははじめじめとした地面に落ちた。

 ブラックホール内での痛みが、まだ続いている。

 アリアスも苦しそうにしている。

 彼女も同じような痛みを受けたということがアマツには分かった。


 すると、アマツの所にブラックホールに吸い込まれた木が飛んで来る。

 アマツはそれが目に入っていた。

 だが、それを瞬時に避けるようなちからは残されていない。


  (潰される......!)


 万事休すかと思われたその時、木はアマツの目の前で止まり、その場に落ちた。

 それを防いだと思われる、アマツの前に立っていたのは、Tシャツ姿の男。

 そう、恭介だった。


 「やっぱり、レベル5程のエネミーに普通の上級戦士じゃ無理か......」

 

 恭介のほとんど開いていないまぶたから辛うじて見える黒目は、輝ガラスが反射しているかのように輝いている。


 「な、なんだお前! 関係ないんじゃないのかぁ!?」

 「さあ、なんのことやら?」


 彼はそういうと一瞬でマルクの目の前に近づき、首を掴んだ。


 「ぐへぇ!?」

 「俺がこの戦いに介入できる条件が整った。今からお前を排除する」


 恭介はマルクを空中に放り投げると、彼は空中を跳び、かかと落としを喰らわせた。

 マルクが地面に叩きつけられると、恭介のアッパーが一発。

 そして顔面膝蹴りをし、腹にけりを一発入れ、木に激突させた。


 「ぐ、ぐぐぐ......!?」


 マルクは木にめり込んだまま、抜けなくなってしまった。

 さっきまでボーっとして、お世辞にも強そうな雰囲気が出てるとは言えなかった恭介が、いざ戦闘をすると、ナンバーズかと思うような迫力がアマツには感じられた。


 「うーん......」


 恭介がこのままとどめを刺すかとアマツは思っていたが、腕を組んで考え事をしている。


 (何をしているんだ?)


 とアマツが思っていると、恭介はこういった。


 「......そうだ、お前らがとどめを刺せよ」


 アマツは予想外の言葉に「え」と言葉が漏れた。


 「せっかくあそこまで追い詰めたんだ、最後はお前らで倒せよ」

 「じゃあ、お言葉に甘えて」


 アリアスは立ち上がると、残っている左手をマルクにかざした。


 「アマツ、やるわよ」


 アリアスの言葉に押されて、アマツも立ち上がった。


 「......分かった!」


 アマツは、アリアスに並ぶようにしてマルクの前に立ち、右手を出した。


 「アリアス、燃料は大丈夫か?」

 「ええ、まだ余裕はあるわ」


 彼らは、とどめを刺すための技をチャージし始めた。


 「や、やめてくれ! 助けてくれぇ!!」

 「命乞いなんて聞くもんか!!」


 アマツはマルクの言葉を一蹴すると、彼らは同時に技を発動した。


 「ファースト・ファイア!!」

 「インシネレーション!!」


 彼らの技は、マルクのはまっていた木を吹き飛ばし、さらにその奥の数十本の木も倒した。

 その跡は黒く焦げて、マルクは彼らの技によって塵になっているはずだ。


 「はぁ、はぁ......」


 二人は息を切らしていた。


 「......やった、あいつを倒したぞ!!」


 アマツは両手を空に突き上げて喜ぶ。

 アリアスは顔の汗をぬぐった。


 「お、やったか」


 恭介はいつも通りのゆるゆるのオーラを出しながら言った。


 「いや、恭介さんのおかげですよ」

 「俺は、ちょっと手助けをしただけだよ」


 恭介の上唇が少し上がった。


 「まあ、とりあえず私達の戦いはおわったわね」

 「ああ、だけど、まだ親玉がいるんだよな......」


 アマツは、遠くに見える建物を見ながら言った。


 「まあ、あの人たちなら......ナンバーズならきっと倒してくれるだろうな」


 恭介がそう言うと3人は、その森林を後にした。

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