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第十四話 大魔王の軍を追い払おう! その3

 No.17 安倍泰昌

 No.16 笠置要

 No.15 笠置麗美

 No.13 黒山マルオ


 戦士の中でも桁外れに強力なナンバーズの内のの四人がこの戦場に現れたとき、誰もが人類の勝利を確信した。

 しかし、鎧を纏った怪物で、この軍団の親玉である大魔王「ペソ」が現れたとき、状況は一変した。


 ペソとナンバーズの戦いは、たった10秒のうちにNo.17とNo.13を戦闘不能に陥れてしまった。

 

 「な、なんなんだ、この化け物は......?」


 要は呆然としていた。

 勝利ムードでナンバーズに声援を送っていた戦士たちは一瞬にして静まり返っていた。


 「お、俺らも終わりだ......もうすぐ死ぬ......」


 戦士の中からそういったネガティブな言葉が聞こえた。


 「なんでだ......なんでナンバーズがこんな一瞬で倒れるんだよ......」


 ジュールが発したその声は、少し震えていた。

 だけどアマツは、きっとなにかが起こると、証拠にも無いことを思っていた。

 

 だれかが小さい声で喋りだした。


 「ぶ、ぶぅ......」


 アマツの目の前には、メガネが割れたマルオが倒れていた。


 「マ、マルオさん......」

 「ぶ、ぶぅ......つ、強すぎるぶぅ......」


 彼はぶひぶひと息をしながら言った。


 「もうむりぶぅ......笠置姉妹も敵わないぶぅ......」


 しかし、赤と白の服を来た笠置姉妹は諦めなかった。


 「だけどレミ姉......あたいらがここで引き下がるわけにはいかないよな......」


 要はペソの放った爆風を伴う攻撃によって飛ばされた炎のやりを再び出現させた。


 「そうね。ここで逃げたらナンバーズの名を汚すことになる......それに、「No.4」が来るらしいじゃない。それまで私たちが少しでも周りの被害を減らす!」


 麗美がそういうと、彼女らは再びペソに攻撃し始めた。


 「No.4......No.4が来るのか!?」


 戦士の一人が叫んだ。


 「なら、まだ望みはある! がんばれ笠置姉妹!!」


 辺りからは再び声援が出始めた。


 「やったぞアマツ! これで彼女たちが耐えてくれたら、俺らは生き残れるかもしれない!」

 「な、No.4っていってました......?」

 「そうだ、あの人はとても強い! あの4人のナンバーズが束になってかかっても敵わないくらいの実力を持ってるんだぞ!」


 真顔だったアマツは、にやっと笑みがこぼれた。


 (やっぱり何かが起こるんだ!)


 「今は......あの人たちに願うしかないな......」


 ジュールはそう言った。


 「その鎧、剥がしてやる!!」


 要が槍を振り被ると、ペソに対して槍を叩きつけた。

 ペソがそれを剣で受け止めていると、麗美の光弾の雨が降り掛かった。

 しかしそれでも、鎧は光沢を出し続けている。


 「なによあの鎧、鉄ならぼろぼろになっているはずなのに......!」


 すると、ペソは麗美に向かって掌を向けると、そこからエネルギー波を放った。

 麗美の前に要が現れ、それを炎の壁で防いだ。


 「レミ姉、これ持たないな......」

 「取り敢えず、私達に意識を向けさせるのよ。上級戦士達には手を出させないように」

 「了解!」

 

 そうやって、要が高速で麗美の元を離れた直後、彼女はペソに体を手で捕まれてしまった。


 「うぐ......!?」


 ペソはその手に力を入れると、要の口から血が出てきた。

 彼女は声を出して悶えていた。


「要!」


 麗美は弾をペソに放とうとしたが、ペソは要を彼女に向けた。

 彼女は要を巻き込んで攻撃はできまいと、弾の発射を躊躇った。


 「は......離せ!!」


 要は血を吐きながらも、今度は炎を剣の形にさせて腕に攻撃をした。

 だがやはり、その鎧は傷一つつかない。

 

 ペソは、彼女を地面に叩きつけた。

 彼女の頬には血がついており、もう誰が見ても意識を保つのがやっとな状態だった。


 「か、要ちゃん!!」


 マルオが首を起こしながら彼女に声をかけた。

 しかし、彼女から出た声は、


 「う......ゴホッ」


 という苦しそうな声だった。


 「ふ......人間とは脆いもんだな」


 ペソは要を嘲笑うかのように言った。


 「よ......よくも!!」


 麗美は怒りの形相を浮かべながら弾幕を浴びせたが、その弾幕を突き抜けて、ペソのエネルギー波が彼女を直撃した。

 彼女は何の動きもせず、落ちて行く。

 気絶している。


 「ぜ、全滅した......」


 その時アマツが見たものは、無惨にも破れ去っていく、自分よりも遥かに強いナンバーズ。

 それと彼らを倒した大魔王、ペソ。


 「さて、ここらを焼き払ってしまうか......」


 ペソが発したその声は、戦士たちを絶望させた。

 この声が耳に飛んできたとき、アマツの頭には、「死」の一文字が浮かび上がってきた。

 もうすぐあいつの掃除が始まる。

 自分を含めた、ここにいる全員の戦士の息の根を止める。


 (もうすぐ死ぬんだな......俺って)


 彼は思った。


 「アマツ......ホントに短い間だったな......」


 ジュールも死を覚悟した様子で言った。


 (これが戦士の宿命なんだろうな......そう言えば、入隊当時は死なんて考えてなかったなぁ)


 アマツは入隊当時のことを振り返った。


 (なんか......あっけなかったな、俺の人生)


 しかし、そのネガティブな思考がアマツに憑いているのも束の間だった。

 落ちてくる麗美を何者かが飛びながら抱えた。

 そしてその人は、純白の翼を羽ばたかせながら、ゆっくりと降りてきた。


 彼女はまさに、この惨状を救いに来た『天使』であった。

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