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第百二六話 白い敵 その1

超久々に主人公の登場です。

 「アマツ、聞いてくれよ」

 「え?」


 アマツの家に上がりこんだ友人の十郎が、自らの愚痴を聞いてくれるように求める。


 「なんだ」

 「俺んとこの上司がうるさくてさぁ、もう嫌だよぉ」

 「おう、酔ってるな」


 十郎は酒のせいで顔を真っ赤にしている。

 飲んだ缶ビールは......2つだが、アマツはその程度ではあそこまで酷く酔わない。

 おっさんのごとく愚痴を薄友人を少々痛々しく思いながらも、彼をなだめる。


 「まぁ、会社ってそんなもんだろ」

 「アマツんところは?」

 「俺は......まあ、一応上の人には敬語は使っているけど、そんな厳しくないかな。むしろ使ってほしくないっていう人もいるぐらいだし」


 その『敬語を使ってほしくない』という人とは、サナである。

 いろんな意味で特殊である。


 「いいよなぁ、俺もそこに入りたかった......」

 「いや、そんな実力あるの? ......あ、今更だけど、髪染めた?」

 「お、良く気づいたな!」


 十郎の神が黒から茶色に変わったことに今気づいた。

 そこまで大きな変化はない。


 「なんで?」

 「気分転換だよ気分転換」

 「そうか......そうだ、ちょっとエネミーの出現情報でも見ようかな」


アマツは形態を取り出して、ディフェンサーズのページへ進む。


 (今は23区のシェルターに乗り込んでるんだっけ......)


 と思いながら、エネミーの出現情報を見てみると、予想だにしなかった光景が目に飛び込む。


 「はっ!?」


 と思わずアマツの口から出てきた。

 その東京のマップの中で、エネミー出現中のを表す「×」印がついている区域の数が、異常なまでに多い。

 大半の区に、最低一つは印がついている。

 しかも更新したら、ここP市にも、印が......。


 「どしたアマツ? 目を見開いて......」

 「すまん、ちょっと行ってくる!!」

 「え、おい!?」


 十郎の呼びかけにも答えず、急いで外を飛び出した。

 さっきのマップの位置のところに、急いで向かう。


 (一体どうなってるんだ!? まさか、地下のやつらが......)


 警報が響き渡り始めた頃、懐の携帯が小刻みに揺れたので、手にとる。

 ディフェンサーズからだ。


 「はい!」

 『アマツ君か、さっき君の周辺にもエネミーが現れた!』

 「分かってます、今そこへ向かってます!!」


 と言うと、さっさと電話を切った。

 電話からでも、役員の焦り具合がうかがえた。

 やはり相当の事態らしい。


 少しすると騒ぎが聞こえてきた、その場所に到着したのだ。

 そこに行くと、アリアスがもうすでにそのエネミー等と戦っていた。


 「アマツ!」

 「アリアス、これは一体」

 「見ての通り、エネミーと、多分あの『召喚人』と、十数体」

 「召喚人っててことは、やっぱり......」

 「多分ね。もうすでに私が何体か倒したけど......」

 


 アリアスの言っていた通り、荒れた車道にはエネミーと、黒いフードを被ったのがいる。

 そしてもう一人、黒ではなく、白のフードで体を隠している人がいる。

 周りがダークな色合いなだけに、かなり目立っている。


 「キェェェェ!!」


 エネミーが複数体、こちらに一斉に突撃してきた。


 「来るか」


 アマツはその群れに手をかざすと、そこから豪快に火を吐き出す。

 エネミーの一部は巻き込まれて、必死にその炎を消し払おうともがいている。

 それでも、それを避けた敵たちは怯まずに向かってくる。


 「行くか」

 「もちろん」


 アマツとアリアスは、二人で手分けして相手を始末する。

 順調にエネミーと召喚人を倒していく中で、あの白いフードは一歩も動いていないし、こちらに襲ってくるような素振りも見せない。

 こちらの様子をじっと観察しているように見える。


 (なんか不気味だな......)


 不意に襲ってこないかと彼のことを意識していたがそんなことはなく、結局何も起こらないまま他の敵を倒しきった。


 「さて、残るは......」


 アマツとアリアスが彼を見ると、まったく動かなかった彼はついに声を出した。


 「フッフッフ......素晴らしい、無駄の少ない動きで手下を、しかも傷も無いとは」


 低くて鋭い声だ。

 それを聞いただけでもかなりの強さを持つだろうと確信するアマツ。


 「......お前は、一体――」


 彼の名を聞こうとした瞬間、目の前に白い物体がアニメのコマをすっ飛ばしたかのような勢いで目前まで迫ってきていた。

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