表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/151

第九話 狐耳はいいぞ。 その2

 「はぁ、はぁ、げ、限界だぁ......」


 アマツはフリッズを背負ってT市の隣のD市に来ていた。


 「ファイトファイト~、途中までタクシーで移動したんだからね、戦士ならこれくらい楽勝でしょ?」

 「く......戦士は皆が皆力が強いわけじゃ無いんだぞ!」


 アマツの心臓は苦しくなるぐらい心拍数が上昇していた。

 傘を打ちつけるような雨は、アマツ達が外を出たときには止んでいた。

 その雨がたまった道を、アマツは息を切らしながらエネミーの方に向かっている。


 「こ、こんなんじゃ、戦いなんて出来ねぇ......」


 アマツが弱音を吐いていると、エネミーと思われる生物が現れた。


 「ん、あれがエネミー?」

 「た、多分あれだな......」


 アマツはゼェゼェと呼吸しながらいった。

 そのエネミーは、蛇のようで、頭が5つぐらいに分かれている。

 そのうちの一頭は、誰かをくわえている。

 あれは......戦士だろうか。


 「やべっ」


 彼は、休む間も無くエネミーに突っ走り、足から炎を出し、エネミーに蹴りを入れた。

 エネミーは悲鳴をあげると、くわえていた人を離した。


 「が、がはっ!」


 その人は口から血を吐き出した。


 「おい、大丈夫か!?」

 「あ、ああ、助かった......」


 男はぐったりした様子で言った。


 「お前も戦士なのか?」

 「そうだ......お、俺はもう戦えねぇ、が、頑張ってくれ......」

 「わ、分かった!」


 と、アマツは立ち上がった。


 「さあかかってこい!!」


 アマツが威勢よく言うと、その言葉が分かったのか、直後にエネミーが襲ってきた。

 エネミーの5つの頭が一斉に彼に突撃してきた。

 アマツはそれをファイアーウォールで防御した。


 エネミーの頭は彼によって築かれた炎の壁によって弾かれると、今度は後ろに回り込んできた。

 アマツはそれも防ぐ。

 

 そしてアマツは横に振り向くと、目を輝かせて応援しているフリッズが目に入った。


 「頑張れ~♡」


 その美声がアマツの耳を触った。

 

 「......あいつに恥ずかしい姿見せて堪るか!」


 奮起したアマツは、エネミーの頭に向かって火炎を放射した。

 5つの頭のうちの2つは巻き込まれたが他の3つはそれを回避し、再び彼に向かっていった。


 「くそっ!」


 アマツは自分の周りに炎の壁を築いた。

 エネミーは止めること無く炎の壁に頭突きをしていく。


 時間が経つにつれ、アマツは疲労が蓄積され、この状態を維持する事が難しくなっていった。


 「く、このままじゃ......」


 アマツは歯を食い縛りながら炎の壁を保っているが、もう持ちそうに無い。

 一方のエネミーは、疲れる様子はなく、隙を見せず何度も頭を打ち付けている。


 そして彼は、とうとう壁の厚さが薄れていくのを感じた。


 「も、もう......」


 と、その時、


 「ギャアアアアアアアアア!!」


 と、エネミーの悲鳴が聞こえた。

 同時に、壁に対する頭突きも収まった。

 アマツがファイアーウォールをやめ、エネミーの様子を見ると、5つの頭のうちの3つが血を出しながら、下に垂れている。


 「え、え? な、何が......」


 アマツはなぜエネミーが苦しんでるのか理解出来なかった。


 「ず、頭突きのしすぎで気を失ったのか......? いや、いまはそんなこと考えている暇はない! これがチャンスだっ!!」


 彼は、すぐさま炎を手に出した。


 「死ねええええ!!」


 アマツが叫んで、ファースト・ファイアを撃ち込んだ。

 エネミーの残り2つの頭もその激しく燃え盛る炎の前になすすべが無かった。


 「はぁ~危機一髪だったな......」

 「キャー、すごーい!」


 フリッズが拍手をした。


 「へぇ~、私を背負って息切れしたときは先が思いやられたけど、さすがディフェンサーズね!」

 「いやいや、それほどでも......」


 アマツは後頭部を掻いた。


 「私、満足したわ。じゃ、もう家に帰るね」

 「あ、もう? フードは?」

 「ああ、もう面倒臭いからあげる」

 (この人、以外とずぼら......?)

 「そうか......じゃあな」

 「うん! じゃあね!」


 フリッズは満面の笑みを見せると、エネミーの死体がある所へ去っていった。


 「......あ、この人気絶してる! 早く救急車を......!」


※ ※ ※


 (あれが、赤城アマツ、か......)


 と、死んだ筈のエネミーが、彼女を襲った。

 まだ頭がいつ生き残っていたのだ。


 「あ、知ってるわよ?」


 と、彼女が言うと、地面から木の根の様なものが飛び出してきた。

 その根は、そのエネミーの頭を貫いた。

 そしてその根は、すぐさま引っ込んでいった。


 「エネミーが死んでるかどうか分からないところ、まだまだひよっこなのねぇ......」


 彼女は溜め息をついた。


 「......ま、私の手助けがあったとはいえ、レベル3を単独で倒すとはね.....いや、4はあったかもね......」


 彼女は微笑んだ。


 「今後の活躍、楽しみにしてるわよ、ア・マ・ツ・君♡」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ