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9.街2

 就職活動をしようと決めた翌日、俺がやっていることといえばまずは街を見て回ることだった。異世界でどんな職業があるのかなど正直あまりわからない。俺自身、この世界で何をしたいかなどという目標も今はない。

 竜崎は、「同じクラスメイトなんだ。一緒に助け合おう」と張り切っていたが、正直ずっとクラスメイトとともに行動するつもりはまずない。そもそも俺自身大人数で行動するというのが得意ではない。あと、竜崎たちのグループのメンバーはこの国に仕える騎士に勧誘されているらしい。それに竜崎が二つ返事でうなずきそうだったのをどうにかほかの面子がとめたらしいが、俺たちの中で少なからずの人数は騎士になるのかもしれないと思う。

 仕事を探すにも難しいし、この国で面倒を見てもらえるのならそれもありかと考えるクラスメイトもいるだろう。もっとも、戦闘に特化したユニークスキルの人間以外はそうもいかないだろうが。

 俺はどうせ異世界に来たのだから、色々見てみたいというのもあった。まぁ、いきなり冒険に出るぞと飛び出したところで死ぬのが目に見えているため、この世界について知ってから動こうと思っているが。

 地球からの渡り人もこの世界ではいたようで、なんだか普通に日本食も一つの飲食店では見られたりもした。お米を食べられるというのは良いことだ。

 武器屋や防具屋が普通にあるのを見て、ここは本当に地球より危険な世界だと改めて認識した。それにしても、この世界で生きていくなら武器も必要かと覗き見てみたけれど武器というものは安くない。びっくりするほどお得な値段のものもあったが、逆に安すぎて粗悪品だろうとしか思えなかった。

 宿代とかは払ってくれるらしいが、武器代も払ってほしいと頼めば払ってくれたりするのだろうかなどと考えるが、あまりお金を借りすぎるのもどうかと思う。俺のユニークスキル《土操手》はまだいまいち何が出来るかわかっていない。土を操れるのはわかるが、これが何を出来るのか。その実験もどうにかしていかなければならない。

 そんなことを考えながら歩いていれば、『冒険者ギルド』なんて看板のあるものを見つけた。

 この街に多くの渡り人が滞在していることは街のものなら知っているだろう。いろいろと話を聞いてみてもいいかもしれないと感じた。

 そんなわけで『冒険者ギルド』の中に入る。

 俺が学生服なんていう、地球では当たり前だけど異世界ではおかしな服装をしているのもあってなんだか見られている。

 受付の女性は、背が低く、羽が生えている。異種族……というやつだろうか。

「いっらしゃいませ。どのようなご用件でしょうか?」

 そういいながらこちらに視線を向けた女性は、俺をまじまじとみて問いかけた。

「渡り人の方でしょうか?」

「はい。そうです」

「そうですか。ご登録でしょうか?」

「いえ、その前に『冒険者ギルド』がどのような組織なのか教えていただけないでしょうか?」

 問いかければ受付の女性は丁寧に教えてくれた。

 冒険者ギルドとは世界各地に存在している組織であるらしい。ここはこの街の支店で、本部はまた別の場所に存在しているという。で、冒険者ギルドには誰でも入会することが出来、様々な依頼を受けられるらしい。ランクはFからはじまり、Sまで存在する。発行された冒険者カードは身分証にもなるらしい。まぁ、何か犯罪を犯したりしたらすぐに登録を剥奪されるらしいが。

 説明を受けた後、武器についても聞いてみたらこんな答えがかえってきた。

「低いランクのものは戦闘ではなく、お手伝いといったものが多いです。そこでお金を稼ぎ、武器を買うというのも手でしょう。あとは依頼ごとにこちらから貸し出しすることも出来ます。ただし、その場合貸出金として依頼料の一部をこちらで徴収させていただくことになります」

 誰でも依頼をこなせるようにそんな風になっているらしい。あと貸し出された武器を紛失などしたら賠償金を払わなきゃになるらしい。

「それで、ご登録はどうなさいますか?」

「もう少し、色々見て回ってからでもいいでしょうか?」

「ええ、もちろんです」

 何をして生きていくためのお金を稼ぐか、としてそれで冒険者は一つの手だろう。が、まだ異世界について学んでいる最中だ。もう少し考えてから登録しようと考える。

 それから街の色々な場所を見に行った。ちなみに、中谷はさっさと「俺は料理人になる」と決めたらしい。ユニークスキルが《料理美味》だしそれが一番楽な就職だろうが、そんな簡単に決めていいのだろうかとちょっと思った。まぁ、本人が決めたことに口出しする気はない。

 ステータスを見た限り、普通のスキルだと自分の行動で手に入りそうだし、がんばれば戦闘系のユニークスキルでないものも戦えはするだろう。俺の場合、《土操手》をどう戦闘に生かしていくかも考えなければならない。あとは、戦い方など俺は知らない。誰かに習うのが一番いいかもしれない。




 結局数日間色々調べて周り、俺は冒険者として登録することにした。

 しばらくはこの街で活動し、お金をためて、戦い方を学ぶとしよう。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 冒険者に登録する用心深さで、喫茶店に行き、先ずメニューを見せて貰い、一通りメニューを見てからいつものコーヒーを注文する友人を思い出した。
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