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幕間11 早乙女由利亜

「ユリア。今日も綺麗だね」

「ありがとうございます。旦那様」

 私の名前は早乙女由利亜さおとめゆりあ

 現在はユリア・キーベルト。ふふん、私ってば異世界に来て結婚したの。私は元々から結構性に奔放な方だった。それで親に色々と言われてたりしたの。とはいえ、誰とでもそういう関係になってたわけではないわ。

 ただそういうのが好きって言うだけ。

 そしてこの異世界にやってきた私は、異世界の男性ってどんな感じかなと結構遊んでいた。

 というか、私のスキルが《愛の強化》などというよく分からないものなのだが、これ、私と遊んだ相手が強化されたり、幸運が舞い込んだりするらしい。私にぴったりじゃない? って効果を知った時に思ったの。

 どうせ強化されるのならば大好きな人相手の方がいいなぁと思って婚活していたの。そこで私を見初めてくれたのが、旦那様! 貴族様なのよねぇ。私が《渡り人》ってのも私を娶ってくれた一つの理由だったみたい。

 あとね。新興貴族で、元々商人の家だったのもあって愛妾も持たないつもりだっていってくれたの。

 私が元々一夫一妻制の世界にいた事もちゃんと考慮してくれたから、私幸せなの。

 私は日本にいた頃から、自分の見た目を磨くことを一生懸命していたわけだけど――うん、こっちだともっとお金をかけて自分を磨けている。

 ちなみに旦那様は竜崎君たちが騎士をしている国の隣の国の貴族なの。大体が騎士としてあの国に残っているから、あまり《渡り人》がいない場所に私はいきたかったの。旦那様に見初められたから隣国にまで来て良かった。

「ユリア。パーティーはどうだった?」

「とても楽しかったですわ。教師がいいの。私、貴族としての作法なんて分からなかったけれど、先生が教えてくれたから恥をかかずに済んだわ」

 私も新興とはいえ、貴族の妻になったから旦那様に頼んで家庭教師の先生を雇ってもらった。それは未亡人で、貴族夫人として生きていた方で、元々《渡り人》で平民だった私の事を馬鹿にすることもなく教えてもらえた。

 貴族の社会というのは、正直ドロドロしたことも多くて、それに対する不安も大きい。だけれど私は旦那様の妻として生きていくことを決めたので、一生懸命頑張ろうと思っている。

 これが大貴族の妻とかになるなら大変だっただろうけれど、旦那様が平民的な考え方を知っている方で良かったわ。

 ……私、日本ではもっと平民らしい言葉遣いしていたけれど、貴族としての教育を少しずつ受けているのもあって貴族としての口調になってきている。元クラスメイト達に見られたら少し恥ずかしいかもしれないけれど! まぁ、それはそれよね。

 それにしてもクラスメイトたちはどう生きているのかしら?

 騎士として残っていた方が多かったけれど、これからも騎士をやるのだろうか?

 私は戦闘系のスキルでもないし、騎士になることはなかったけれど。それにしても騎士って、戦うのよね。……うん、私には無理だわ。

 貴族令嬢の中では旦那様を狙っていた者もいて、そういう人たちからは私は睨まれたりもしているけれど仲が良い友人たちを作る事も出来て私は楽しく生きているわ。

 それに私のお腹には、子供が宿っているの。

 自分のお腹を触りながら私は不思議な気持ちになって仕方がない。

 だけれども嬉しい。

 不安もあるけれど、旦那様がいて、使用人たちがいて、友人たちがいて――私には敵もいるけど、味方も多い。

「ねぇ、旦那様。私、この子が産まれるのがとても楽しみ。旦那様は性別はどちらの方がいい? 私はどちらも嬉しいなと思うのだけど」

「ふふ、そうだね。私もどちらでも嬉しいよ。男の子でも女の子でもきっと可愛いだろうから。出来たら両方ほしいな」

「ふふ、そうですわね。私も両方ほしいですわ。沢山子供を産みたいですし、子供たちに囲まれて最終的に孫に囲まれて大往生出来たら楽しいわね」

 私の今の夢は、旦那様とイチャイチャしながら妻として楽しく生きて、子供を沢山産んで、孫まで生まれて――そして幸せだったと大往生したいなと思っている。

 《渡り人》の私の人生は長い。その長い人生を楽しく生きたいな。

 でも子供を産むのは、命がけだって言うものね。私は此処で亡くなるのは嫌だから万全の準備をしないと! 私がちゃんと安全に出産出来るように準備をしてくれるっていってくれているの。

 早く可愛い我が子に会いたくて私は楽しみで仕方がない。

 ――きっとクラスメイト達の中で子をなしているのは私ぐらいだろうな。ふふ、でももし子供を産んでいるクラスメイトがいたらそれはそれで面白いわ。

 皆どういう暮らしをしているのだろうか。いつか、クラスメイトと再会した日が来たらと考えると私はワクワクする。

 こうして楽しいことばかり考えられる今が、私は嬉しい。

 これから困難もあるだろうけれど、お母さん、お父さん、私は異世界で幸せになるからね! ともう会えない両親に向かって心の中で言うのであった。

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