7.遭遇
気づけば二か月空いていて申し訳ないです。書きたいものは頭にありますが、そこまでの過程がまだきちんと練っていなくて少しずつしか進まないのです。
「貴方たちは、何者ですか」
さて、森から出る事を目標に前に進み続けていた俺たちだが、本当にようやく、この世界の現地人なる人たちと遭遇した。
とはいっても、その数は少ない。
鎧を着て、腰に長剣を下げている。明らかに騎士といった風の彼らは女一人と男四人といった五人組だった。異世界だと女性でも騎士になれるのが普通なのだろうか。とそんなことを俺は考えていた。
異世界と地球との違いって沢山あるだろう。そもそもステータスなどといった表示がある時点で、色々違う。だが、見た目が幾ら弱く見えても、強い存在はいるというのが、異世界だと思う。それを考えると相手が女子供だろうとも警戒しなければならない対象になってしまう。
それを思うと異世界ってめんどうだなともちょっと思う。そりゃあ、相手も人だし、友好的な関係を築ければいいけれど、そんな風な関係を築けるのかもわからないし。俺の場合、そこまでコミュニケーション能力はない。そういう面を思えば不安の方が大きい。
「こんにちは!!」
竜崎はなんか、はじめての異世界人だとキラキラした目で近づいていった。って、少しぐらい警戒しろ! と多分、クラスの大多数が思った事だろう。
あまりにも警戒心なく近づいてくるからか、騎士たちは驚いた顔をしている。
「俺たちは異世界から来ました。貴方たちはこの世界の人間ですよね?」
そして驚いている騎士たちに竜崎は続けた。
あー……と思った俺だ。これで相手が異世界人を利用しようとか考えていた悪人だったらどうするんだとまず思った事はそれで。
「光、少し口を閉じてもらえるかしら? こちらで説明をするわ」
竜崎が喋っているとややこしくなると思ったのか、紅はそういうと騎士たちに近づく。
そして両手を上げて、こちらに敵意がないというのを示す。
「私たちに敵意はありません。先ほど、こちらの者がいったように、私たちは異世界から来ました。現地人である貴方たちにとって異世界人がどういう存在なのかはわかりませんが、敵対の意志はありません」
まず大事なのは、敵意がないことを知らしめることだと思ったのだろう、紅は言った。
竜崎が「異世界人だ」って言わなければ紅は異世界人だと告げずに相手が信頼たる相手かきちんと見極めてくれただろうが、まぁ、言ってしまったものは仕方ない。どちらにせよ、竜崎グループが交渉してくれるみたいなので、俺含むその他大勢のクラスメイトたちはおとなしくしている。
「………異世界、というと、貴方たちは渡り人ですか?」
「これほどの数の渡り人など……」
「しかし……確かに、こいつらの服装は見たことがない」
紅の言葉に、騎士たちがぼそぼそと話し始めた。
”渡り人”というのが、この世界でいう異世界人の通称のようだ。それにしても、渡り人か。単純に異世界人ではダメなのか。そして、この世界では異世界人とは珍しいものなのだろうか? 聞こえてくる会話からして、これだけの数が居る事には驚いているようだが、俺たちが渡り人であるという事に対しては驚いてはいないように思える。
「……私たちの望みはただ、一つです。街へ連れて行ってくださらないでしょうか? 森の中での生活に私たちは疲弊しているのです」
紅はそういって騎士たちに訴えかけた。
「……少し、待ってもらえるだろうか。上の指示を聞く必要がある」
紅の訴えに、女騎士ともう一人の男騎士はそういって男騎士三人を残して、別部隊の指示を仰ぐためだろうその場を後にした。
残った三人の騎士たちは、こちらの見張りといった役割だろう。向こうも、こちらに対して警戒心をなくさないのは当然だろう。大体、俺もいきなり数十人の存在が「俺たちは渡り人だ」とかいっていても警戒する。たとえ、異世界人だと証明できたとしても悪人集団ではないと証明できる術はまったくない。
異世界人だから否応なしに保護してくれるとかそういう都合がよい展開はない……。なんとも、優しくない異世界転移だ。いや、ある意味クラスメイトたちと一緒の場所に転移してくれたのは優しいともいえるのかもしれないけれど。
これ、『勇者』とかいう立場とかでの召喚展開とかなら、面倒だけど命は保障されてたりとかするんだろうけど、俺たちは一般人としてここにいるわけで。
あー、とりあえず街に連れて行ってもらえればいいんだけど、ここで怪しいから全員殺すとか言われて襲い掛かられたりしたら恐ろしいななどと悪い考えばかり浮かんでくる。が、とりあえず俺はクラスメイトのいる後方に待機して、何かあったら逃げれるようにしておこう考えるぐらいしかできない。
まぁ、そんな心配は結局いらなかった。
戻ってきた女騎士たちは、他の大勢の騎士たちを連れていて、俺たちは彼らと一緒に街へと向かわせてもらえることになったからだ。