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48.芸術の都 5

感想で指摘された箇所、訂正済み。

 アラサ市が開催された。

 その会場は、時計塔近くにある広場だ。この場所では、通常は芸をやっているものがいたり、子供たちが遊んでいたりする場所なのだが、今日はいつもと違った風景が見られた。

 店が沢山並んでいる。

 絨毯を敷いてそのうえで店を展開しているものから、屋台のような設備でお店をやっているものなど、さまざまである。加えてアラサ市目当ての客人達が沢山存在していた。この世界でこんなに混雑している場所は見た事なかったので、正直驚いてしまった。

 三週間に一度行われるこの市では、様々な人々が訪れる。値引き交渉をしている所も見かけた。俺も出来る限り買いたいものがあれば値引きするように心がけようと思った。ちなみに俺の手持ちのお金は全部で、金貨50枚、半金貨10枚、銀貨40枚である。日本円で言うと、59万円。少ないと言われるかもしれないが、これでもこの一年、冒険をしながらなんとかためていったものだ。サリエスさんと共にいるおかげで無駄な出費をせずにも済んでいたが、それでも宿代など、お金を使う事は冒険者だと多い。魔法具作りが出来るようになって、それを売る事が出来ればお金がもっと手に入ると思うので頑張ってみようと思っている。

 売る目的の魔法具も別に作りたいとも思っているので、《アイテムボックス》とサリエスさんへのプレゼントと売るための魔法具。それ用の素材を探す。最優先は《アイテムボックス》。それ以外のは後からお金をためてからでもどうにかなるだろう。とりあえず今回は最高で使うとしても金貨40枚で抑えよう。少しぐらい余裕がないと、これからの生活に支障をきたしそうだし。

 真っ先に見るのは《アイテムボックス》ようの皮である。あとは留め具を見る。皮は高いものだと少しの大きさで金貨30枚とかした。ヤバい。どれだけ高価なんだろうか。魔力の通りやすいもので探すと、やはりといっていいのか高価なものばかりだ。とてもじゃないけれど最高級のものには手を出せない。そのため、俺が払えるぎりぎりのもので、魔力を通しやすく魔法具作りに向いている皮。そして、それなりの量を手に入れられるもの、と見ていく。……結構品がどんどん売られていくのを見かけるので、欲しいものを見かけたら後から買うではなくすぐに購入するのがいいだろうというのはよく分かった。というわけで、他の人に取られないうちに見つけて買わなければと皮を見つめる。

 そしてお手頃価格で、魔力を通しやすい物を見つけた。それは《マジックワーム》という魔物の皮だ。要するに魔法を使えるそれなりの大きさのミミズだ。このミミズ、火の魔法を口から吐いたりするらしい。通常種はそこまで大きくないらしく、倒しやすいそうだ。ただ、たまに変異種というか、巨大化してしまう個体があるらしくその魔物は倒すのがとても大変らしい。俺が目をつけたのはもちろん、普通の《マジックワーム》の皮である。変異種だと値段が倍に跳ね上がるらしい。ヤバい。

 《マジックワーム》の皮は、求めているよりも大きなサイズで金貨20枚だった。これなら《アイテムボックス》を作るのに一つ失敗したとしても、もう一度挑戦できる。そういうわけで大きな買い物としてその皮を購入した。値段交渉したけれどこれでも低価格で設定してくれているらしく、まけられないと言われたのでそのままの金額で購入した。

 留め具に使えそうなものも購入しておいた。あとはサリエスさんへのプレゼントのために鉱石を手に入れるのと、魔法文字を描くための魔力を通しやすいインクを購入しておかなければならない。

 それからはアラサ市の広場をぶらぶらしながら、手に入れたいものを片っ端から購入していった。結構な荷物になってしまったが、俺は満足していた。最終的に金貨は38枚も使っていた。一日で日本で言う38万も使ってしまったのは問題かもしれないが、欲しい素材が色々と手に入ったので満足してならなかった。沢山買い込んで宿に戻った俺を見てサリエスさんが「沢山買ったわね」とあきれた目を向けていたが、その視線には気づかないふりをした。

 裁縫道具もきちんと準備したので、これで《マジックワーム》の皮を縫い合わせていき、カバンには出来るだろう。まずはどんな風なカバンを作るかも考えないと。

 そして今回使ってしまったお金の分、冒険者として働いて稼がないといけない。お金がなければどうしようもない。折角素材を手に入れたわけだけど、まずはお金を少しでも稼いでから制作に入ろう。

 討伐依頼などをもっと受けて、お金を手にして、素材を手にしていきたい。討伐した魔物の素材をこちらで引き取る事も出来るし。まぁ、そのためにも《アイテムボックス》は即急に作るべきなのだが。

 最優先に作らなければならないのは《アイテムボックス》だ。

 依頼を受けながら、少しずつ完成させるために動いていこう。

 サリエスさんにはしばらくはこの都に居たいとは言ってある。やりたい事も沢山あるから。サリエスさんは「急いでないからヒューガがいたいだけいていい」と言っていた。



 それからは依頼を意欲的に受けながら、空き時間に《アイテムボックス》の作成に勤しむという慌ただしい日々が始まった。



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