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43.芸術の都を目指して 3

一部訂正済み

 村を後にしてから、幾つもの馬車を乗り継ぐ。

 幾つかの馬車を乗り継いだ後、山の麓に降ろされる。芸術の都は、この山を越えた先にあるようだ。

「この山を越えるか、遠回りするかになるけれど、山を越えましょう。そちらのほうが早いわ」

「危険は、ないのか?」

「そうね、それなりにどちらもあるわ。でもこの山は主さえ気を付けていればどうにでもなるわ」

「主?」

「ええ。山頂にドラゴンが住んでいるわ」

「ドラゴン……っ」

「あら、そんなに怯えなくて大丈夫よ。こちらから手を出さなければ、向こうから手を出してくることはないもの。寧ろ気まぐれに人を助ける事もあるわ」

 ドラゴンと聞いて、正直恐ろしいイメージしかわかなかったので、サリエスさんの言葉を聞いて安心した。それにしてもドラゴンか。直に見て見たい気もするが、現状は無理だろう。もっとレベルを上げたらドラゴンなどとの強大な魔物と対峙する事も出来るようになるだろうか。

 いつか、誰にも負けない程に強くなれたのならば――ゆっくりと誰にも邪魔されずに物作り生活が出来るようになるだろうか。

 そんな事を考えながら、サリエスさんと共に山を登る。山頂に近づけば近づくほど、標高が上がり、山登りに慣れていない俺は息切れを何度も起こしていた。その度に、サリエスさんは休憩をしてくれた。サリエスさんはエルフで森の民というイメージだけど、山も歩きなれているようだ。とはいっても、それは冒険者としての実績があるサリエスさんだからこそなのだと本人が言っていた。

 一週間ほどかけて、山を越えた。ドラゴンの姿は見ることは出来なかった。山越えで一週間となると、遠回りしたらどれだけかかったのだろうか……。

 山を越えた後は、近場の村まで歩いた。

 その村で一休みしてから、芸術の都方面へと行く馬車がいつ来るのかを確認した。馬車は二日後にしか来ない、という事なのでその村に二日ほど滞在した。その間、また《土操手》の練習に励んだ。大体、村などに滞在する間は、俺もサリエスさんも自由に行動をする。本当に、サリエスさんは俺に対して詮索をしないからこそ、本当にやりやすい。

 それから芸術の都まで馬車を乗り継いでいった。馬車を何度も乗り継いで、ようやく芸術の都の近隣の街までたどり着いた。芸術の都へと近づければ近づくほど、芸術色が濃くなっていくというか、アートのような建物がおおくなっていった。

 近隣の街で、俺があまりにも分かりやすかったのだろう。サリエスさんに「少し見てから、出発する?」と聞かれてしまった。そのお言葉に甘えて、少しだけ街を見て回る時間を作ってもらった。それにしてもまだ芸術の都にたどり着いていない段階でこれか――と、俺はわくわくした気持ちになってならない。

 こういうトリックアートのような建物がある街っていうのは、少しだけ興奮する。地球にいた頃、ヨーロッパとかのそういう建物がある場所を見に行きたいと思ってたんだっけ。結局異世界に来たからいけなかったけど、こうして異世界でそういうものを見れるのはとてもいい事だ。

 芸術の都では、もっともっと、沢山の興奮する物があるだろうか。

 その街を一人で見て回った。サリエスさんは「自由に見てていいわよ」と言って、一人で何かをしていた。……仮にもパーティーなわけだけど、俺とサリエスさんは単独行動が本当に多い。他のパーティーからしてみれば、さぞ、変なパーティーなんだろうなと思った。

 この街で有名な料理の中に、米があって思わず速攻で頼んでしまった。

 最初の街で食べることはできたけど、その後は見かけてなかった。

 それから店主に米の事を聞いたわけだけど、店主が昔冒険者をしていた時に食べておいしかったので、そこから少量だが取り寄せているらしい。米はこの国ではそこまで広まっていないらしいが、他国では栽培されているらしい。そういう所にも行ってみたいなと思った。

 それから一人でぶらぶらと街を見て回った後、宿に戻れば、もうサリエスさんは戻っていた。

「戻ったのね、ヒューガ。楽しかった?」

「ああ。色々面白いものがあった」

「ヒューガはこういうのが本当に好きなのね。芸術の都に行ったら、もっとすごいわよ」

 にこにこと笑うサリエスさんは、街を見て回って満足気な俺を面白がっているらしい。何だか、恥ずかしい気分になって、「もう寝る」といって俺は宿の部屋に入った。後ろからくすくすと笑うサリエスさんの声が聞こえてきたけど、気づかないふりをした。


 そして翌日になって、俺達二人は芸術の都を目指した。この街から芸術の都までは一本の馬車でつながっている。行き来も多いようで、朝早くから馬車があった。朝一の馬車に乗った俺達は、昼頃には芸術の都へと足を踏み入れる事が出来たのであった。







 

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