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39.ユニークスキル 4

 硬くした土の塊の強度がもとに戻らない。

 その事実に気づいて、俺は驚いてしまった。

 魔法だと、ずっと同じ強度のままというのはありえないはずだ。それがユニークスキルだとずっと変化させたものがそのままになるという事だろうか。でも……、永遠とずっとこのまま崩れないという事は流石にないのか?

 ……分からない。このあたりも色々と調べるべきだろう。ずっとそのままであるとか、ユニークスキルのレベルをあげれば永続的に効果があるのだろうか。もし、そうであるのならば色々とやりようがあるわけだが。

 そう思って様々な実験をしてみる事にした。

 だが、やはりそこまで上手い話はなくて、その強度を保ったままの土は一週間もすれば普通の土に戻った。でもこれは、色々と使い勝手があると思う。それに永続的に効果のあるものに出来ればきっとなんだって出来るようになる。そんな夢のあるスキルだと思った。そこまで出来るようになったら色々と夢が広がる。俺の目標も叶えていく事が出来るのではないかという希望も湧いてくる。

 だからこの《土操手》というユニークスキルのレベルをどんどん上げていきたいと思った。ただ、サリエスさんに対して、ユニークスキルの存在をばらしたくなくて、《渡り人》である事も知らせたくなかった。

 お世話になっているし、サリエスさんの事を嫌いな訳ではない。寧ろ、この異世界で信用出来る人だと思っている。だけれども、やはり自分の事を話すほどではないと思っている。どれだけサリエスさんと一緒に居るかも分からない。この先、多分——そのうち道は分かれるのだ。ならば、悟られないようにしないと。それでいてユニークスキルのレベルを上げていく事は大変だろうけれども、少しずつレベル上げをしていこう。サリエスさんに悟られないように分かりにくいようにユニークスキルを行使すること。そして、サリエスさんが居ない間にはユニークスキルをひたすら使い続けること。

 それを続ければ、ユニークスキルのレベルを上げる事が出来るだろう。また、この世界では高価な方だが、ノートも入手することにした。自分のユニークスキルで何が出来るかを日本語で記す事にしたのだ。

 日本語で書いておけば、《渡り人》には読めるだろうけれど、この世界の住人には読めない。だからこそのメモ。ユニークスキル《土操手》についての考察など、俺が感じて思った事を記す。

 サリエスさんは、俺がノートを買って何かを記しているのは悟っているらしいけれど中身を気にした様子はない。

「ふふ、夢中になれるものがあって良かったわね」

 と、笑っていた。

 初めて出会った時、俺は人をこの手で殺めたばかりで宿にひきこもっていた。これからどうするべきか分からなくて、酷い顔をしていただろう。だからこそ、そんな俺が生き生きしている様子を見てサリエスさんは笑う。

 サリエスさんは俺にあまり踏み込んでこない。

 そして俺もサリエスさんに対して踏み込まない。

 だからこそ、上手くいっている関係なのだと思う。パーティーを組んで、それなりに経過しているけれども俺達は互いに知らない事だらけだ。でも俺はそれでいいと思う。それ以上、踏み込むつもりは今の所ないのだから。

 サリエスさんは「俺がやることがある」と言えば、深くは聞かない。

「じゃあ、私も別の事をしているわね」

 そんな風に笑って、自由行動をする。俺はサリエスさんがその間、何を行っているか知らない。そして俺もサリエスさんに何を行っているのか言わない。

 だからこそ、ユニークスキルのレベルを上げるための時間が取りやすかった。

 サリエスさんと一緒に居る間も、ばれないようにユニークスキルを少しずつ使ってはみていたけれどやはり一人で思いっきりユニークスキルを使った方がやりやすい。

 どんどん土を柔らかくしてみる実験をする。足場の土に向かってやれば、小さな石を乗せれば沈み込むほどの柔らかさになっていた。

 これは落とし穴としてとても有効な気がする。

 一見普通の土に見えながらも、とてもやわらかい土。見た目は変わっていないのにその性質が変わっているというのは面白いと思った。

 この《土操手》というユニークスキルは、何処まで土を変化させることが出来るのだろうか? 強度は変える事が出来た。ならば、その他のものは? 火に強い土、とかそういう風にも変えられるのだろうか。色々と考えて、試してみればこの《土操手》は地味なユニークスキルに見えて、様々な活用が出来そうな気がした。



 それから、ユニークスキルの実験を行ったり、鍛冶を習ったりしながら時は過ぎて行った。




今年はこの作品の更新出来るだけ早くするつもりです。よろしくお願いします。

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