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幕間6:畑有紀子

 私の名前は、畑有紀子はたゆきこ

 異世界にクラス全員ごと、転移したうちの一人。クラスメイトのうちの半数は拾われた国であるジンクの騎士になった。ただ、私は騎士という職業でやっていける気はしなかった。それに、ライトノベルを読む事が好きだった私としてみれば、異世界を思いっきり満喫したいと思っていたのだ。

 この世界を、遊びつくしたい。

 見て回りたい。

 そう思った私は、冒険者になった。それも皆がいる街から出てから。

 私は皆がどんな風に生きていくのか悩んでいるうちに、もう街を出ていた。新しい街の中に入る時に、身分証がなくて一悶着あったりもしたけれど……まぁ、結果良ければ全てよしなので問題はなかった。

 女性が一人で旅をするのはこの世界で大変ということだけど、元々から髪を短くしていて、男と間違えられていた私なので男として生きていく予定なのだ。

 クラスメイトがどのように生きていくか、は特に私にはどうでもいい事だった。私の仲が良い友達は別のクラスだったし、そもそも人付き合いが私はそこまでなかった。まぁ、家族に会えなかったりするのは正直、悲しいけれど……まぁ、過去よりも今が大事なのだから、もう吹っ切れている。

 一番仲が良かった親友には、いつも前向きすぎるといわれて仕方がなかったけれど……まぁ、それが私だし。

「んー……」

 今、私は宿に居る。

 男として生活しているのもあって、乱暴な扱いはされているけど、まぁ、元々男勝りだった私は日本に居た頃から散々そういう扱いをされていたから対して変わらない。

 あと、私のユニークスキルが女だとばれにくくなるようなスキルだったからっていうのもあるけれど。「あー……」

 声を出す。

「あ、あああー」

 出している声は全てが違う。

 そう、私のユニークスキルは《幾千の声》というものだ。それは出したいと思った声を出せるというスキル。声というのは、聞く人に対して印象づける一つの要素だ。声が違えば、見た目がそっくりでも違う人と認識することはあるだろう。だからこそ、私はどんな存在にだって偽れる気がする。それもあって少しだけ男っぽい声をユニークスキルで意識して出しているのだ。それで女であるとばれるはずもない。

 自分の生身の声よりも、ユニークスキルでの声を発している時の方がいいけれど、楽しいから問題はない。

 私が自分が女であることを少なくともこの世界を遊びつくすまではいう気はない。もし、この世界を思う存分楽しんだと実感したらもしかしたら誰かと結婚したり、永住地を見つけるかもしれないけれど現状はそういうのどうでもいいと思っているから。

 うん、少なくとも今は男として楽しく生きる。

 冒険者として生きていけば同じく冒険者になったクラスメイトたちや、商人として街を出る事を決めているクラスメイトたちと会う事もあるかもしれないけれど、今の所、私は遭遇したとしても気づかれなければそのまま知らないふりをする予定だ。

 確か、私が出る段階で、商人ギルドに入ったのは数人いるはず。私が知っているのは、井之上乃愛いのうえのあと、北野上美愛きたのじょうみあという仲良しの二人組だけだ。他にも入ったらしいけど。あの二人とはまだ交流があったし、商人ギルドに一緒に入らないか誘われていたから知っている。

 あの二人って私によく話しかけてきたけれど……こう、なんていうのか、百合……女同士の危ない世界的な雰囲気があって近づいたらやばそうな雰囲気あったから必要以上には仲良くしていなかったんだよ。

 なんか近づいたらそういう世界に染まりそうな雰囲気があったから。というか、あの二人って名前が似ているからっていうのもあって幼稚園ぐらいから仲が良いらしいけど異世界に来たし、のんびり二人でいちゃいちゃするんじゃないかと思っている。

 まぁ、あの二人には特に近づかないようにしよう……。男の恰好していようと私は同性愛者ではないから。

 そんなことを考えながら宿を出る。

 ユニークスキルが戦闘スキルではないから色々と前途多難だけど、少しずつスキルを覚えていって戦う力を私は手に入れていっている。

 ならば、どうにかする。

 なるべく危険に身を費やさないように、慎重に行動しながらも世界を遊びつくす。

 うん、なんてわくわくする響きだろう。私は、とても楽しい。一人で生きる事は大変だろうけど、楽しいから問題がない。寂しければ誰かとつるむし、のんびり、この世界を遊びつくそう。

 私は冒険者ギルドに向かいながら、そんなことを考えて心を躍らせた。



 クラスメイトたちの大半はこの状況に困惑していたけれど、私は正直こういう状況にわくわくしている。だから、ひとまず冒険者として力をつけるのだ。




 

クラスメイト一覧(今出ている分だけ)

《騎士》

三森(教師)



・竜崎グループ

竜崎光《光の剣》

紅沙月《炎の鞭》

西園寺南

神崎朱莉《水の衣》

野田千明

沢木代野《氷槍》


・元スポーツ部

村野琢哉《魔球》

八重金太《守りの手》

大洲上一鶴

内川優




山岸美緒《火纏いの剣》

深見果南《高揚の歌》



・問題解決の三人

谷陽子《写生記憶》

丘美喜《夢の世界》

中条天《物質記憶》



《料理人》

中谷智《料理美味》




《モンスターショップ》

渡辺園美《犬耳》



《冒険者ギルド》

秋田奈子《火炎弾》

塚本孝輔《硬質化》

神宮信《癒しの祈り》

松崎賢斗《我流鑑定》

伊上光之助《炎の弓》

榎本千奈《闇の裁き》



畑有紀子《幾千の声》


《詳細不明》

大鳥学《拳強化》


《生産ギルド》

緑山文佳《植物知識》


《商人ギルド》

井之上乃愛

北野上美愛


《死亡》


真崎麻紀 《スキルコピー》














今の所名前判明しているクラスメイト30名(主人公含めて)


男15名

女15名


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