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34.鉱山 1

 鉱山の中へと足を踏み入れる。鉱山の中に入るのは、地球でもしたことがなかったから少しだけ心が高揚する。

 ただ異世界の鉱山には、危険な魔物も生息しているのだから気を付けなければならない。気を抜いたら死ぬかもしれない可能性がこの異世界にはある。だからこそ、生きていくために、もっと多くの物を作り続ける人生を歩むためにも、此処で死なないように精一杯頑張る。

「ヒューガ、鉱山などの魔物は基本的に硬い存在が多いわ」

「硬い?」

「ええ。硬いわ。中々攻撃が通じなかったりするの。ヒューガの剣の腕だと攻撃が通じない可能性もあるわ。でも戦い方がないわけではないの」

 サリエスさんは坑道を歩きながらそんな事を言った。

 鉱山の魔物は硬い。

 それでいて武器が通りにくい魔物もいたりもするらしい。そのことを聞いて、場所によって出る魔物とか違うのは当然かと当たり前の事を認識する。

 俺が今まで倒した魔物は、森などの魔物ばかりだった。でも鉱山だと違った魔物が出てくるのである。

「どんな風な戦い方をサリエスさんはしてますか?」

「そうね。私は魔法を使って対処をするのが多いけれども、剣でもいけるわよ」

 サリエスさんはそういいながら笑って、視線を前の方へと向ける。

「ほら、来たわ。あれは《ストーンラビット》ね」

 石で出来た兎。

 それが俺の目の前に現れる。

 サリエスさんは「見てて」と笑って、短剣を手に《ストーンラビット》に近づく。その兎は俺達に気づいて、サリエスさんに突撃をしてこようとする。それをサリエスさんは避ける。避けると同時に、短剣で《ストーンラビット》を切りつける。

 一閃。

 《ストーンラビット》を切断する。

 一瞬で《ストーンラビット》を切断する技術を持っているなんて、本当サリエスさんって凄い人だと思った。

「こんな風に、硬いとはいえ、切りやすい場所があるわ。私は《看破》のスキルを持っているからそれを使えば、何処が急所か分かるのよね。このスキルは戦いながら急所を突いていくということを続けていけば手に入るから頑張ってみて。あとはそうね。別に急所を狙わなくたって、強さを持ち合わせていれば幾らでもやりようがあるわ。例えば私は《精霊魔法》が使えるから——」

 サリエスさんはにっこりとほほ笑んで、俺には理解が出来ない言語をつぶやく。これはもしかしたら精霊に話しかけるための言語なのだろうか。

 それも理解出来るようになったら——って期待もわいてくる。

 そしてサリエスさんが何かをつぶやくと同時にまた現れた《ストーンラビット》は何かに切断された。これが《精霊魔法》。本当に凄い力だ。

「こういう風に自分が得意な事で仕留めるのもありだわ。ヒューガは《土魔法》が得意だからそれでどうにか仕留める方法を考えたらいいかもしれないわ」

「土でどんなふうに?」

「そうね。敵が硬いとはいっても土も相当硬い物質よね。ならばそれでどうにかする事も出来るんじゃないかしら」

「なるほど」

「あとはやっぱり《看破》を手に入れるのが一番良いかもね。ヒューガは武器も使えるようになりたいんでしょう?」

 サリエスさんは丁寧に、一つ一つ教えてくれる。この世界の事をまだまだ知らない俺に沢山の事を教えてくれている。

 《看破》のスキル、欲しいからそのためにひとまず急所を見極める行動をしよう。そして急所を仕留めていく事を心掛ける。難しいかもしれないけれど、一つ一つこなしていって頑張って《看破》のスキルを手に入れよう。

 《ストーンラビット》を見つけては、俺は急所というものをなんとか見極めようとするが、中々難しい。

 何度も失敗しかけて、サリエスさんに助けてもらいながら向かっていく。今の所、鉱石は落とされていない。鉱石手に入らないかなと期待しているけれど、中々手に入らない。そう上手くはいかないかと、少しだけ落胆したけど仕方がない。

 《看破》のスキルを手にするまでに時間がかかってしまう。やっぱりスキルを手に入れる事は結構難しい。《看破》のスキルは使い勝手のよさそうなスキルだから手に入るのは難しいのだろう。

「中々手に入らない……」

「もう少し頑張ったら手に入るわよ。頑張って」

 サリエスさんは笑いながら俺の事を励ましてくれていた。

 鉱山の中は、中々興味深い。《採掘》のスキルを持っていないけれど、《採掘》スキルを手に入るように採掘もしなければ。

 此処は本当に俺にとって楽しい場所だ。

 しばらく魔物を退治しながら進むと、採掘が出来る場所に出た。少しだけ採掘を試みてみることにした。ピッケルを振り下ろして、何とか採掘をしようと試みるが、やはり素人のやることでは難しい。見かねたサリエスさんが少しだけやり方を教えてくれた。

 少しだけ鉱石が手に入った。ただし、街に戻らないと何の鉱石が分からないけど。でもこうやって自分の手で鉱石が手に入ると嬉しいものだった。





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