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16.ユニークスキル1

※指摘されて気づきましたが、ユニークスキルレベル1ではなく3だったので書き換えました。

 クラスメイトのうちの一人が死んでしまったことは正直言ってショックであった。しかし、ショックであるからといってもう死んでしまった存在をどうこうすることは出来ない。

 ただ、今なんだかんだでこうして冷静でいられるのは、死体を見ていないからというのもあるだろう。実際に死体を見たり、それか、人を殺めなければならなくなったとき、俺はどのようにあれるのか正直わからない。地球はこういう異世界ほど、人の死が軽くはない。

 そういう世界からやってきた俺たちにとって、死というものは重い。

 正直それには気が重くなるが、今考えていても仕方がない。ただ、もし殺さなければ自分が死ぬというそういう時が来るかもしれないという事は考えておかなければならないだろう。

 そういう覚悟がなければすぐに死んでしまう。

 俺は死にたくない。

 冒険者ギルドへの所属は、生き抜くためとこの世界を見たいという欲求があるからである。が、正直戦闘とか好んでしたいとか考えているわけではないのだ。ある程度生きていく目途が付いたらどうするかは考えよう。ずっと冒険者としてやっていこうと考えているわけでもないのだから。

 この異世界からは帰れないのだから、ここで俺が何をしたいかを考えていかなければならない。冒険者はそのつなぎである。

 が、とりあえず戦う力を身に付けなければこの世界で生きていくのは正直キツイだろう。何が起こるかもわからないし。だから戦う力はある程度いる。そうじゃなきゃ魔物とかに殺される。

 ユニークスキルの実験もできていないから、戦闘にきちんと使えるようにもなりたかった。

 そもそも最近使ってないし。そんなわけで前にケイリンさんと倒した《ホワイトラビット》で実験をすることにした。

 もう少し強い魔物でも倒せない事はないが、実験の際にようやく倒せるようになった存在を使うというのはあまりにも危険である。

 

 そんなわけで街の外にいる。


 《土操手》をMPを消費して使って見る。まずは、土の塊を作ってみる。やわらかい塊では正直意味がないので、それなりに強度のあるイメージを行使しながら操る。

 できた土の塊は、小石ぐらいの大きさで、強度も正直ちょっとは堅いけれど踏みつぶせば壊れそうなぐらいのものだった。

 そのくせMPがごっそり23も削られている。異世界に落ちた時に《土操手》で操って色々やっていた時よりもMPの消費が激しい気がする。

 まずなぜそうなのかと考えてみる。

「硬くするようにとか、考えていたからか?」

 異世界に落ちた時はとりあえず土を動かしたりしていただけである。今回は戦闘に使うのならば、硬くすべきだろうと意識して《土操手》を使っていた。そのせいもあってこの結果なのだろう。

 《土操手》のレベルがまだ3なのもあって、こういう結果になった可能性も考えられるわけで、とりあえずレベルを上げてみないと色々わからないというのが正直な感想だ。

 しかしまさか、これだけでごっそりMPを持って行かれるとは思っていなかった、

 その日は剣だけで《ホワイトラビット》を倒した。《土魔法》のレベルも上げたいが、どちらもMPを消費するのもあってどちらのレベルを先にあげるべきか悩む。MPがもう少し多ければいいのだが。

 次の日は土の塊を作ったりとかはせず、《ホワイトラビット》の下に穴を作ったり、転ばせたりといった事をしてみた。案外、そこそこ引っかかってはくれる。

 《土操手》と《土魔法》は出来ることがかぶっている面も多いから、色々悩む。どちらの方がMP消費が大きいかとかで使い分けるべきだろうか。

 それにしても、《土操手》がどこまで出来るかとかがまだわからない。色々と使いながら確認をしていく必要があるけれども、MPが足らなくて一気には出来ない。レベルが上がればこういう問題も解消されていくだろうか。

 次の街に行くまでには《土操手》と《土魔法》のレベルは上げてから行きたい。鍛冶の街ドワンへの依頼があれば教えてくれるとウーヤさんはいっていたが、まだその話はきていない。ただ依頼はいつ、だれが発行するかわからない。すぐかもしれない可能性があるのだから、それまでに自分をある程度鍛えて、旅のための準備をそれなりに整えていかなければならない。

 流石に商隊の護衛としてなら俺一人ということもないだろうし、一緒に護衛をする先輩の冒険者の人たちに教わることもできるだろうが、教わってばかりではいられない。調べて、ある程度準備をして聞かなければならない。

 この街をでたあとに渡り人であることを表に出す気もない。出したら面倒なことになりそうだし。となれば、現地人としてやっていけるだけの常識は身に付けるべきでもある。

 そもそも渡り人はユニークスキルなんていう便利なものがあり、それを渡り人が持っている事は結構知っている人が多いらしい。それに加えて渡り人は長寿であるし、下手に渡り人であることを言えば飼い殺しされる恐れもあるのだ。

 ユニークスキルは渡り人の異世界人にとって、生きていくための助けになると同時に、厄介なものなのだと自覚して、《ホワイトラビット》の首を切り落としながらため息が漏れた。



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