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10.冒険者

「依頼、完了確認できました。こちらが銀貨四枚になります」

 この世界の通貨は、半銅貨、銅貨、半銀貨、銀貨、半金貨、金貨、半白銀貨、白銀貨と存在する。

 半銅貨=50円、銅貨=100円、半銀貨=500円、銀貨=1000円、半金貨=5000円、金貨=10000円、半白銀貨=50000円、白銀貨=100000円ぐらいの価値があるというのが、生活してみて思ったことだ。

 それで俺がこなした仕事は運送のお手伝いといった低ランクのものだった。中々体力がいるが、冒険者登録してそれらをこなしているうちに大分体力がついたように思える。

「ありがとうございます」

「そろそろ冒険者に慣れてきましたか?」

「はい。おかげさまで。いつも色々教えてくださりありがとうございます」

「いえいえ。冒険者の手助けをするのが私たちのお仕事ですから。それに渡り人の半分近くの方は騎士へとなられたようですし、渡り人の冒険者はヒューガ様含めて7名ほどですし、興味がありますもの」

 そう、結局竜崎は騎士となることを決めた。そして竜崎というカリスマ溢れた存在の傍にいる事を選んだクラスメイトも多く、結局担任含めて二十名ほど騎士になった。自分の力で生きていくのに不安な者達とか結構ここに入ったりする。戦闘スキルじゃなくても国の後ろ盾がほしくて入ったものもいる。まぁ、剣スキルなどを今とっている最中らしい。

 あとは冒険者になったのが俺を含めて7名。冒険者ギルドではなく、生産ギルドの方に入ったのが五名。あと中谷みたいに自分で職を見つけたやつもいる。……あとは何をしているかはわからないが、まぁ、皆それぞれ生きている。

「ソロで登録している方はヒューガ様だけですしね」

「……あー」

 にっこりと笑われて何とも言えない気分になる。冒険者登録している俺を含めた七名は、俺以外の六人はパーティーを組んでいる。俺も誘われたが、正直気ままに生きたいのもあって断った。

 俺はまだこの世界の事がわからないし、採取や運搬などの誰にでもできる仕事からやっているがあいつらはユニークスキルを活用して討伐系もやっているらしい。もうDランクというのだから、頑張っているなと思う。

 俺? 俺はまだFランクでのんびりと稼いでいる最中だ。

 あとこの世界について知る事も大事だと考えているため、依頼をこなすだけではなく情報収集も結構している。この街の住民たちとも大分仲良くなったと思う。

「ウーヤさん。戦闘を教えてくれる冒険者を雇いたいのですが、その場合金額ってどれくらいになりますか?」

 ちなみに話している受付嬢は俺に冒険者について色々教えてくれた女性である。ウーヤさんは、後から聞いたが妖精族という種族らしい。妖精とか、本当にこの世界はファンタジーである。

「個人での依頼でかつ高ランクの方を頼むのでしたら一日で最低でも白銀貨はいりますね。ただ冒険者ギルドからの低ランク者育成のための依頼かつ中堅ランクの方と指定するならば一日半金貨ほどでしょうか」

「なら、それでお願いします。……ちょっとお金がないので、とりあえず二日ほど」

「はい、了解しました」

 低ランクの依頼は簡単な分報酬も低い。宿は安いところに移動して、食べるものも最低限安いものにしている。そしてギルドの口座に少しずつお金をためている最中だが、俺は現在それなりに貧乏である。

 武器を買うお金も現状たまっていない。討伐依頼は報酬が高いため、それらをこなせるようになればもっと楽になることだろう。

 まぁ、一人で行っても確実に死ぬから冒険者に戦い方を学ぼうとしているわけだが。実際、俺以外の六人組も最初の討伐依頼で一人怪我を負っていた。ユニークスキルがあろうとも気を抜けば怪我をするのだ。

 で、依頼をして冒険者ギルドの外に出たら、

「日向君も依頼?」

 例の六人組のパーティーの一人と鉢合わせた。

 メンバーは女二人、男四人といったパーティーだ。

 俺に声をかけてきたのは秋田奈子。異世界にやってきたとき、同じ班にいた女子生徒だ。

 確かほかのメンバーは、

 塚本孝輔つかもとこうすけ ユニークスキル《硬質化》

 神宮信じんぐうしん ユニークスキル《癒しの祈り》

 松崎賢斗まつざきけんと ユニークスキル《我流鑑定》

 伊上光之助いせきこうのすけ ユニークスキル《炎の弓》

 榎本千奈えのもとちな ユニークスキル《闇の裁き》である。

 どちらかというと女性陣二人の方が戦闘に向いている。

「今報酬もらったとこだ。秋田は一人か?」

「うん。私一人で報告にきたんだ。今日はね、沢山魔物を討伐できたの」

 嬉しそうに秋田はそういって笑う。

 冒険者ギルドに登録した秋田達はなんだかんだで異世界への適応能力が高かったのだろうななどと思う。騎士になったクラスメイト達の中には戦うことを恐れて竜崎についていったものもいたようだから。

 秋田たちは冒険者として少しずつ経験を積んで討伐をそれなりにこなせるようになってきている。六人ともユニークスキルを持っているのもあって、この世界の新米冒険者たちよりも戦いやすいのは当然である。

「あとね、最近接近戦も大事だからって少しずつ武器で戦うようにしてたら、スキルが手に入ったの」

「よかったな」

 ユニークスキルのほかの一般スキルは行動によって手に入る。俺も普通に生活していて少しずつ増えている。

「日向君は討伐はしないの?」

「そのうちする予定」

「そっか。じゃあ、気をつけてね」

「そっちもな」

「うん」

 そんな会話をして俺たちは別れた。

 同じく冒険者となった六人とはそれなりに交流をしている。というか、同じ組織に所属しているし、同じ町にいるから接点があるだけだが。

 俺も討伐系依頼を一人でこなせるように頑張ろうとそんな風に思った。




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