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4693話

カリ人の旅人が蒼い蜃気楼の宮殿の聳える紫色の湖の畔に着いた頃、黒き山羊座

の悪魔達は蟹星達を食い潰そうと虹色の狸達と藍色の白鼻心達の棲む村を青き

溶岩の蜂蜜で焼き潰そうという奸略を薨想して赤き蒼き星々の空を輝かせていた。

そんなベミラクリフォルと破壊文学の碩学にとっての悪夢の王達にとっての吉兆

溢れる禍々しき凶兆の星輝く夜空の中を一人の男が浮古島を駆り飛び抜けていく。


「さて、この浮島(マゴニオ)の動かし方と言葉は何とか覚えたがな、ここはどこだい?」


まさか自分がこんな目に遭うとはなあ、空想科学小説じゃあるまいて、誰がこん

な奇想天外な異世界に自分が迷い込むと思うだろうか?犬の頭の人間に猛禽の頭

の人間…あとライオン頭も居たな。

それにここいらの連中は妙な言葉を喋りやがる、英語に支那語にオイラト語に聞

いた事もない言語を混ぜごぜにした様な古いのか新しいのか全くわからん悪い冗

談の様なデタラメな言葉だ。

あのホラ吹きの高原が居たら泣いて喜んだだろうか、どうだ高原?羨ましいか?

俺の気が狂ったのでなければ、あのどうしようもないホラ吹き大陸浪人から聴い

たヂュール・ベルヌ大先生の唱える地の底にあると言う古代秘境の世界にでも迷

い込んだというのか?

こんな事なら敵性文学と嫌遠せず高原からもう少し空想科学やら神秘小説の話を

もっと真面目に聴いておけば良かったか。


「はっはっは」


水筒の水で喉を潤しながら・・・・は嗤うと、ゴソゴソと胸の内ポケットを探り

アルミ製とおぼしき二つの管容器を取り出し夜空に青く輝く美しい三つの月に翳

してまじまじと見つめた。

蓋は溶接されており容器にはこう刻印されている。


Dz(Drazonion)血漿濃縮液 製造年月日20xx年xx月xx日


Nh(Nihonium)素粒子固着液化燃料 製造年月日2016年xx月xx日


「さて、こいつは何だろうな?」


砂漠の真ん中で拾ったもんだが、日本語が書いてあるって事はどう考えても地球

で作られたものに違い無いとは思うが…Nihonium…ニホニウム?


「ニホニウムと言う位だから我が祖国と関係あるのかね?」


何故かこんな噂話を思い出した…。


『マッチ一箱位の量で街一つを吹き飛ばす事が出来る位の高威力の爆薬の研究が

軍ではされているという』…妙な噂だった。


「まさかな…」


・・・・は小さな刻印に目を細めた。


「時に2016年に20xx年、皇紀2676年か、ほお、参ったな、お次はH・G・ヱルズ

と来たか?

2676年じゃ俺はもうヨボヨボのジジイじゃねーか、靖国に逝く筈がまさか浦島

ジジイになれるとわな、はっはっは

アメ公の欺瞞作戦にしちゃあ良く出来てると思いたいが、こんな現実を見せら

れちまったらな。

ったくよう、もう何も疑う事すら許されねえな」


たっく、さっさと本国に 特斯拉線輪磁場発生装置(コイツ) を運ばねえとな

らねえのによう。


「おい高原、ここは一体どこだい?」


カリ人の旅人が蒼い蜃気楼の宮殿の聳える紫色の湖の畔に着いた頃、黒き山羊座

の悪魔達は蟹星達を食い潰そうと虹色の狸達と藍色の白鼻心達の棲む村を青き

溶岩の蜂蜜で焼き潰そうという奸略を薨想して赤き蒼き星々の空を輝かせていた。

そんなベミラクリフォルと破壊文学の碩学にとっての悪夢の王達にとっての吉兆

溢れる禍々しき凶兆の星輝く夜空の中を一人の男が浮古島を駆り飛び抜けていく。

そこにかつて零式艦上戦闘機と呼ばれたそれは浮古島の草っ原に鎮座して夜空に

煌く満天の異世界の星々を背に蒼く輝いていた。

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