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4695話

ミャッテムは黒豹アニャンガナに跨り石樹海窟の奥の道を走っていた。

或いはそれは朝だった。

弓士の夜明け前に影の音を掴むと毒星を包み七星投石の構えに入った

モリミル鉱床を駆け抜ける影の弓士と黒豹アニャンガナに跨る投石戦

士は輝く瞬きの様な剣のような尖った結晶を横切りながら躱しながら

互いに走った。

パフロクの形見羽星よ!ミャッテムに力を貸せ!ミャッテムの心の中

の叫びと共に第一の星が影の足に放たれたが羽星は黒く弾かれ宙に舞っ

た。

キニカイの黒星よ!黒猫を射よ!黒星は影の頭を掠った。メリチカイ

の赤星よゴムリヌムの加護星で黒獅子を射よ!加護星は影の腰を掠っ

た!ホムヌレミスの誓約星よハバレミの蠍星を射よ!契約星は影の手

をかすった!アニャの毬栗星よ釣針泥棒の叱責者を射よ!毬栗星は影

の頭を掠めた!クルビッペタの蒼き剣星よゴボミニスの縁者を射よ!

剣星は影の腰の辺りを掠めた!ミガニラッテの乾きの洞星よ!ガビの裏

切物の末裔を射よ!洞星はあさっての方向に飛んでいった・・・。


ミャッテム「あの弓士、どうやら裏切り物では無いらしいな」


ならば・・・


スガンタの無慈悲な義賊殺しの星よ!諸星を射よ!


影は振り向きざまに振るった青空剣を諸星は砕きその弓士の仮面もを

剥いだ!


そこに現れたのは蒼き髪・・・白き肌・・・赤き瞳・・・緑き爪・・・

黒き角のあるラノ装束の娘だった。ミャッテムは弓士のその娘の美しさ

に絶句した・・・

弓士は影から地面に転げ落ちミャッテムを見つめると、ビャビャの殺意

の根源たる怒りのカカカノッテ山の精霊達はラノの愛の地母神に一人残

らず首を絞め殺されてしまった。


ミャッテム「・・・誰だ?」


「」


ミャッテム「お前に矢を射る様に命じた者は誰か!言え!そいつを殺す!」


ミャッテムは自分が言っている言葉を疑い信じられなかった驚愕した混乱

し動転し焦った。ビャビャの仇殺しの掟を忘れる程に。


「」


ミャッテム「言えぬか・・・なら、お前の部族の名は?ラノ族なのか?」


「」

「」

「」


ミャッテム「わが友、パフロクの仇の名を教えろ!誰だ!そいつを殺さねばならぬ!ビャビャの掟だ!」


掟はすでに歪んでいた。

カカカノッテ山の精霊達がラノの愛の自母神に首を絞められ命惜しさに

でたらめな宴話をほざいているのだ。


「」

「」

「」


そのまま呆然とミャッテムは立ち尽くし。

もう昼も沈んでいた・・・青い妖しの月が2人をいつまでも照らしていた。


「ヘルー、我が名は弓士ヘルー」


ヘルーが顔を上げて見たミャッテムは勇敢な男であった・

その夜、2人は過ちを犯したのだった。


ラノ族の伝承

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