やめてはじまり
書くことなんてない
もう書けない
書きたくない
投げ出して十年経ち
ふっと書きたいことが
降りてきた
薄茶色の四角の中に
十年ぶりに言葉をおさめていく
書きたいこと、が勢いこんで
文字がひしゃげてゆがんで
しまった
書くことかなかったのではなく
書きたいことを忘れていたのだ
書きたかったことを恥ずかしがって
しまいこんでいた
何かの拍子にしまいこんだものが
雪崩落ちてきた
ガラクタだけれど、愛しい数々
自分だけの大切なもの
拙い小説をひとつ書き上げた
体調壊して小説書きを休止
詩を書きはじめて今日で半年経つ
ひとつ止まってひとつ始まる
事の始まりは授かり物のような気がして
生きる術を得た喜びがあった