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俺は異世界でも平和に暮らしていたい  作者: 夜乃
変わり始めた日常
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第7話 先生になりました・・・

 シルフィスがギルド《ヘルパー》に訪問してから1週間が経った。

今、海斗は自分の住んでいる町から遠く離れた所にいた。

そう、海斗が住んでいるウォーリアル共和国の首都ミローネである。

もちろん、海斗が首都に来ている理由は観光などではなく、シルフィスがギルドマスターに頼み、海斗にまわした聖ライラス学園の臨時講師の依頼のためである。


ここで、海斗が臨時講師を行う聖ライラス学園について説明しよう。

聖ライラス学園はウォーリアル共和国の中で最大の生徒数を誇り、歴史の長い学園なのだ。

その学園の生徒数は、中高合わせ、約1500人を超えるとされている。

また、生徒は人間からエルフ、ドワーフ、獣人、翼霊種の全種族が通える学校なのだ。

そして、この学園の最大の特徴は他の学校と違い地下ダンジョンを持ち、生徒たちの育成に力を注いでいる学校なのだ。

そのため、その学園の生徒たちは他の学校の生徒たちに比べレベルが高く、知識も多いため将来は有望なのである。



海斗はそんな学園の臨時講師を勤めることになった。

そして、彼は現在一人でその学園の正門の前に立っていた。


「ハァ~、憂鬱だな・・・・。まあ、仕方ないか」


海斗はそう言うと、今の時間は誰もいない正門を通り、学園の玄関に向かって歩き出した。

海斗が歩いていると、前から一人の男が海斗に近寄り声をかけた。


「すみません。どちら様でしょうか。この学園は関係者以外立ち入り禁止なんですが」


「今日からこの学園の臨時講師を務めることになったカイト・シノザキです」


海斗はそう言いながら、懐から書類を取り出し、男に見せた。

男はそれを確認すると、海斗に一枚のカードを差し出した。


「ああ、話は聞いていますよ。これは、この学園の入校許可書みたいなものなのでお持ちください。そして、はじめまして。私はこの学園の高等部1-Sを一緒に担当することになった、リゼール・セントといいます。よろしくお願いします、カイトさん」


「こちらこそよろしくお願いします。リゼールさん」


海斗はカードを受け取り、リゼールと握手を交わした。



その後、リゼールは海斗に学園を案内して回った。


「ここが、魔法薬実験室です。さて、これで後回っていないのは教室棟だけです。教室棟は1階に高等科の三年の教室があり、そこから2階が二年、3階が一年、4階が中等科の三年、5階が二年、そして6階が一年の教室になっています」


「わかりました。それにしてもこの学校は広いし、階も多いですよね」


「そうですね。毎年、入学してくる生徒たちが迷子になる事件なんてよくありますし、それに一度は一クラス全員が移動教室で迷子になったなんて事件もありました」


「ハハハ・・・」


海斗は苦笑いを浮かべた。


「そう言えば、クラスはそれぞれの学年で何クラスくらいあるんですか?」


「そうですね。全学年7クラスになっていますよ」


「クラスはやはり、成績順ですか?」


「いえ、Sクラス以外のA~Fまでのクラスは関係ありません。Sクラスだけは成績の優秀なものたちが集まっていますよ」


「そこを教えるとなると、大変ですね」


「ええ、しかも今年の高等科1年は別格ですから、本当に大変ですよ」


「まあ、お互いがんばりましょう」


「そうですね。それではクラスの子達と対面しますか」


「はい」


海斗とリゼールは話をやめ、生徒たちが勉強している教室棟に移動した。



二人が教室棟に着いた時は丁度授業の終わりだったため、複数の生徒が教室から廊下に出ていた。

二人は生徒たちを眺めながら、担当する高等科の一年Sクラスに移動していた。


「それにしても、本当に元気な生徒たちですね」


海斗は廊下に出ている生徒たちを見て、率直な感想を述べた。


「ハハハ、このくらいはまだ序の口ですよ。私たちのクラスの生徒たちはもっと凄いですから」


「そうなんですか」


「ええ、あ、この階段を過ぎて一番奥にあるのが1ーSですよ」


「ハァ~ なんか緊張してきました・・・」


「大丈夫ですよ。基本的にいい子達ですから」


「(あれ、話と違うな・・・)・・・そうなんですか」


「ええ、そうですよ」


海斗はこの学園に来る前にシルフィスから聞いていた話と違うことに混乱した。

海斗がシルフィスから聞いた話では高等科の1ーSは実力が高すぎるため、複数の教師たちが指導を降り、能力が低い者には嫌がらせをするとまで聞いていたのだ。


「あの、そう言えば俺は何を教えればいいんですか」


「カイトさんには魔道学、魔法薬物学などの魔法関連を中心に教えていただく予定です」


「なるほど・・・。あのもう一つ聞きますが、このクラスを教えるのは俺とリゼールさんだけですか?」


「ええ、他の先生はなぜかやりたくないと言っていたので、私が教科書などの内容を基本的に」


「・・・・・そうですか」


海斗は本気で今すぐに仕事を放り出してでも家に帰りたいと思った。

だが、それはすでに不可能であり、二人が教室の前に着くのと同時に学園の鐘が鳴り授業の開始を告げた。

海斗とリゼールはドアを開け、中に入った。

中にはすでに、全ての生徒が席についていた。

そして、教室に入ってきた海斗を見つめていた。

リゼールはそれに気づき、海斗の紹介を始めた。


「はい、みなさん席についていますね。さて、今日からこのクラスの副担任を務めていただくカイト・シノザキ先生です。それではカイト先生自己紹介を」


海斗はリゼールの言った、副担任と言う依頼書にすら書いてないことに動揺したが、一瞬で切り替え黒板に名前を書き、自己紹介を始めた。


「カイト・シノザキだ。主に魔法関連のについて授業をしていくのでよろしく。まあ、副担任だが非常勤講師学校なんで週3しか来ないがよろしく頼むよ。ちなみに、得意な科目は魔法関連だ」


「では、カイト先生に質問がある人はいませんか」


リゼールがそう言うと、複数の生徒から手が挙がった。

海斗は生徒たちの質問を答えながら、生徒たちの観察を始めた。

その後、この授業時間は生徒たちが海斗に質問するだけで終わった。

その後は、海斗はリゼールト共に教室から退室した。


リゼールは廊下で海斗に1-Sの生徒たちの印象について質問した。」


「どうでしたか?あの子達は」


「ええ、面白い子達ですね。特に右後ろに固まっている5人組は特に面白そうでしたよ」


「ああ、あの子達ですか。あの子達はそれぞれの親がマスターなんですよ。そして、成績は優秀すぎて私もたまに驚かされますよ」


「そうなんですか」


「はい、でもあの子達は全員仲がいいんですよ」


「珍しいですね。俺が見た限りでは全員種族が違いますよね」


「よくわかりましたね。私も最初見た時は間違えてしまったのに」


「ハハハハ・・・。(まあ、《サーチ》を使って調べたんだが)」


「たしか、次の時間から早速カイトさんには授業をしていただきます」


「たしか、魔道学でしたよね」


「ええ、というかこの後は全部カイトさんの授業なのでがんばってください」


「リゼールさんは見ていかないんですか?」


「ええ、この後は少し出かけなければいけないので。あと、授業内容は教務室の私の机の上に置いてあるのでそれを確認してください」


「わかりました」


二人は教務室に戻り、それぞれの準備を始めた。

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