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俺は異世界でも平和に暮らしていたい  作者: 夜乃
変わり始めた日常
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第4話 買い物と依頼

 優希Side


 優希は海斗が仕事に出かけてから、海斗が用意した部屋でゲートを開き中にあったアイテムを整理していた。


「え~と、とりあえず必要なものは、装備品以外の衣服類や食器、他には生活用品などを買おう」


優希はそう言うと、ゲートを閉じワンピースに似た防具をつけ、海斗から貰ったお金(こちらの世界では約10万円ほどの金額)を持ち、海斗から預かった鍵を掛けた。

優希はそのまま街中に移動した。



優希はまず始めに、衣服を買うために町で一番大きいブティックにで買い物をした。

そこで優希は気に入った、服やズボン、ワンピースなどを買い、店の外に出た。


「可愛い服もたくさんあって良かった。でも、この世界にもTシャツがあるなんて。しかも、漢字のロゴつきって。まあ、たぶん犯人はあいつだろうけど。てか、買ってしまったけど」


優希はこのTシャツのデザインを考えたのであろう、幼馴染の顔を思い浮かべながら次に食器が売ってそうなお店を探し始めた。



優希は食器の売っている店を探していた時、後ろから一人の女性に声をかけられた。


「お~い、優希ちゃん」


優希は聞き覚えのある声のほうを振り向くと、そこには昨日優希を介抱してくれたおばさんがいた。


「おばさん、昨日は助かりました。ありがとうございます」


「いいんだよ、そんなことは。それより体のほうは大丈夫かい」


「はい。もう大丈夫です。それに住む場所もかい、じゃなくてマスターが使ってない部屋を用意してくれたので困っていませんし」


「そうかい。それはよかったね」


「はい。あ、一つ聞いてもいいですか」


「いいよ」


「この町の人たちにとってマスターってどんな人なんですか」


「カイト様のことかい。そんなの決まっているじゃないか。この町の人たちはみんなカイト様のことが好きだよ」


「どうしてですか?」


「カイト様の前のマスターがあまりにも酷過ぎたんだよ。そんな時、まだ冒険者だったカイト様がこの町に来たんだよ。それからカイト様は一ヶ月も経たないうちに先代のマスターとサポーターたちを追い出したんだよ」


「どうやってですか」


「カイト様はここに来る前に首都のミローネで冒険者をやっていたんだけどね。その時に他のヒューマのマスターと知り合っていたらしいんだよ。そこで、そのマスターに自分で調べた証拠を渡して、そのマスターとサポーターを追い出してもらったわけさ」


「なるほど」


「それに他にもカイト様の武勇はあるんだよ」


おばさんはそう言うと、優希に海斗が冒険者時代に行っていたあること無いことを話し始めた。


  優希Side終了




海斗は頼まれていた仕事が全て終わり、帰宅しようと持ってきたアイテムをゲートに収納していた。

そんな時に、一人の男が声をかけてきた。


「すみません。少しいいですか」


海斗はその男の姿を確認した。

その男は冒険者ギルドに属するガーディアンと呼ばれるものだけが着る事を許された制服を着ていた。


「ガーディアンが一体何のようですか。まさか、あいつの持っていった手紙のことですか」


「はい、ユウキ・オガワ様が持ってきた手紙と推薦理由についてもう少し詳しく説明してほしいと支部長からの命じられましたので、ご同行をお願いします」


「ハァ~。わかりました」


海斗は溜息をつくと、男のあとを追った。


ここで冒険者ギルドについて説明しよう。

冒険者ギルドとは全ての大陸にいくつもの支店を持ち、それぞれの国のトップと太いバイブを持っており、冒険者なら必ずここに登録している。

国の王や貴族などの権力が大きい人たちや商人たちから頼まれる依頼が多く、権力者からは討伐系統の依頼が多く、商人たちからは護衛やアイテムの採取系統の依頼が多い。

ちなみに、海斗が行っているギルドは冒険者ギルドとはまた別のものだ。

最後に、冒険者ギルドに属する冒険者たちはギルドカードと呼ばれる身分証名称のようなものを持っている。

冒険者たちにはそれぞれE~Sそして称号までのランクがあり、ギルドカードはランクが上がるごとに色が変わる。

ランクはそれぞれ受けられる依頼にも影響し、ランクが高ければ受けられる依頼のバリエーションも増え、高いランクの冒険者は冒険者ギルドから時々名指しでくる特別な依頼を受けることができる。

無論、その依頼の報酬は破格なものでこの依頼を受けられる冒険者はA~Sの中の実力者だけだ。

ちなみに、海斗のランクはSを超え、《法を司る者》と呼ばれる称号を持っている。

Sランクを超え、称号がある冒険者はこの世界で3人しかいない。

そのため、海斗はギルドマスターからだいぶ危険な依頼を何度か受けており、冒険者ギルド内でもギルドマスターの懐刀と呼ばれることもある。

ちなみに、称号持ちの情報は不明になっており、ギルド内でも彼らの情報を知っているのはギルドマスター以外いない。



海斗は男のあとにつづき、ギルドの中に入っていった。

海斗が中に入ると中にいた冒険者たちが一斉に海斗たちの方を向いた。

海斗はそれを無視してギルドの奥にある、支部長の部屋に入っていた。

そこには、支部長である男と一人の初老の男性がいた。


「ハァ~。お久しぶりです、ガイル支部長、そしてあなたがここにいるとは思いませんでしたよ。クロードギルドマスター様」


「久しぶりだね。1ヶ月ぶりかな」


「久しいのカイトよ。今回はわしも用があってきたのじゃ」


「あの報告書についてですね」


海斗が言うと、ガイルは机の引き出しから海斗が優希に渡した報告書を取り出した。


「うん。それでこの報告書の内容なんだけど」


「事実です。報告書にあったとおり、複数の冒険者たちが密猟を行っている可能性があります」


「そうか。情報源はどこかね?」


「酒場の店主からの情報で数名の冒険者たちが酔ったときに話しているのを聞いたそうです。ただ、裏はまだ取っていないのでそちらのほうは任せます」


「信用できるのかい」


「大丈夫ですよ。店主とは友人ですし、酔った時に嘘をつくことなんてできませんから」


「うん。わかった、それじゃあ調べてみるよ」


「お願いします。さて、他には何か御用ですか」


「僕からはもう無いよ」


「それじゃあ、次はわしじゃな」


「何でしょうか」


「お主の推薦したあの娘のことじゃが・・・」


「彼女は大丈夫ですよ。彼女の身元は俺が100%保証できます」


「そうか。それならよい。あと、もう一つ長期的な依頼なのじゃがよいか?」


「何ですか?」


「お主はミローネにある聖ライラス学園は知っておるな」


「ええ、サポーターの子供やそれなりに金を持っている商人の息子たちやかなり高いの能力を持っている子供たちが通っている学園でしたよね」


「そうじゃ、簡単に言えばこの国の中で一番優秀な生徒たちが通う学園じゃな」


「それがどうしたんで・・・・まさか、とは思いますけど・・・」


「そのまさかじゃ。お主にはその学園で臨時の講師してもらいたくてのう」


「あの、俺とほんの2,3歳しか変わらない奴らに教えなくちゃいけないんですか」


「大丈夫じゃ。あの学園は実力重視だからのう」


「そうですか。ただし、少し待って下さい。俺の家に居候ができたんでそいつが仕事に就けるまで面倒をみたいんですよ」


「う~ん。仕方ないのう。この依頼は少しの間保留にしておくからそれが終わったら、ガイルを通じてわしに連絡してくれ」


「わかりました。とりあえず、居候が心配するんで今日はもう帰ります」


海斗はそう言うと、クロードとガイルに頭を下げると部屋を後にした。

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