16話 前日にフラグを立てたら駄目だと思う
第二章突入です。
海斗視点で過去が語られていき、他のメンバーがそれを少しずつ補足していきます。
そして、話は変わりますが、私の新作小説「魔法が使えないはずの僕が古の魔法を習得したようです」も一話の段階で9人の方にお気に入りに登録していただき感謝します。
ちなみに、小説の更新はこれからは交互に行っていきます。
ただし、何か特別な理由があれば更新の順番を変更しますのでよろしくお願いします。
休日の前日
海斗は学園の仕事が速く終わったため、ギルドに帰ってきていた。
そのとき、優希は別の仕事のためギルドから出かけており、ギルドには誰もいなかった。
「優希はいないか。まあ、当たり前か」
海斗はそう言うと、この世界では電話の変わりになる、通信結晶と呼ばれる魔道具に連絡が着ていたことに気づいた。
海斗は通信結晶を操作して、連絡をしてきた人物が誰なのかを調べたが通信結晶には登録されていない人物であることが分かった。
そこで、海斗は通信結晶についている録音機能に連絡が残されていたので、それを聞いた。
『もしもし、カイくんの通信結晶だよね。ミーシャちゃんだよ。録音聞いたら登録しておいてね。あと、明日久しぶりに暇が出来たからカイくんの所に遊びに行くね。それじゃあまた明日』
そこで録音は終わっていた。
海斗は録音内容を聞き終わり、苦笑いを浮かべた。
「ハハハ、明日はシルやマリベルの他にミーシャも来るのかよ。まあ、優希に過去話をするのにはピッタリなメンバーだが・・・。まさか、久々に四人もそろうとは」
海斗は自分の部屋に行き、着替えてから通信結晶を手に取り、シルフィスに連絡をいれた。
『・・・・カイトか、』
『今、暇か・・・』
『悪い、まだ少し立て込んでるから、十分後くらいしたらかけ直すよ』
『いや、マリベルにも連絡を入れるから俺からかけ直すよ』
『わかった。とりあえず、この10分さえ過ぎれば暇になるから』
『分かった。それじゃあ、後でな』
海斗は、そう言うと通信をやめた。
そして、マリベルに連絡を入れた。
『・・もしもし、カイ君どうしたの』
『明日のことで話しがあるんだが・・・』
『なるほどね。それでどうしたの』
『明日、ここにお前とシルフィスが来るだろ』
『うん。久々に三人で優希ちゃんに昔話をしてあげるんだよね』
『ああ、そうなんだが・・・実はもう一人くることになった』
『誰?』
『ミーシャ・・・・』
『ミーちゃんも来るの』
『そうだよ。あいつに合うのは本当に久々だよな』
『そうだね』
『それでなんだが、あいつ3ヶ月前に《アニマー》のマスターになっただろ。それで何かお祝いのものを持ってきてほしいんだが』
『わかったよ』
『ありがとう、助かるよ』
『それじゃあ、これからお祝いを買ってくるから切るね』
『うん。それじゃあまた明日』
海斗はそう言うと、通話を切った。
時計を確認すると、まだ10分経っていなかったため、ダイニングに行き、紅茶を用意して時間を潰した。
紅茶とお茶菓子を用意し終える頃には、すでに10分経っていた。
海斗はお茶を一口のみ、シルフィスに連絡を入れた。
『・・・もしもし、カイトか』
『うん。悪いな急に連絡して時間まで作ってもらって』
『いや、友人の頼みだからな。それでどうしたんだ』
『さっき、マリベルに連絡したんだが、明日ミーシャも来ることになったんだ』
『そうなのか。なるほどな』
『おお、察しのいいシルならわかるか』
『ああ、ミーシャにマスター就任祝いの品を持ってきてほしいってところだろ』
『流石、シル。よくわかっているじゃないか』
『それにしても、この四人が揃うって少し不吉だよね。他の奴らも呼び出してしまいそうで』
『それは勘弁してほしい。優希に説明するにはベストすぎるメンバーだが俺たち6人が揃うと・・・・』
『分かっているよ。冒険者時代にアンラッキーシックスって呼ばれていた時期もあったんだから』
『本当に6人揃ったときの記憶はあまりろくなものが無いよな』
『確かにそうだね。幽霊屋敷で死に掛けたり、新しく発見された遺跡で死に掛けたり』
『そうそう、魔人に喧嘩を売ったときも合ったよな』
『まあ、僕たちが生きているのは君の人外な戦闘能力のおかげだよね』
『でも、お前たちだって十分強いだろ。禁呪をいくつか習得しているじゃん」
『君のおかげでね』
『とりあえず、何か持って来てくれよ』
『わかったよ。あと、明日何もおきないといいね』
『不吉なことを言うなよ。あと、四人揃うんだから無理だ、諦めろ』
『そうだね・・・。それじゃあ、お祝いの品を買ってくるから切るね』
『おお、また明日な』
海斗は通話を切った。
そして、このときの海斗とシルフィスはまだこの会話が本当のことになるとは冗談程度にしか思っていなかった。
だが、もしこの時に海斗とシルフィスは戻れるのなら、フラグのような発言をしていた自分たちを殴ってでも止めていただろう。
そして、二人は後悔することとなるのだった。




