15話 エピローグ 二人の報告
これにて、一章が完結します。
そして、第二章(過去と今)が始まります。
この章では海斗の過去話と新キャラが複数登場します。
ちなみに次の更新日である8月18日は新作のほうを更新するため、こちらはお休みしますので、よろしくお願いします。
海斗は初の学園での仕事が終わり、優希は依頼+αが終わりいつもより遅い夕食をとっていた。
そこで、優希は洞窟内で遭遇したドラゴンの話をした。
「ハハハハ、それは災難だったね、優希」
「・・・・・で、結局あのドラゴンは何だったのよ」
「てか、気持ち悪いドラゴンと言われてもよくわからないんだけど。どんな見た目だった?」
「え~と、たしか・・・・」
優希は海斗にドラゴンの見た目や行動などを説明した。
それを聞いた海斗は興奮したように叫んだ。
「マジか!!」
「うるさい!急に叫びだしてどうしたのよ」
「ああ、悪い。つい興奮してしまった。まさか、初期デザインのアンデットドラゴンがいるとは思っていなかったから」
「初期デザイン?」
「ああ、優希は2期から以降からこのゲームをやりだしたんだろ」
「2期?」
「簡単に言えば《FreeLifeOnline》のサービスが始まった当初から始めたプレイヤーじゃなくて、価格が安くなった特別版あたりから始めただろ」
「たしかに、そうよ」
「やっぱりな。だって、その頃にはアンデットドラゴンのデザインはお前が遭遇した奴よりまともなデザインだったろ」
「ええ、そうね。アンデットドラゴンの特徴なんて、鱗が変色して目が死んでいるくらいだったもの」
「でも、本当のデザインはお前が戦った奴だったんだけど、色々と問題が起こって廃止になったんだよ」
「問題って?」
「ああ、実はあのデザインで数々の我が同氏たちが恥をさらしたんだ」
「・・・具体的に」
「・・・・あのデザインだろ・・・。しかも、俺たちサービススタートと同時に始めた冒険者たちはアンデットドラゴンがいることは知っていたが具体的なデザインは知らなかったんだよ。だから、初めて見た連中はそのデザインの禍々しさや気持ち悪さに・・・・後は言わなくても解るな」
「上や下からなど・・・」
「そのとおりです。出してしまったんです」
「・・・・まあ、なんとなく解るわ」
「しかも、その頃はまだレベルの上限も途中で止められていて、しかも俺たちよりも高レベルの状態で登場したんだぜ。そのこともあり初期のプレイヤーたちからはトラウマ状態だったんだ。まあ、俺が組んでいたパーティは全員グロに耐性があったからフルボッコにしてやったんだけどな」
「高レベルだけど出来るの?」
「所詮はアンデットさ。光属性の攻撃でボコボコにしてやったよ。懐かしいな」
「そうなんだ。話は変わるけど海斗のほうはどうだった?」
「学園か・・・。それなら」
海斗は学園で起こったことを優希に説明した。
「・・・弟子なんかいたんだ」
「ああ、あいつも成長してくれと師匠として鼻が高かったよ」
「ふ~ん。でも、本当にクラス全員に禁呪なんて覚えさせられるの?剣士職もいるのに」
「え、まさかこのことも知らないのか!」
「何が?」
海斗は溜息をついて優希に説明した。
「禁呪は魔法以外にも存在するぞ」
「そうなの?」
「・・・・仕方ない。説明してやる。きんじゅとは本来禁じられた術の事を指す。それがいつの間にか術を呪いと書いて禁呪と読む奴らが現れた。そのため、魔法は呪いの一種みたいに昔から思われていたから大体の奴らはみんな禁呪は魔法しかないと思い込み始めた。だが、本来は術系すべての事を指すため魔法以外の攻撃手段であるスキルにも禁呪は存在するんだ」
「なるほど・・。でも、ゲームの中にはそんな技なんて一つも・・・」
「おい、あの有名な技を忘れたのか?」
「有名な技?」
「そうだよ。パッケージのも書いてあった有名な技。《コスモブレイカー》のことだよ。あれも一応禁呪なんだぞ」
「そうだったの!」
「ああ、そうだよ。まあ、今現在その技が使えるのは俺の知っている中じゃガルだけだな」
「誰なの、その人」
「俺と一緒にこのギルドを立ち上げたメンバーの一人だ」
「え、そんな人がいたの」
「てか、このギルドを創ったメンバーは俺を含め6人いるぞ。ちなみにお前も会ったことのあるシルフィスとマリベルの二人もそのメンバーだぞ」
「そうなの」
「そうだよ。まあ、あの時はまだチームとして活動していたんだけど、その時のパーティリーダーが俺だったからここでそのときのチーム名を使って万能ギルドを始めたんだ」
「へぇ~。これが《ヘルパー》の始まりだったんだ」
「まあ、そうだな。まあ、あの時は本当に大変だったよ」
「ふ~ん。てか、私と出会う前まで、海斗がどんなことをしていたか気になるんだけど」
「まあ、話しても別におもしろくもなんとも・・・いや、十分おもしろいわ」
「なら、話してよ」
「う~ん。長くなるから今度の休日でいいか。まあ、丁度マリベルとシルフィスも暇だから遊びに来るって連絡があったし」
「わかったわ」
この時、二人はまだ知らない。
その休日が原因で二人の生活が大きく変わることを二人はまだ知らない。




