番外編 休日のギルド《ヘルパー》その1
今回はこの小説の投稿日から丁度一ヶ月が経ち、さらに10,000PVを突破したことを記念して作りました。
そのため、学校での話は一旦休憩です。
ちなみに、次回もこの番外編の続きになる予定です。
この話は優希がヘルパー従業員になってから初めて過ごす休日の物語である。
優希は一人で久々の暇をもてあましていた。
なぜなら、今日は週に二日あるギルド《ヘルパー》の休日だからだ。
そのため、優希はいつもなら忙しいはずの職場でゆったりとした時間を過ごしていたのだ。
「やっぱり休日は本当に落ち着くな~。元の世界でも休日はゆっくり過ごしていたけど、異世界に来てからもこんな時間を過ごせるとは思ってなかったな~♪」
優希はそう言いながら、自室で先ほど用意した緑茶を湯飲みのような形の器で飲みながら海斗の部屋に置いてあったいくつかの本を読んでいた。
それから、数十分が過ぎ優希は読んでいた本から顔を上げ呟いた。
「本当に暇すぎる・・・・。てか、海斗の奴まだ帰ってこないの・・・」
優希は流石に特にやることも無い状況に飽きてしまっていた。
しかも、このギルドの店主あり、話し相手の海斗はただいま用事のため出かけており、優希派留守を任されているため外に出かけられない。
優希はとりあえず、もう一口お茶を飲みひとまずは下の階に下りることに決めた。
優希が下の階に下り、食堂に行くと朝食を食べていた時には無かった手紙がテーブルの上に置いてあった。
優希派それを手に取り、内容を確認した。
それは海斗が優希に宛てたものだった。
『たぶん、暇をもてあましているだろう優希へ
お前がこの手紙を読んでいる頃にはたぶん俺は出かけていると思うが、あまり遅くならないと思うので心配はしなくていい。 まあ、お前のことだから心配なんてしていないと思うが。
それよりも、暇をもてあまして暴れていそうだがな。
とりあえず、暇をもてあましているなら俺の部屋にある魔道書を見てみたらいいと思うぞ。
たぶん、今のお前なら使えなかった魔法も使えるようになっているはずだから。
あ、あと黒い背表紙の魔道書は読むなよ。
あれは、本当に危ない魔道書だからな。いいな。
ただいま用事で忙しいはずの海斗より』
「予知能力か・・・。あ、そういえば、あいつ占い師のスキルも全部習得しているからか。まあ、とりあえずあいつの部屋に行ってみるか」
優希はそう言うと、海斗の部屋に向かったのだった。
その頃、海斗はギルドからの依頼でエルフたちが住む《エルフォレスト》のすぐそばにある森に来ていた。
「依頼内容があの時の密猟団の捕縛かよ・・・。普通はガーディアンに任せろよ」
海斗はそうぼやきながら、深い森の中を進んでいたのだった。
そんな時、海斗のすぐ近くの草むらから物音が聞こえたかと思うと、一匹の妖精が飛び出してきた。
海斗は妖精の様子がおかしいことに気がつき、言葉を変換させることの出来る光属性の魔法を使用し、妖精に話しかけた。
「どうしたんだ?」
「あれ、私たちの言葉はなせるの?」
「ああ、魔法を使ったからな。それで何があったんだ?」
「お願い、私の仲間を助けて。武装した人間たちが私たちを襲ってきたの」
「わかった」
海斗はうなずくと妖精に人間たちが養成を襲っている場所に案内させた。
そこには、居酒屋で密猟をやっていると言っていた冒険者たちの他に数名の冒険者が混じっていた。
海斗は、雷属性の魔法の初級の《ボルト》を冒険者たちに威嚇の目的で放った。
冒険者たちは自分たちに攻撃してきたものに視線を向け、それが海斗であることに気づき顔を青ざめさせた。
「な、なんでこんなところにこいつが!」
「おい!俺はこんな化け物が来るなんて聞いてないぞ!!」
冒険者たちは口々に仲間を罵り合った。
海斗はいい加減その光景にイラついてきたので、鎖を放つ光属性の魔法を放ち冒険者たちを拘束した。
そしえ、海斗は貼り付けたような笑顔で男たちを拘束した冒険者たちを見下ろし、口を開いた。
「おい、お前ら。俺の統治している場所で冒険者をやっていながら、密猟とはいい度胸だな・・・。もしかして、俺の休日を潰すためにこんなふざけたことをやったのか・・・・。ハハハ、本当にいい度胸しているなお前ら。まあ、とりあえず殺しはしないから安心していいぞ・・・・。まあ、死なせない程度ならいじめてもいい許可は取ってあるから覚悟しろよ」
海斗はそう言うと笑みをさらに深くした。
その後、森から数名の断末魔のような叫びが聞こえたという噂が《エルフォレスト》内で流れたのだった。
場所をギルド《ヘルパー》に戻そう。
優希はただいま海斗の部屋で光属性の魔法の習得に励んでいた。
「う~ん。ゲームではあまり気にしていなかったけど、実際覚えるとなると難しいな。ゲームだと簡単に扱えたのに実際扱うとなると、魔法陣から習得しなきゃいけないのか」
優希はさっきから、魔道書を読んでいたが、ゲームとはまったく違う魔法の使用方法に四苦八苦していた。
だが、新しいことを覚えることは元の世界でも好きだったため、意外と楽しくやっていた。
それから、2時間ほどが経ち、優希は魔法陣の原理を理解し、順調に光属性の魔法を習得していっていた。
そして、優希がその魔道書の最後に書いてある光属性の禁呪《罪と罰》の習得が終わったのと丁度同じく、海斗もギルドに捕まえた密猟団を引き渡し、帰宅した。
優希は海斗を出迎えると、海斗に用事について質問した。
「一体何していたのよ?こっちはだいぶ暇をもてましていたんですけど」
「アハハ、いやー、大人のくせに決められたルールを守れないクズどもの粛清かな」
「そ、そうなんだ」
優希は海斗に粛清されたであろう人たちに心の中で手を合わせた。
海斗も、優希にさっきまで何をやっていたのか質問した。
「お前こそ、何やっていたんだよ。まあ、たぶん手紙を読んでいたのなら魔法の習得か」
「そのとおりよ。光属性を中心に覚えていたんだけど、魔法陣を理解するのに30分近くかかったわ。でも、最後まで覚えられたからよかったけど」
「へぇ~。どの魔道書を使ったんだ?」
「たしか、光輝の書だったかしら」
「・・・おい。それは光属性の魔道書の中でももっとも難易度の難しい魔法ばかり書いてある書だぞ。まあ、お前の職業補正の可能性が高いからいいか。とりあえず優希、これから昼飯食ったら暇だし、遊びに行こうぜ」
「いいわよ。でも、面白くなかったら、新しく覚えた魔法を思いっきり放つからね」
「・・・りょ、了解」
背中から冷や汗を流しながら海斗は答えた。
続く・・・・




