走る、男 ~ACT2~
ジロー、走る!
若干書き加え、修正しました。
この話の台詞と3話目の台詞、変更しました。
残暑の日差しは容赦なく照りつける。わけ隔てなく…
今日は確か外の天気は32度だ。汗がジローの額から頬に滴った。大学のキャンパスは広く。ジローは大学の真ん中に位置する芝生の上を横切る。今朝、セットした寝癖のような髪型はメチャクチャになり、髪型なのか無精に乱れた髪なのかわからない状態になっていた。
タタタタタタタタっ
ジローは走った。芝生を抜けて第1講義棟の前を通り、左に曲がったその先の第3講義棟の迎えに学生課のある建物がある。ガラス扉をこじ開け、学生課に行くと受付の女性が応対した。テストまであと、3分を切った。
「どうしたの?そんなに急いで…」滝のような汗をかき、寝癖なのかなんなのかわからない髪型をするジローを見て目を丸くしながら、受付の女性は言った。
「ふ~今日の13時からの再試のお金まだ払えますか?」
女性の気ずかいを無視してジローは言った。
「…え~とあと二分で始まるわね、まだ始まってないから3000円払ってくれれば平気よ。途中からも試験に参加もできるから今からなら間に合うわ」
なんとなく事情を察したのか女性は、さっきとは打って変わり、冷静だった。
「よかったぁ~」
ジローは安堵のため息をつくと、財布をショルダーバックの中から探し、取り出した。
「ふ~…ん?あれ?…い、いくらでしたっけ?!」
「一科目3000円よ」
「……タリナイ」
ジローの財布には1000円札が一枚だけだった。一昨日、堤に生活費が危ないということで5000円を渡したことを思い出した。追試?だから生活費、危ないって……
「どうしたの?大丈夫?」
女性はジローの顔を覗き込んだ。
「あ、あと払いは?」
「ごめんね~規則は破れないから~」
気の毒そうな顔で女性は言った。世の中規則ばかりだ、ジローは自分のことを棚に上げて思った。
『留・年』
その二文字がジローの脳裏に浮かんだ。重い二文字がのしかかる。大学生にとって死の宣告に近いのかもしれない。ジローは後ろにあるソファーにもたれ掛かった。
どうしよう…
「うはははは~ジローだ」
うなだれていると、いきなり声をかけられた。日焼けした黒い肌、金色のメッシュの入った長髪、根岸がそこに立っていた。不快なジーンズから下がるチェーンの音がする。根岸だ。あともう1人根岸の友人らしき人物も立っていたが、誰かはわからない。
「うははは~なに凹んこんでんだぁ~とうとう留年かぁぁ~ぐひゃひゃひゃぁ~」
根岸は不気味な笑い声で言う。ジローは不快感で満たされる。このタイミングで最悪のやつにあった、ジローは思った。一発焼きでもいれてやろうか…ジローはそうおもったが、それより先に違う言葉が口に出た。
「ね、根岸!お、お前、俺にお金貸してくれ!」
ジローは思いつきを言った。ジローはあまり期待はしていない。
「……おお、イカチーなぁ、いいぞ」
笑い声が止み、根岸は真顔になり、そう言うと3000円を取り出した。
なんなんだコイツは?ジローは思った。とりあえずジローは根岸に感謝した。




