ゲームセンターのお姉さん
1984年の夏は、アーケードゲームの筐体が汗でベタつく季節だった。
デパートの屋上、『パラダイスアミューズメント』。
ここには一つの伝説がいた。
店員の麗子お姉さんだ。
年齢は二十歳。
切れ長の目に、いつも少しだけ挑むような口元。
凛としたその顔立ちには気品があり、近所の中学生たちが夢中になるのも無理はなかった。
彼女の姿を求めて、男子たちは毎日のようにゲームセンターに通い詰めていた。
でも、こいつらガキの目はいつも麗子さんの胸に吸い寄せられてた。
大きな胸だ。
ブラウスのボタンが悲鳴をあげそうな膨らみ。
14歳の俺たちには、それはもう宇宙規模の膨張であり、奇跡であり、数学の授業中にこっそり描く落書きの主題だった。
彼女が棚を整理するたびに、ブラウスの下で何かが揺れる。
その膨らみを、バレないように盗み見るのが日課だった。
中学生である俺たちにとって、グラディウスの最終面よりも難攻不落の、生きた城塞だった。
「お姉さん、『ロードランナー』のここ、どうやるの?」
「あら、またわからないの? こっちおいで」
彼女が身をかがめて画面を指さす時、ベストの隙間からのぞく白い肌の谷間。
甘いシャンプーの匂い。
俺たちはゲームの攻略法なんてどうでもよかった。
ただ、その優しい声に包まれ、一瞬でも近くにいることが、この蒸し暑い午後の至上命令だった。
もちろん、男の子たちの会話はいつも下品だった。
「あれ、Fカップはあるよな」
「いや、絶対Gだ。あの揺れ方」
「触ったらどうなると思う?」
「死ぬ」
「死ぬわ」
股間を熱くさせながら語り合う少年たち。
知られざる妄想の中で、彼女の存在が更に大きくなっていく。
今思えば、彼女自身もこの状況を楽しんでいたのだろう。
時々、少年たちの視線を感じると、わざとその胸を強調するように胸を張ったりする。
少年たちの視線は彼女の目を通り越して、無意識にその谷間へと向かってしまう。
彼女には、そのくらいの自覚と余裕があった。
ある暑い午後のことだ。
一人のガキが、ふざけた調子で言った。
「ねえ、麗子お姉さん。胸触らせてよ」
麗子さんはコーヒーカップを置き、ゆっくりとガキを見た。
目が笑ってた。
「いいよ」
「え?」
「但し、1名だけ。1番ハイスコアの子だけね」
店内が静まり返った。
そして次の瞬間、ゲーム機のボタンを叩く音が爆音のように鳴り響いた。
オレ達は無我夢中だった。
本気だ。
本気でゲームをやって、ハイスコアを叩き出そうとした。
汗がコントローラーに滲んだ。歯を食いしばった。
優勝したのは、目立たないフトシだ。
あいつ、いつも地味で、眼鏡がでかい奴。
麗子さんが笑って言った。
「フフッ…キミが今日のチャンピオンね」
フトシは興奮でガタガタ震えてた。
麗子さんが彼の手を取って、店の奥のスタッフルームに連れ込んでった。
俺たちは残されたガキどもが、ただ彼女らの後ろ姿を見つめてた。
あの部屋で何が起きるか?
想像するだけで股間が火照って、息が荒くなる。
麗子さんはあいつに胸を触らせてくれるんだろうか?
それ以上か?
約1時間後、フトシが出てきた。
目は虚ろで、腰がガクガク中腰。
髪は乱れ、眼鏡は曲がって、顔にはキスマークがぺたぺた。
ぶっ壊れた人形みたいだ。
「麗子さん…麗子さん…」
って、呟いてる。
「どうだった? 胸の感触は?」
俺たちが詰め寄って、聞くと、
「しゅ…しゅごかった…」
鼻の下を伸ばしてヘラヘラ笑いながら答えた。
「ごめーん、つい遅くなっちゃって」
少し遅れて、麗子さんがブラウスの胸のボタンを止めながら出て来た。
彼女の髪は乱れて、顔が赤く染まってた。
「また後でね」
フトシの耳元で、彼女が小さな声で囁いた。
フトシはさらに歪んだ笑顔で、ヘラヘラしてた。
俺たちはみんな、心の中で誓った。
『明日こそ、俺が!』
そして次の日。
優勝したのはマサだった。
麗子さんと2人で、またあの部屋に消えていった。
その次の日、ゆうだい。
あいつら、みんな順番に運が回ってきた。
俺はいつも、指を咥えて後ろ姿を見てるだけ。
股間が熱く疼いて、くそくそくそ。
どうして俺だけ、ハイスコア取れないんだ?
ゲームの画面が、麗子さんの胸と重なって、目が回る。
転機はある雨の日に訪れた。
麗子が店の前で自転車に乗ったヤンキーに絡まれているところを、俺がたまたま見つけたのだ。
周囲に人はいたが、誰も助けようとしない。
店中にはゆうだいやフトシもいたが、みんなびびって動こうとしない。
俺は何も考えず、消火器を持って駆け寄り、ヤンキーめがけて噴射した。
ヤンキーは咳き込みながら逃げていった。
麗子は髪を整えながら、俺を見て笑った。
「ありがとね、タケシくん。助かったわ」
彼女が僕の名前を知っていたことに、胸が高鳴った。
「ステキよ。勇気があるのね。」
そうして、俺は初めてあの伝説のスタッフルームに入った。
部屋は狭く、ゲームの景品や書類が積まれていた。
独特の埃と麗子の甘い香水の混ざった匂いがした。
ドアが閉まる音がした。
彼女は俺の方を向き、微笑んだ。
「勇敢なキミにお礼よ」
彼女の唇が僕の唇に触れた。
柔らかく、少し湿っていた。
俺の初めてのキスだった。
頭がクラクラした。
そして彼女の舌が口の中に滑り込んできた。
それは熱く、絡みつくように動いた。
脳みそを掻き回されるような、甘くて危険な感覚。
俺は思わず彼女の肩をつかんだ。
キスが終わると、彼女は少し離れ、俺の目を見つめた。
そして、胸の前で留めていたベストのボタンを外していく。
ベストが床に落ちた。
白いブラウスが目前に迫っていた。
そのブラウスの下から、彼女の巨大な胸が、重力に逆らうかのように盛り上がっていた。
「触っていいよ」
彼女が囁いた。
俺の手は震えていた。
ゆっくりと、彼女のブラウスの上から胸に触れた。
想像以上に柔らかく、温かかった。手のひらが沈み込むような、ふわふわとした弾力。
まるで温かい水の入った水風船のようで、でもそれ以上に生きている感じがした。
鼓動が微かに伝わってくるようだった。
彼女は僕の手の動きをじっと見つめていた。
そして、自らブラウスのボタンを外し始めた。
上から順番に。一つ、また一つ。
ついにブラウスが開き、中から現れたのは淡いブルーのレースのブラジャーだった。
それは彼女の肌を透かして見え、谷間を深く、より神秘的に見せていた。
俺は思わず、その谷間に顔をうずめた。
レースのざらりとした感触と、その下の柔らかくて温かい膨らみ。
甘い香水の匂いと、彼女自身の温もりが混ざった匂い。
俺は夢中で顔を擦りつけた。
彼女の胸は大きく、弾力があり、顔を押し付けてもすぐに元の形に戻ろうとする生命力に満ちていた。
彼女は俺の頭を抱き、優しく髪を撫でた。
「可愛いね、タケシくん」
俺の手が、彼女のブラジャーの背中のホックに触れた。
すると彼女の手がそっと俺の手首を握った。
「ここから先はまだ駄目よ。」
彼女は言った。
「普段は…ここまでなの。ハイスコアの子たちには下着の上からのタッチまでしか許していないわ。」
でも、彼女の手には力が入っていなかった。むしろ、俺の手を導くように動いた。
カチッ、という小さな音。
ブラジャーが緩んだ。
彼女がそっとブラジャーを外すと、ついに彼女の乳房が完全に現れた。
俺は息を呑んだ。
それは完璧な形をしていて、大きく、ふくよかで、先端には綺麗なピンク色の乳首が、少し硬くなって立っていた。
肌は白く滑らかで、青い血管が微かに透けて見えるほどだった。
生きて呼吸している彫刻のようだった。
俺は震える手でそっと触れた。
その弾力は、布越しに感じたそれよりもさらに鮮烈だった。
重みがあり、でも形を保ち、触れると優しく形を変え、手を離すとまた美しい曲線に戻る。
俺は思わず、そのピンクの先端に口を寄せ、吸い付いた。
麗子は小さく声を漏らした。
「ああ…」
乳首は蜜のような甘い味がした。
彼女の体の味。
俺は夢中で舐め、吸った。
彼女の手が俺の頭を強く抱きしめ、指が髪に絡まった。
そして、俺のもう一方の手が、独りでに動いた。
彼女のスカートの裾に触れ、太ももの滑らかな肌を伝って上へ、上へと進んでいった。
彼女は一瞬、体を硬くした。
「タケシくん、それは…中学生にはまだ早いわ」
でも、彼女の声には迷いがあった。
俺の手が彼女のパンティーに触れると、その下はもう熱く湿っていた。
彼女は深く息を吸い、スカートのボタンを外した。
スカートが床に落ちた。
次に彼女は淡いブルーのパンティーをゆっくりと下ろした。
俺は初めて、女性の性器を目の当たりにした。
それは神秘的で、複雑で、美しかった。柔らかい毛に覆われ、その中心は濡れて光り、微かに開いていた。
薔薇のつぼみのようだ、と俺は思った。
温かくて、生命の匂いがした。
彼女が俺のズボンのベルトを外すと、既にギンギンに勃起したペニスが飛び出す。
先端から透明な液がにじんでいた。
彼女はそれを見て、優しく手で包んだ。
「熱いね…」
彼女が囁いた。
彼女は俺を床に置かれた座布団の上に優しく押し倒し、その上に跨がった。
そして、ゆっくりと腰を下ろした。
入った。
ペニスが彼女の温かく湿った内部に包まれた瞬間、俺は叫びそうになった。
無数の柔らかいひだが、僕を優しく締め付け、温かく迎え入れた。
それは今まで感じたことのない感覚だった。
全身が彼女の中に吸い込まれていくようで、脳が真っ白になった。
「あ…ああ…麗子お姉さん…」
「気持ちいい?」
彼女が甘い声で囁いた。
彼女が腰を動かし始めた。
ゆっくりと、深く。
そのたびに、彼女の大きな胸が揺れた。
それは暴れる生き物のように躍動し、美しい波を描いた。
乳首がピンクの弧を描いて踊る。
俺も我を忘れて腰を突き上げた。
ガンガンと、理性のないリズムで。
彼女の中はますます熱く、締め付けが強くなっていく。
彼女の喘ぎ声が小さな部屋に響いた。
「ん…あ…タケシ…くん…」
粘膜と粘膜が擦れ合い、体液と体液が混ざり合う。
俺の十四年の全てが彼女にぶつかっていた。
汗と甘い匂いが部屋に充満した。
そして、それは突然訪れた。
腰の底から熱い衝動が爆発的に湧き上がり、俺は彼女の中に全てを放出した。
一度で終わらない。
何度も、何度も波のように続く爆発。
俺は彼女にしがみつき、泣きそうな声を上げた。
彼女は驚いたように目を見開き、そして優しく微笑みながら、俺を抱きしめた。
「すごい…」
気がつくと、窓の外は暗くなっていた。
何時間が経っていたのか分からなかった。
その後、俺はゲームのハイスコアに拘る必要がなくなった。
麗子は俺に彼女のアパートの鍵を預けたからだ。
これからは彼女の部屋で、別の意味での「ハイスコア」を目指すのだった。
一九八〇年代の東京の片隅で、十四歳の少年は、一夜にして多くのことを学んだ。
ゲームよりも、人生の方がずっと複雑で、熱く、そしてとてつもなく甘いことを。
【終わり】




