表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

復讐の勇者I

「あああああぁぁぁ、、」

大きな雫が頬を濡らす。どうしてこうなった?どうして?何故?問い掛けても問いは出ない。ただ現実が受け止められない。目の前に落ちている、可愛らしい頭。生暖かい血は先程まで微笑んでいた彼女のもの。嫌という程、自分を現実に引き込んでべっとりと浸り尽くす。あいつのせいだ、あいつのせいだと呟きながら。

これはとある復讐に燃えた勇者の物語。

宛もなく放浪する毎日。あの日から俺はまるで泥でもがき続けているようだ。

1年前、俺たちは魔王を倒した。聖女アビス、戦士バニア、弓士オリオ、そして俺、勇者アダム。この英傑たちの名前を知らぬものはいないだろう。

魔王を討伐し、世界は平和になった。それは違う。魔王がこの大陸にいたからこそ他国から攻められずに中立を保てていたのだ。だが今はどうだろう?魔王という防衛壁が無くなった今、この大陸は戦争の火花が飛んでいた。当然祝いなどできる訳もなく戦力を持つものは男女子供関係なく戦争に繰り出された。悪化する戦況、徐々に苦しくなる国政。俺たちは平和を求め魔王を討伐したのに。悪を滅するために剣を持ったのに、切っているのは何歳か分からない若い人、年老いた人。吐き気がする。

1か月前、久しぶりに戦士バニアに会った。右目が潰れ左手は使い物にならないらしい。彼は別の大陸に友がいるらしく転送魔法で亡命すると言っていた。転送魔法は時間が掛かるらしく大体1か月程、どうやら数人ほど転送できると、辛かったらアビスちゃんやオリオ君も誘って一緒に行かないかとバニアは言った。

2週間前、訃報が届いた。弓士オリオが亡くなった。味方を庇い敵の魔法剣で切られて死んだらしい。人の前ではカッコつける癖は治っていなかったから。葬式と言っても簡素なものだけど行った。久々に会ったあいつの顔は酷く痩せこけていた。元気で一緒に冒険していた頃に戻りたかった。葬式でアビスやバニアに会った。バニアは準備は順調に進んでいると言っていた。アビスは疲れていた。どうやら友達や知人が死ぬのはこれが最初じゃないらしい。

1週間前、聖女アビスと同じ隊に派遣された。どれだけ治しても増えていく患者。彼女に何かしてあげたい。だが俺は何ができた?人の笑顔では何も変わらない。でも支えになれるなら。俺はアビスに告白した。アビスは恥ずかしがっていた。周りの目線が痛かったがアビスは応えてくれた。これが終わったら結婚式を挙げようと、そう約束した。

その日、襲撃があった。魔法剣を持った者が指揮を取っている隊が攻めてきたと。善戦はした。だがダメだった。

あちらには俺と同じ勇者がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ