第二十一話:女王の日常と愛の統制(逆ハーレム・後日譚)
1.完璧な女王の目覚めと執事たちの戦い
朝、魔王城の最上階にある女王ヴィオラの寝室では、既に五人の最高存在による「女王奉仕の儀」が始まっていた。
騎士シリウスは、女王の今日のスケジュールを秒単位で読み上げ、防御魔力が部屋全体を完全に包んでいることを確認する。
「ヴィオラ様、ご起床の時間です。本日の午前は『人間界の金融市場の操作』、午後一は『魔力循環系の定期メンテナンス』、午後三時は『ガルム殿との身体的な温もり補充時間』となります。誤差は許容しません」
その横で、吸血種ルキウスが、ヴィオラの朝の美の管理を担う。
「騎士よ、静粛に。女王の目覚めは、最も美的な儀式でなくてはなりません。この永遠の血で磨き上げた鏡は、女王の肌を永遠の輝きへと導きます。ああ、完璧な美です」
精霊王エルヴィンは、光の粒子となって部屋の魔力を整えながら、ヴィオラの精神状態をチェックする。
「ヴィオラ。精神の波動は安定しています。本日の真理の探求の時間は、午前十時より三十秒、確保しました」
そして、魔王アズリエルは、全てを背後で見守りながら、誰よりも早くヴィオラの手の甲に征服者としてのキスを落とし、自身の存在を刻みつける。
「余の女王よ。貴様の支配は今日も完璧だ。だが、貴様が余の支配下にあることを、忘れるな」
ヴィオラは、彼らの支配と奉仕のバトルに動じることなく、冷徹に指示を下す。
「シリウス、三分短縮よ。ルキウス、鏡の角度が二度ずれているわ。アズリエル様、私の許可なく、朝のキスはスケジュール外でしてよ」
2.台所戦争と女王の分析
昼食の時間になると、火の間は再び戦場となる。ヴィオラの『無条件の幸福』を担当するガルムと、『絶対的な健康管理』を担当するシリウスが、今日も火花を散らしている。
「ヴィオラに温もりを与えるには、この最高に脂の乗った肉を、本能のまま豪快に焼き上げるのが一番だ!理屈はいらねぇ!」
「ガルム殿!無駄な高カロリーは、女王陛下の午後からの集中力を削ぐ!私の用意した薬効成分の高い精進料理こそ、最も理性的で効率的な健康管理です!」
二人の料理を前に、ヴィオラは冷静な分析を下す。
「ガルム。あなたの生命力は魅力的だけれど、スパイスの配合が魔族向けに寄りすぎているわ。シリウス。あなたの料理は完璧に合理的だが、幸福感の獲得効率が極めて低い」
ヴィオラは、「彼らの愛の形を、私の支配のために最適化する」という目的のため、両方の料理を一口ずつ味わった後、アズリエルに命じる。
「アズリエル様。あなたの魔力で、ガルムの豪快さとシリウスの栄養バランスを融合させた新たな料理を作って頂戴。これは、私の支配の象徴よ」
「……チッ。余に料理を命じるとは。だが、貴様の支配は、確かに完璧な最適解だ」
魔王は不承不承ながら、最強の魔力で愛の融合料理を作り上げ、ヴィオラはそれを支配の報酬として平らげる。
3.寵愛のスケジュール管理
夜の帳が下りた後、ヴィオラの寝室では、愛のスケジュールが厳密に実行される。
この夜の担当は、ルキウスとガルムだ。
ルキウスは、ヴィオラに永遠の美しさを讃える詩的な会話と知的な興奮を提供し、ヴィオラの優越感を満たす。
「女王陛下。貴女の知性は、数千年の芸術品にも勝る美しさです。貴女こそ、この永遠の支配にふさわしい」
そして、彼が退がった直後、時間厳守でガルムが寝室に現れる。
「ヴィオラ!理屈は終わりだ!寝るぞ!俺の熱い毛皮で、朝までお前を温めてやる!」
ヴィオラは、ルキウスの背徳的な美の讃美で支配欲を満たし、ガルムの純粋な温もりで内面の疲労を癒やす。
彼女は、五人の最高存在を、自身の感情と理性の必要性に応じて完璧に使い分けることで、誰にも真似できない、最高に満たされた、女王の人生を謳歌し続けるのだった。
「愛」も「支配」も、全てを手中に入れた女王ヴィオラの物語は、ここに完全に幕を閉じる――。




