第十九話:運命の選――最高の効率と最大の支配(逆ハーレム・ルート)
1.最高の効率と最大の支配
ヴィオラは、玉座の間へ向かう扉の前で立ち止まった。
(私は、誰か一人を選び、他の最高の能力と至上の愛を捨てるほど、非効率的ではない)
彼女の冷静な理性が弾き出した結論は、「誰の愛も、世界の安定のために必要である」というものだった。
アズリエルの魔力、シリウスの防御、ルキウスの知略、ガルムの生命力、エルヴィンの真理。全てが彼女の支配の元にあってこそ、この世界は最も完璧に維持される。
(彼らの愛は、私への献身として存在する。ならば、その献身を、私が最も効率よく利用し、独占することが、私の存在価値の最大化に繋がる)
ヴィオラは、悪役令嬢としての仮面を再び装着し、最高の支配者として、玉座の間へと入った。
2.女王の最終宣告
玉座の間には、五人全員が、緊張した面持ちでヴィオラを待っていた。
ヴィオラは玉座の前の段上に立ち、冷徹で美しい微笑みを浮かべた。
「皆様。私の最終決断をお伝えします」
彼女は、一人一人に視線を向け、彼らの最も求めているものを、支配という形で与える宣告をした。
「アズリエル様。あなたの永遠の契約と責任は、私が共有します。ただし、あなたの孤独を終わらせるのは私ですが、あなたの魔力は、私の世界の統治のために使われる」
アズリエルへ支配の共有を。
「ルキウス伯爵。あなたの美学と支配欲は、私の隣で満たされるでしょう。あなたの血と知略は、私の永遠の美しさと、影の支配のために捧げなさい」
ルキウスへ美の永続を。
「シリウス。あなたの忠誠と防御は、私一人のものでは非効率よ。あなたの盾は、私だけでなく、私の統治する世界の全ての秩序を守るために捧げなさい」
シリウスへ忠誠の拡大を。
「ガルム。あなたの熱と生命力は、私の魔力の安定と、日々の幸福のために必要不可欠よ。あなたの無条件の愛は、私の唯一の安息として、永遠に私を温めなさい」
ガルムへ生命力の献上を、
「エルヴィン。あなたの真理と自由は、世界の法則を知るために必要です。あなたの光の知識は、私の支配を絶対的なものにするために捧げなさい」
エルヴィンへ真理の制御を。
五人は、ヴィオラの予想外の最終宣告に息をのんだ。彼女の愛は、独占であり、最高の支配だった。
「ヴィオラ……貴様は、余の支配すらも、自分の道具とするつもりか」
「ええ、アズリエル様」ヴィオラは微笑んだ。
「私は、悪役令嬢よ。そして、最も優秀な支配者。誰か一人を選ぶのは、非合理的な損失だわ。私の隣に立ちなさい。そして、全員で私に忠誠と愛を捧げ、永遠の女王として私を支えるのよ」
彼女の悪辣なまでの支配欲と比類なき美しさに、五人は、反論の余地がないことを悟った。彼らの愛は、結局のところ、ヴィオラへの献身に他ならないのだから。
五人は、同時に膝をつき、彼らの女王に永遠の忠誠を誓った。




