第十五話:運命の選択――優越感という名の愛(ルキウス・ルート)
1.優越感という名の愛
ヴィオラは、魂の自由も、本能の熱も、安寧も、全てを振り払った。彼女は、**「悪役」**という役割を演じることでしか自己の価値を見出せなかった、虚栄心と野心に満ちた自分自身と向き合った。
(ガルムの愛は、私を凡庸な幸福に引きずり込む。エルヴィンの愛は、存在そのものを消し去る。私の知性と美貌は、最高の権力と永遠の美の中で、誰よりも優越していることを証明することで、初めて満たされる。)
彼女の理性が選んだのは、最も美しく、最も背徳的な支配を約束したルキウスだった。
ヴィオラは、ルキウスの秘密の謁見室へと向かった。
2.対等な支配者としての契約
謁見室で待っていたルキウスは、彼女の決断を待っていたかのように、漆黒の豪奢なベルベットの椅子を差し出した。
「ヴィオラ嬢。貴女の冷静な瞳が、正しい選択をされたようですね。他の男たちの愛は、貴女の才能と美しさを凡庸なものに変えてしまう」
ヴィオラは、椅子に座ることなく、ルキウスを見つめた。
「ルキウス伯爵。私は、あなたの収集品にはなりません。私は、貴方の永遠の共同支配者となる。私の知性と、あなたの魔力で、この世界を最も美しく、最も合理的な形で支配しましょう」
ルキウスは、ヴィオラの揺るぎない野心に、心からの歓喜を覚えた。彼は、彼女の自己肯定感の低さを、「最高の優越感」で埋めることを提案した。
「その通りです。貴女こそ、私の隣に立つべき永遠の女王。他の男たちは、貴女に命を捧げたが、私は貴女に永遠の命を与えましょう」
ルキウスは、優雅に跪き、鮮赤色の葡萄酒に自らの不老不死の血を数滴注いだ、宝石のように輝く杯をヴィオラに捧げた。
「これを飲めば、貴女の美は永遠となり、知性は衰えることがありません。貴女は、誰にも真似できない、永遠の芸術品として完成する。さあ、自己肯定という名の、この血を受け取ってください」
ヴィオラは、そのゴブレットを受け取り、迷いのない瞳で一気に飲み干した。その瞬間、彼女の全身に熱く、支配的な吸血種の魔力が流れ込み、肉体の全てを再構築した。
彼女の美しさは、永遠に色褪せることのない、完成された輝きを放ち始めた。
「これで、私は貴方の収集品ではないわ。私は、あなたと等しい、永遠の支配者よ」
「ええ、もちろん。我が永遠の共同支配者よ」ルキウスは、ヴィオラを抱き寄せ、征服者のキスを捧げた。




