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第1話 ロマ共和国

 かつてハーン大陸と呼ばれたこの大陸に、共通の名前は存在しない。一度は大陸の統一がなり、新たに大陸名が制定されたがその国家の崩壊とともにその時に制定された名は禁句となり、やがて人々の記憶から消えていった。故に、自分たちが住むこの大地を人々はただただ大陸と呼んでいた。それはこのロマ共和国も変わらない。

 ロマ共和国。私が生まれ育ったこの国は奇怪ともいえる歴史をしている。ロマ共和国は元は王政の国家だったらしいがなんと初代国王は魔物に育てられたという。そして大人になり、首都の位置する地に村を築き、やがて国となり、大国へと上り詰めたそうだ。それは共和制になってからも続き、今も周辺諸国では大国に分類される国家として勢力を維持している。

 とはいえ我が国は無敵ではない。西には大陸西部をほぼ手中に収めたダタル帝国やその帝国すら凌駕する国力を有する魔族の国家が北にある。東には独自の文化を持つハン帝国があり、周辺諸国に侵略を繰り返してきている。

 特にハン帝国。この国は危険だ。先々代までは侵略などしない大人しい国家だったのに先代になってから侵略を行うようになった。近年では我が国の友好国が侵略を受けており、その救援に我が国が駆け付けたこともあった。流石に大国同士の戦争は避けたいのかそれ以降こちらの友好国に侵略してくることは亡くなっていた。

 ならばこちらは何もしないのかと言われればそうではない。我が国は四方を友好国に囲まれているうえに侵略戦争をしない事を国是にしている。故にハン帝国がこのまま領土を広げていくのであれば我が国では対処が出来なくなるだろう。それを防ぐためにもハン帝国の領土欲をへし折りたいのだがそれも難しい。せめてこちらの友好国に攻め入ってくれれば軍を動かせるのだがな。

 だが、私はこの国の軍人だ。国がそう決めたのならそれに従うまでだ。っもし、ハン帝国が攻めてきても直ぐに対応できるように準備はしておき、その時に対応できるようにするまでだ。


「メルキエル将軍! 練兵の準備が完了しました!」

「分かった。直ぐに向かおう」


 さて、部下が呼んでいるしそろそろ行かなくてはな。貴殿(・・)との対話はとても有意義であった。いずれまた話したいものだ。


「? 将軍閣下、一体誰と話をしていらっしゃったのですか?」

「何を言っている? アヤツは……。うむ?」


 なんだ? 私は一体誰と話をしていたのだ? 振り返って自分の部屋を見てみれば()()()()()()()()()()。私はいったい今まで誰と話をしていたというのだ?


「……わからんがもしかしたら疲れているのやもしれん」

「ならば練兵には参加されませんか?」

「いや、参加はしよう。この程度で弱音を吐いていてはハン帝国との戦いに備える事は出来んからな、。行くぞ!」

「は、はい!」






 ……ふっふっふ。勇者も転生者もイレギュラーもいない。純粋なこの世界の人間同士の戦争。それが何をもたらすのか、遥か天より観察させてもらうよ。精々楽しませてくれよ?


挿絵(By みてみん)

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