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ゴミ屋だった青年は漢字世界で『集』と『使』を使って無双する  作者: ゆる弥


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41.女の戦い

 気を取り直して飲み直していたら、モーザさんがやって来た。


「あれ? モーザさん、ギルドの方は大丈夫だった?」


「誰も来やしないですよぉ。こんなお祭りやってちゃぁ。あっしもまぜてくださいよぉ」


 モーザさんは準備が終わったあとに一応ギルドの様子を見に行ってくれていたみたいなんだ。


「それもそうだね。好きなの飲むといいよ」


「そうさせてもらいやす!」


 モーザさんは真っ先にエールを器に入れるとゴクゴクと飲み干した。おっちゃん達と一緒みたい。


 次に現れたのはコウジュだ。なんだか、後ろに沢山引き連れている。

 あの人たちは、『生』領にある施設の人達みたい。子供も連れてきている。


「シュウイ、みんな祭りに参加したいっていうから連れてきたっす」


「うん。有難う。みんな好きなのを食べたり飲んだりしてもいいからね」


 ボクが皆にそう伝えると一人の母親が口を開いた。


「あのー。本当にいいんですか? 私達まで……」


「うん。大人も、子供も楽しんでもらいたいんだ。いっぱい食べて飲んで。大人はお酒もあるよ?」


 そう促したのが良かったのかどうなのか。

 というのも、大人達はだいぶ酔っ払った。


「領主様ぁ。なぁんで、私達のところにきてくれなくなったんですかぁ? みんな寂しがってますよぉ? 人気あるんですからぁ」


 そう話す女性は子供がいるが、旦那は亡くなってしまった人。

 はっちゃけて飲んでしまい、ボクにしなだれかかっている。


「ボクは施設担当じゃなくなったんで、そこまで行かなくなってしまったんです。すみません。月一回は様子は見に行っていたんですが……」


「中にまで入ってきてくれないとその可愛い顔がみれないじゃなぁい?」


 ボクの頬を撫でて恍惚な表情をしている。

 うーん。これは困った。

 さらに困った事態になったのが。


「ちょっとぉ。シュウイにくっつきすぎよぉ! 少し離れなさぁい!」


 反対側から攻めてきたのはミレイさんだ。

 ヤバい人が来たよ。

 ミレイさんすぐに酔うのに飲むからなぁ。


「何よぉ! あんた、領主様の何なのよ!」


「シュウイは! ……私の弟というか……家族みたいな存在よ!」


「だったら引っ込んでなさいよ! 家族が領主様と私のことは関係ないでしょう!?」


 ボクを挟んでの言い争いはやめて欲しいものだが。


「家族だから、悪い虫が付かないように見張ってるんでしょう!?」


「悪い虫って何よぉ!? 子供がいたら恋愛しちゃいけないわけぇ!?」


「子供がいるなら大人しくしてなさいよ!」


「あぁー! 子持ちの親を敵に回したわよ! そんなこと言っていいわけー!?」


「だったら、コウジュに行きなさいよ! あれが有望株だから! シュウイに来なくてもいいでしょ!」


 ちょっと意味のわからない理屈を言い放ったミレイさん。それはちょっとボクにも理解できない理屈だなぁと。


「コウジュさんはいい人だけど、領主様は優しいし、顔はイケメンだしお金もってるし、玉の輿にはとてもいい物件なのよ!」


「本音が出たわねぇ!? 財産目当てじゃないのよぉ!?」


「それの何が悪いのよぉ! この世界を生き残るためには必要でしょう!?」


 逃げ場のないこの状況をどうにかしようとコウジュを探す。視線をめぐらせてみつけたが、あっちも同じような状況になっていた。


 モーザさんしかいない。

 そう思い視線をさ迷わせる。

 居たけど、おっちゃん達と一緒にこっちを見て笑っていた。


 ダメだこりゃ。


「シュウイは、こんな年上がいいわけ!?」


 ここでボクに飛び火してきた。


「んー。ボクにはちょっとわかんないなぁ」


「領主様は優しいですものねぇ? 前に助けていただきましたもの!」


 あー。あの時の人だったか。

 革命軍に襲われていた人か。

 たしかに凄く顔立ちが綺麗だし、スタイルもいい。


 ミレイさんとちょっと違うのは目元がキツめの印象を受ける。

 ボクはどっちかっていうと柔らかい方が好きだなぁ。


「助けましたけど、あぁいう状況だったら、誰でも助けると思いますよ。うん」


「私、夫は他界してもういないんです!」


「あっ、うん。それは前に聞いたかも」


「それでですね、まずは、お付き合いからどうですか?」


 これは急に攻めてきたなぁ。

 これは付き合って欲しいって言う告白だよね。

 困ったなぁ。


「はっきり言った方がいいと思うから言います。ボクは領が落ち着くまでは誰ともそういう関係になることはないです」


「そうですか……」


 項垂れて明らかにショックを受けている。

 でも、希望を持たせる方がよほど残酷だと思う。


「それに、領が落ち着いたら、一緒に過ごす人は心に決めています。それは、貴方ではありません。すみません」


 ボクは頭を下げた。

 ちゃんとはっきり言わないとね。


「そっか! はははっ! 領主様にも心に決めた人が居るのかぁ! それなら仕方ない! じゃあ、今日はやけ酒しよう!」


 笑いながら去っていったが、目には光るものがあった。

 申し訳ない気持ちもあるけど、この気持ちは変えられないから。


「ねぇ、心に決めた人って誰よぉ?」


 ここに面倒な人がもう一人いたのを忘れてた。


「んー? あっ、ミレイさん、これ飲んだ? 美味しかったよ?」


「えー? どれ? 飲んでなーい! 寄越して!」


 酒の器を取られてしまった。

 クビグビとボクの使った器を使って飲んでいる。


 心なしか頬が熱く感じるのだった。

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