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ゴミ屋だった青年は漢字世界で『集』と『使』を使って無双する  作者: ゆる弥


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26.身支度

 気が付いたら逆さで地面に寝てたんだよね。


「シゴク、凄いね!」


 すぐさま起き上がると構える。

 ボクの技術では補えない。

 速さでかく乱する。


 シゴクはニヤリと笑い、再び手でボクを呼んだ。


 それに応える様に『瞬』時に後ろを取り、殴った。

 すると、ボクの前を手が通り過ぎた。

 と思ったら、また空が下に。


 回った方向に自ら回り着地する。


「ははははっ! すげぇ!」


「ボクはこの護身術が好きです。だからこの護身術も色々と考えながら極めました」


「ふっ!」


 横へ踏み込み『幻』のボクを置いて、『瞬』時に後ろをとった。

 足払いを放つ。


 知らない間にボクの足にシゴクが乗っていた。


 何この子⁉

 すごすぎる!


 胸が躍るとはこのことだ。

 新しい発見をした時のような高揚感が脳を刺激する。


 勝ちたい。そう思ってしまった。


 足を引き、今度は蹴り上げる。

 最小限の動きでのけ反って避けられてしまう。


 避けられたと認識した時には身体が横を向いていた。

 軸にしていた腕を足蹴りされたようだ。

 ボクはそのまま『回』転し、回転力をそのままのせて拳を振るう。


 スッと受け流され、また回転力が増す。

 今度は蹴りを放つ。


「くっ!」


 下がる事で避けたが、ボクは一旦足を地面に付いて再び『回』転力を増幅させた。

 宙をクルクルと回り重力と回転力をのせた渾身の一撃を放った。


 ──ドゴォッ


「うわぁ!」


 ガードした腕は吹き飛ばされ地面へとしりもちをついたシゴク。


 そこで我に返った。やばい。怪我させちゃった。


「大丈夫⁉」


 急いで駆けよって腕の状態を見る。

 なんとか折れてはいないみたいだ。

 よかった。折れていたら一大事だった。


 せっかくいい人材を見つけたのに。


「ボクが今『治』すよ。どう?」


「あれ? 痛くなくなりました」


「そっか! よかった! ねぇ、行く気になってくれた?」


「はい! こんなに強い人が領主なんてすごいです! 前の人はただ暴れるだけって聞いてたから、話も聞かないって聞いてたんで、絶望してたんですよ」


「あぁー。前の領主はそうだったね。ボクが殺したから安心していいよ。まぁ、全部が悪いわけでもなかったみたいなんだけどね」


「?」


「いや、なんでもない」


 ここで前の領主の話をしても仕方がないだろう。


「では、ワッシが行く準備しますので、ここら辺の野菜や果物を収穫してもらってもいいですか?」


「うん。いいよ。やった事あるし」


 シゴクが家の中へと戻ると、ボクは畑を見渡した。


 なんだか懐かしいな。

 ボクが『覇』領にいた時は爺さんが野菜とって分けてくれたっけ。

 なんであの爺さん、あんなに畑持ってたんだろう?


 あの人謎が多い人だからなぁ。


 目の前に実っていた緑の細長い野菜をもぎ取る。赤み緑のヘタが付いた身もとっていく。それをカゴに入れた。


 しぱらくするとシゴクはやって来た。


「あっ! ほんとに慣れてるんですね。傷つけずに綺麗に収穫できてますね!」


「有難う。本当に立派な野菜と果物だね!」


「はい。ワッシが丹精込めてつくったんで、収穫していきましょう」


 シゴクと一緒に野菜と果物を収穫していった。

 これはミレイさんのお土産になるかもなぁ。

 そんなことを思ったので、別の麻袋に詰めて密かに置いておいた。


「ねぇ? これ食べてみていい?」


 ボクがオネダリしたのは気になっているピンクの実。これはムムと呼ばれる果物だ。

 すごく甘くて香りがいいんだって。


 食べたことがないんだけど、収穫しながら匂いがとても良くてヨダレが出てきちゃう。


「いいですよ! 気をつけてくださいね! みずみずしいから」


「うん!……シュルッ」


 一口食べると果汁が溢れてきて口いっぱいになる。口からこぼれたけど、貪るように食べちゃった。すごく美味しくて天にも登る気持ちだった。


「おいしっ!」


「ふふーん。てしょう? これがワッシが極めた結果ですよ!」


「実に見事だね! 領主からお願いします! 我らの領のために付いてきてくれませんか!?」


 手を伸ばして芝居がかったセリフを高らかと言うと、シゴクへ乗ってきた。


「仕方がありませんねぇ! 領主様の為なら行ってもいいでしょう!」


「有難う! シゴク!」


「「……ははははっ!」」


「よろしくね。シゴク!」


「はい! よろしくお願いします! シュウイ様!」


「様はいいよ!」


「えぇ!? でも、下の者に示しがつきませんよ? じゃあ、シュウイさんで」


「んー。堅いなぁ」


「えぇ!? じゃぁ、あにさんはどうですか?」


 ボクはその呼び方に頬が緩んだ。

 ミレイさんがあねさんとコウジュとかから呼ばれているのが、実は羨ましかったんだよね。


「仕方ないなぁ。兄と呼ぶことを許そう!」


「有り難き幸せ!」


 シゴクは片膝を着いて頭を下げた。


「「ははははっ!」」


「それじゃあ、荷造りはできた?」


「できました! 後は、村の人に……」


「「挨拶!」」


 二人で声が揃った。

 一応ねぇ。しておかないと。


 それで、挨拶に行ったんだけど、みんなが引き止めて凄かった。

 だれもシゴクのことを考えてない。

 みんな自分の利益のことばっかり考えてる。


 ボクは呆れた。

 だから、一言。「領主命令だから」それで済ませた。


 遅くなっちゃったからシゴクの家で一泊して戻ることにしたんだ。

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