表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/48

21.ゴミ掃除

 ボクの目には領主邸が映っている。


 門から屋敷入口までは革命軍の人達で埋め尽くされている。

 ボクの暗殺が失敗した場合に備えていたのかもしれない。


 無駄だよ。こんなゴミがいくら集まったところで、ボクを殺すことなんてできないよ?


「お前と一緒に行った仲間をどうした?」


「はははっ! ゴミが仲間とか……笑える」


「な、なに!? 貴様! 我らを──」


 頭が果実のように『潰』れ、汁を散乱させる。


 面倒だなぁ。


 手に『剣』を出現させて、振るう。

 相手の攻撃など関係ない。

 首を斬られようが胸を刺されようが『治』してただ首を切り落としていく。


 時には『重』さで地面に押しつぶし。

 時には胸を『貫』いて殺していく。


 途中で気づいた。

 身体を『鋼』にする。

 身体が重たいけど、これで『治』す手間が省ける。


 自前の力で『鋼 』の拳を振り下ろしてくたばらせる。

 肉弾戦になったボクは次々と革命軍をなぎ倒していく。


 入口に着いた頃には屍が散乱していた。

 片付けは後にして、今はこの気持ちをぶつけるために領主の部屋へと向かう。


 マングさんが立ちはだかった。

 この人は何の天漢だったか。


 放たれた掌底をそのまま身体に受ける。

 身体の内部に衝撃が伝わり、赤いものが口から溢れてくる。


 それを『治』して構える。


 この人の天漢は『武』だったんだね。

 武道を習得しやすい星の元に生まれている。


 だからって、ボクに勝てると思わないで欲しいな。


 様子見は悪手とみて攻めてきた。

 ジャブからのストレートを放ってくる。

 タイガさんに教わったダブル。


 そんな普通の攻撃効くと思った?


 懐へと潜り込み胸を『貫』ぬ……けなかった。


 咄嗟にのけぞりバク転したマング。

 ボクは構わず攻め続ける。

 踏み込みから『速』い動きで『重』一撃を放つ。


 片腕を奪った。

 だが、まだ健在だ。

 残った腕で貫手を放ってくる。


 ボクは『守』りに入った。

 その隙に押され始める。


 攻撃は効かない。

 守り続ける。

 拳を弾きあげ。


 蹴りを受け止めて掴み、床へと叩きつける。


 なんでこんなにタフなの?

 本当に面倒。


 動きの止まった頭を掴む。


「ハハハハハハッ! 字力を沢山使っただろう? もう無くなるんじゃないか?」


 笑うダンテを果実のように『潰』した。


 字力? ボク、そんなのなくなったことないもん。


 ゆっくりと階段をあがっていく。

 この辺りにはもう邪魔をする人は居なくなっていた。


「【動くな】」


 あぁ。ようやく出てきたの?

 我慢できなくて部屋から出てきた感じ?

 馬鹿だなぁ。閉じこもってればいいのに。


 そんなのボクは『無』効にできるんだよ?

 無駄だよぉ。


 ゆっくりとゴッコに向かって歩いていく。


「お前の弱点は分かっている! 倒すべくちゃんと調査したからな!」


「あの時、最初泊まった時は殺す気だったんでしょ?」


「あぁ! そうだ! まさか、『殺』の天漢に対抗できる能力を持っているとは知らなかったからなぁ!」


 ゴッコはニヤリと笑いながら離れたところで警戒している。

 お前の能力は中距離むきだもんね?


「【動くな】」


 だから『無』駄だって言ってるじゃん。


 剣で斬りかかってきた。

 僅かなタイムラグを狙ってきたみたい。

 でもね。


 ボク、そんなに天漢に頼らなくても強いよ?


 剣を紙一重で避けて上段蹴りを放つ。

 頭にクリーンヒットした。

 少しグラついた。


 胸を『 貫』く一撃を放つ。

 胸は貫いたが、「【治る】」の一言でそれは治った。


 天漢を聞いた時に思った。

 あの『辞』の天漢はボクの能力に似ている。

 なんでもできる。


 汎用性のある能力だった。

 それだけに制限があると言っていたけど。

 あれは本当だと思う。


 恐らく死に関することは、制限が強いのではないかと思うんだよね。


「驚いたか? 【字力が無くなり、死ね】 」


 その言霊を言い放つと同時に胸に剣が刺さった。

 口から赤い液体が溢れる。


 【死ね】という部分は辛うじて『無』効化できたみたい。

 

 ボクの字力がなくなった。

 胸から溢れる赤い液体が止まらない。

 治せないみたい。


 でもボクもタダじゃ負けないよ?

 自力でゴッコの喉を突く。


「ゴフッ! まだ……じなぬが!」


 ボクの『集』める能力ってねぇ。

 字力も集めるんだ。

 だからなくなってもすぐに満タンになるんだよねぇ。


 傷を『治』して捕まえたゴッコを『重』さでたいらならした。


 そして、天漢を奪う。


 この字、便利そう。

 大丈夫だよ。ボクがきっと役に立ててあげる。

 タイガさんの作る『粋』領のね。


 すぐに『天』へと返していき、屋敷を綺麗にする。


 領主邸の掃除だけで結構時間かかっちゃった。

 あーぁ。この領を管理する人いなくなっちゃったじゃん。どうしよう。


 ボクはこの領を一旦出てタイガさんに相談しよう。


 そして、理由を話した。


 僕達は騙されていて、革命軍の人達も悪い人たちだったって。

 だから、みんな殺しちゃったって話したの。


 そしたら頭を抱えていたけど、そうなったのは見抜けなかった俺のせいでもある。シュウイを咎めることはしない。けど、その領を収めてくれないかと。


「それって、ボクが領主になってってこと?」


「あぁ。シュウイがいてくれれば安心だ」


 そんなことになってボクは驚いたけど、タイガさんの役に立てるなら、領主やってみるよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ