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あるカワウソの物語  作者: Nihon_Kawauso
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第5章 敵


その冬の後半、オッティガは、すべての犬が友好的なわけではないことを知りました。晴れた2月のある日、彼が氷の大きな空気穴のそばに横たわり、日光浴をしていると、大きな猟犬が氷の上を追跡しているのを見ました。彼は、オッティガがその朝、オッター湖の入口から出口まで通った小道に沿って匂いを嗅いでいました。油断せず警戒し、オッティガは猟犬が近づいてくるのを複雑な気持ちで見守っていた。彼はこの見知らぬ動物が敵意を持っているかもしれないことを知っていましたが、彼の鋭い鼻が彼に犬の香りをもたらしたとき、彼は思慕と心の痛みを感じました。この犬が ラグルズのように一緒に遊んでくれたらいいのに!猟犬はカワウソの足跡を追うことに夢中になっていたので、空気穴のすぐ近くに来るまでオッティガに気がつきませんでした。


突然、風が犬にオッティガの新鮮な匂いを運びました。そして、氷を背景に浮かぶオッティガの暗い姿を見つけると、彼は走り始めました。有効的な挨拶とはほど遠く、彼は大声で吠えたてました。獲物を見つけた猟犬の紛れもない叫びでした。オッティガは怯えて水に飛び込みました。彼は氷の端から数フィート離れた空気穴の真ん中に現れました。猟犬はオッティガに届きませんでしたが、激しい吠え声とうなり声を続けました。


オッティガは猟犬が恐ろしい敵であることを知っていましたが、それでも遊びたいという衝動を抑えることができませんでした。彼はほとんど犬のあごが届くところまで泳いで浮かび上がりました。しかし、犬の顎が彼の頭の上でバチッと音を立てて閉じた瞬間に身をかわし、身軽に水を飛び越えて自分の技術を見せびらかしました。オッティガは、猟犬が狂乱状態になるまで、このようにしてからかいました。そしてオッティガは、イルカのように水から飛び上がって犬から約5m離れた氷の端に飛び乗りました。犬は目を血走らせて飛びかかりました、しかしオッティガの動きは彼には速すぎ、あちらにいたかと思うとこちらに現れ、同時にあらゆる所にいました。犬は彼に触ることさえ出来ませんでした。大きくて無様な動物は、足を滑らせ、氷の上に不恰好によろめきました。一方、オッティガの長く低い体と、水かきのある足の裏にある特殊な角質の滑り止めのおかげで、彼は滑らずに優雅に走り、はしゃぎ回ることができました。


オッティガにとっては、その猟犬が自分を傷つけることは出来ないと確信していたので、それは楽しい遊びでした。しかし、彼の喜びが最高頂にまで達し、新しい離れ業を考えていた丁度その時、彼の目が氷の上を這い寄る人影を捉えました。オッティガは氷の下の水に飛び込みました。しばらくして、彼は何が起こっているのかを覗き見することにしました。彼の鼻が氷の端に覗き出た時、犬の主人(氷の上を這ってい他のは彼でした)は彼が持っていた斧をオッティガ目掛けて振り下ろしました。彼はオッティガの鼻を逃しましたが、顎の下のひげの何本かを切り落としました。


オッティガは怯えました。彼は潜り、空気穴の中央に浮き上がり、そこで立ち泳ぎしながら恐怖で叫びました。しかし、彼の助けを求める声に答える者は誰もいませんでした。遠くに、地下に彼の安全な巣穴のある海岸線が見えました。氷の下を泳いで行くには長い道のりでした。息をするための空気穴がどこにあるのかわかりませんでしたが、安全を確保する方法は他にありませんでした。


息を思い切り吸い込むと、彼は氷の下に潜り、暗い海を通り抜けて岸に向かいました。彼は素早く泳ぎ、4本の脚すべてを力強く後方に突き出し、目を大きく見開いて空気穴を探しました。特別性のカワウソの肺により、彼は約5分間水中にとどまることができますが、岸に着くまでにはさらに時間がかかります。泳いでいると、氷の下の表面にしばしば小さな泡の塊があることに気づき、衝動的に浮き上がってその中に鼻を入れました。嬉しいことに息ができることに気づきました。彼の本能に間違いはありませんでした。それは氷の下に閉じ込められた気泡でした。そして、彼は、岸までどんなに遠くても、沢山の小さな空気のかたまりがあれば、自分の巣穴にたどり着けるとわかりました。


オッティガは岸にたどり着くと、中空の氷の長い端の下を泳ぎ、自分で作った地下の巣穴の暖かく乾燥した巣に入りました。疲れ果て、彼はぐっすり眠るために丸くなりました。しかしすぐに、犬が穴の入り口の上の氷を掘ろうとしてクンクン嗅ぐ音と引っ掻く音、そして猟犬の声が聞こえました。オッティガは巣の中でさらに丸くなりました。好きなだけ引っ掻いたり吠えさせておこう、と考え、彼は長く安らかな昼寝をすることにしました。


しかし、疲れた若いカワウソは眠れませんでした。すぐにハンターが斧で氷を切り刻んでいるのが聞こえました。オッティガは水に滑り込み、巣穴の入り口のすぐ外で待ちました。男が切り刻んでいる穴から日光が差し込むのを、彼は静かに見守っていました。穴が十分に大きくなると、猟犬は頭を突っ込み、オッティガの巣の匂いを嗅ぎ、吠えました。オッティガは、猟犬の邪魔な鼻に体を伸ばして噛みつきたいという誘惑に抵抗できませんでした。猟犬は急いで退却し、鼻は噛まれた所から血が流れ、声を限りに吠えました。男は猛烈な勢いで斧を振り下ろし、穴をさらに大きくしました。しかし、オッティガはすでに氷の下を泳いでいました。


彼の巣から岸を少し上ったところに、誰も住んでいない古いビーバーのトンネル(beaver run)があり、約8フィートほど土手に戻っていました。オッティガはここで邪魔されずに眠れることを望んでいましたが、犬の引っ掻いたり吠えたりする音で再び目覚めるまでそう長くはかかりませんでした。猟犬は海岸に沿って追いかけ、ビーバーのトンネルに開いたザリガニの穴からオッティガの匂いを嗅ぎつけました。すぐにハンターも到着し、トンネルの入り口で氷を切り裂き始めました。


この頃になると、オッティガは、彼の邪魔をして眠らせないこのおいぼれ猟犬に本当に腹を立てていました。彼はザリガニの穴から鼻をクンクンいわせている犬に叫びまくるのに忙しかったので、その間に男が氷を切り裂いていました。猟師が彼を閉じ込めそして殺そうとしていることにオッティガはやっと気づきました。オッティガが逃げるには、氷の穴の真下を通過する必要がありました。彼は急いで入り口に向かいました。見上げると、猟師が斧を構え、彼が現れるのを待っているのが見えました。勇気を振り絞って、オッティガは水に向かって飛び込みました。彼にとって幸運なことに、小さなパルプの丸太が、猟師が氷を切り刻んだ場所を横切って横たわっていました。そのため、オッティガが穴の下を走って逃げたとき、男は斧をうまく振ることができませんでした。


オッティガは、新たに習得した氷の下を移動するためのテクニックを使用して、湖をまっすぐ横切って泳ぎました。数ヤードごとに、彼は水から酸素を集めて氷の下の表面に留まった気泡を吸って呼吸しました。彼は湖の流れ込み口(inlet)にある砂州にたどり着くまで泳ぎ続けました。ここでは、氷と水の間に空間ができるように氷が配置(lodge)されていました。2本の丸太の間の乾燥した場所で、オッティガは巣を作り、ここでついに彼は邪魔されずに眠り、疲れを癒すことが出来ました。猟師はオッティガの捜索をあきらめませんでした。しかし、彼は猟犬で湖岸全体をくまなく探しましたが、新たな新鮮な香りは見つかりませんでした。今回はカワウソの隠れ家を暴露するザリガニの穴はありませんでした。


オッティガがその夜早く目が覚めたとき、オッター湖には安全も喜びもほとんど残っていないことに気づきました。その夜、彼は湖を離れ、スタージョン川をたどり、ほとんど氷の下を通って旅をしました。彼は可能な限り、隠れ場である中空の氷の背後にある海岸に沿って走りました。彼はたくさんの食べ物を見つけました - カエル、サッカー、ザリガニ - そして約8マイル川を上ると、非常に素晴らしい池に出くわしました。彼はそこに数週間滞在し、オッター湖に戻りたいという誘惑にも負けませんでした。川をさかのぼってスタージョンフォールズに行くこともあれば、小川をさかのぼってシルバーマウンテンに行くこともありました。この山の斜面の高いところにビーバーが3つの異なるダムを建設していて、それぞれのダムの高さは約20フィートでした。ここは素敵なカワウソの遊び場だったのですが、オティガは近くに人間の匂いを嗅ぎ取りました。インディアンがビーバーに罠を仕掛けていたのでした。オッティガはずっと前に自分で決めたルールに従うという賢い選択をしました。悲しいことですが、彼は小さな川床を下って川に戻りました。

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