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あるカワウソの物語  作者: Nihon_Kawauso
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遊ぶ家族

第12章 遊ぶ家族


子供たちが眠りから覚めたとき、太陽はまだ高い空にありました。あくびをしたり、体を伸ばしたりして、一頭ずつ体を動かしました。どの子も前足を伸ばし、力強いあくびをして頭を上げ、首を伸ばし、体を美しく弓なりに曲げました。それから彼らは新しい家を調べに取り掛かりました。


1つの巣穴は大きな根の下に続き、水から遠く離れていて、川からほぼ28フィートのところにありました。寝ていた巣から約20フィート離れたところに、上から小さな光が差し込んでいるのが見えました。彼らは調査し、2本の倒れた木の間に隙間を見つけました。そこをよじ登って外に出ると、彼らは周り中に厚い茂みを見つけ、松や白樺の木が彼等の頭上にそびえ立っていました。そこはどこからも隔離された素晴らしい隠れ家でした。彼らは急いで穴に戻り、走って行って母親を起こし、発見したものを見に来るように彼女を促しました。ビューティは何も知らないふりをして彼等についていき、彼等が見つけた藪で守られた遊び場を見て、うなづいたりチャックル音を上げました。


子供達はしばらくの間、茂みの中、倒れた丸太の上、木の下を走り回って遊びました。ビューティは彼らに、陸路で川に向かって走るのではなく、常に裏道を通って川岸の下のトンネルに出るように警告しました。彼らが茂みを駆け抜ければ、川岸に沿って移動しているかもしれない敵にそれとわかる印を残し、彼らの家を発見する手掛かりになることを彼女は知っていました。


すぐに子供達は、マスクラットの巣穴の探索が終わっていないことを思い出し、ビューティに木の根の下にある主寝室に戻る道に案内してもらいました。そこから三つの通路が続いていました。1つは下り坂になっていて隠れた横扉に続き、そこは彼等が川から入ってきた道でした。1つは喫水線の真上にある寝室にまっすぐ下っており、この部屋から巣穴が水中に直接外のドアにつながっていました。ドアのすぐ内側には、別の巣穴が2階と3階の部屋に続いていました。主寝室から続く3番目の通路は、急に右に曲がり、川の入り口まで下り坂になっていました。岸辺に沿って外から見ている者は誰でも、ここにドアがあることがわかり、おそらくここがカワウソ達の家の正面入り口だと思うでしょう。しかし、彼らを痛めつけようと目論む敵がこのドアの外で見張っていたら、カワウソ達はこの通路を決して使わないので、彼は長く無駄な時間を過ごすことになるでしょう。それはただの目眩しでした。その代わりに彼等は側面のドアから走り出て、誰にも見られずに水中に滑り込むことが出来ました。安全な出口がないために敵に捕まるということがないように、住まいの各階から通路が、非常出口である側面のドアにつながっていました。


最初、彼らの新しい家は子供達にとって非常に複雑に見えました。しかし、彼らはすぐにすべての通路と部屋に精通しました。彼らは鬼ごっこをしたり、巣穴から巣穴へとお互いを追いかけたりして楽しみました。時々、ブラックホークとトマは、ネセダとオライタを追いかけながら、脇(side)の巣穴を横切って近道をし、行き手を遮りました。それから4頭は山積みになり、キーキー音を立て、転がり、噛み合ったり振り回したりするふりをしました。時々ビューティーのそばを通り過ぎると、彼女は自分の子供たちを捕まえ、ふざけて取っ組み合いをしました。


この屋内でのお騒ぎの後、全ての子供達はビューティに駆け寄り、彼女を泳ぎに誘いました。彼女が許可を与えるまで、誰も巣を出て岸に出かけることはありませんでした。そして、彼女が先導するまで待つ義務がありました。それから彼等は彼女の後に続き、一列縦隊になって進みました。通路から水に滑り込むと、すぐに水面に現れました。数分間、彼らはじっと直立したまま、静かに立ち泳ぎをしました。1つの大きな黒い頭と4つの小さな黒い頭がそよ風のにおいを嗅ぎ、用心深くあたりを見回し、あたりに危険がないか耳を澄ましました。


時刻はまだ夕方頃で、アマガエルが甲高い声で歌っていました。ビューティと子供達は、一列縦隊のまま静かに川を泳いで渡りました。頭、艶のある褐色のアーチ状の背中、そして尻尾、の列が続きました。そして流れを渡り終えると一斉に潜りました。彼らが大きな流木溜まりのすぐ下の傾斜した堤防に着くと、子供達は流木の下を走り出し、鬼ごっこを続け、そして毛を乾かしました。しかし、ゲームが始まった途端にビューティーが彼らを呼び戻しました。オッティガは流木溜まりの西側で、皆んなで一緒に朝食を撮りに出かけるつもりで彼等を待っていました。


空腹で食べ物に飢えている子供達は、オッティガとビューティの後に追って上流に向かって泳ぎ、ブラックホーク、トマ、オライタ、ネセダの順に、親の後ろに一列になって並び、6頭の頭と背中が完璧に同期して水から出入りしていました。少し上流の渦のある所でマス釣りをしていた男が、薄暗い薄明かりの中を彼等が近づいてくるのを見ました。奇妙な茶色の海蛇が、川を滑らかに水面から出たり入ったりし、のたくりながら近づいていました。彼の顎が落ち、恐怖でうずくまりました。長さは少なくとも14フィートあるように見え、オッティガが岸に向かって近づいてくると、漁師は蛇が自分を追いかけてくると確信しました。彼は大きな叫び声を上げ、竿を落とし、森の中を全速力で逃げました。その夜、彼は町で驚くべき話をしました。しかし幸いなことに、彼はあまりにもおびえ、興奮していたので、この怪物を見た場所に戻る道を二度と見つけることが出来ませんでした。


漁師が叫び声を上げた時、驚いたカワウソ達は一斉に飛び込み、水中に散らばりました。彼らが浮上したとき、彼らは互いに大きく離れていました。彼らは慎重に近づき、鼻と目だけを水の上に見せ、川から離れて茂みを通り抜ける漁師の音を聞きながら、動かずに浮かんでいました。それからオッティガは体をまっすぐ上に上げ、水面から十分に引き上げ、岸を見渡そうとしました。すぐに全てが再び静かになりました。オッティガが呼びかけ、ビューティーが同じ低い囀り音で答え、4頭の子供達が点呼を完了しました。彼等は隊列を再編し、急流のふもとへの旅を続けました。そこでは、ごちそうになる大きな歯応えのあるザリガニがたくさん見つかりました。彼等が食べれる限りのものを食べ終えた頃には、闇が迫っていました。


おやつの合間に、ブラックホーク、ネセダ、トマ、そしてオライタは、誰が急流を一番遠くまで泳げるかを競いました。彼らは急流に向かい、激流が渦と滑らかな水に崩壊する所まで全力で泳ぎました。オライタは、急流のふもとから約3ヤードのところにある丸太に最初に到達しました。彼女は部分的に水没した岩を見つけ、後ろ足の滑り止め(calks)でしっかりつかむことができました。これにより、前足の爪で丸太の上部を引っ掛けるのに必要な力が与えられました。意気揚々とオライタは丸太の上に這い上がり、荒れ狂う水の流れの中に留まり、他の子供達に来るように呼びかけました。ネセダがなんとかして彼女に加わるまでに5分以上かかり、その後すぐにトマとブラックホークが続きました。4頭はバランスを取り、滑りやすい古い丸太にしがみつき、笑い声の囀り音を上げ、どの子も乱流の水の中に他の子を押し出そうとしました。誰が一番長く丸太にとどまることができるかを決めるコンテストになりました。


彼等が遊んでいるうちに丸太は徐々に緩み、突然転がり、急流の中に彼等全員を放り出しました。丸太は円を描くように漂い、渦の近くまであっという間に漂い、そこで渦のために速度が落ちました。それから渦が丸太の向きを変え、急流に向かって押し流しました。


子供達はまた丸太に登りました。滑りやすい丸太が転がる度に飛び散って宙返りしました。時々、丸太は泡立つ渦の中に吸い込まれ、4頭の子供達がしっかりとぶら下がったまま姿を消しました。ブラックホークは、丸太が転がっても丸太の上に足を置いて、丸く曲がりくねった表面を確実に踏むコツを得た時、自分自身を非常に誇らしげに思いました。


しばらくすると、オッティガとビューティもゲームに参加し、6頭のカワウソ全員が丸太の上に積み重なって互いに乱闘していましたが、丸太はすぐに彼等の足の下に沈んで見えなくなりました。それから、すべての子供達がオッティガの背中に積み重なって、足と歯で彼の毛皮をつかみました。彼を滑りやすくて茶色の丸太の代わりにしたのでした。オッティガは全員がぶら下がった状態で川底に潜りました。しばらく何も見えませんでしたが、多くの小さな気泡が水面に浮かび上がり、川面が激しく揺れ動いていました。それから、カワウソ、丸太、そして全てが、笑い、鼻を鳴らし、そして急流に負けないくらい水飛沫を上げながら、浮かび上がって来ました。


この激しい遊びに疲れると、家族全員が月明かりの下でゆっくりと流れを下って、流木の山のある島に戻りました。彼らは岸の上に素敵な砂地を見つけ、転がって体を乾かしました。オッティガがあまりにも激しく転がり、子供たちに砂を吹きかけたので、ネセダとオライタは彼を叱責するためにひげを噛みました。オッティガは呻き声を上げ、彼らから逃げようとしているふりをして、島の頂上に逃げました。彼らが彼に追いつきそうになった時、彼は土手に飛び上がり、泥だらけの急な斜面を滑り落ちて下の深い池に落ちました。


興奮したネセダはオッティガと同じようにスライディングを試みました。オッティガは前足を体の下に組み、後ろ足をまっすぐ後ろに伸ばしていました。ネセダは同じような姿勢を試してうまくいきました。しかし途中で彼は速すぎることに気づきました。彼は前足を前に出してブレーキをかけようとしましたが、水の中に頭からひっくり返って落ちてしまいました。今度はビューティが同じ場所で土手を滑り降りました。滑らかな平らなお腹に乗って風を切って滑り、皆んなにお手本を見せました。他の3頭の子供達も彼女の真似をしようとして、時々ぎこちなく転がりながらも、いつも楽しそうな鳴き声を上げました。


彼らは何度も何度も滑り台を滑り落ち、水に飛び込み、岸まで泳ぎ、もう一度やるために頂上まで走りました。子供体が前足を体の下にスムーズに折り畳む方法を学び、素早く簡単に滑り降りることができるようになるまで、時間はかかりませんでした。子供達ちは大きな白い飛沫をあげて水に飛び込みましたが、オッティガとビューティーは非常に熟練しており、滑り台を滑り降りて川に飛び込む時、囁くような風の音と穏やかな水の波紋しか立てませんでした。滑れば滑るほど、滑り台は濡れて滑りやすくなり、滑りやすくなればなるほど、より速く滑ることが出来ました。短時間でカワウソの家族は急な泥の堤防に滑らかな溝を作り、この溝が水面に向かって滑り降りる彼等の体を支えました。

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