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母親カタパルトでロケット

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 う、嘘でしょ。ままま、待って。確かに心の中ではうんざりため息した。しかし外には出してないって!

 だからその恐怖に満ちた顔は勘違い酷いよ母上、私可愛い赤子ぞ? あ、でもここで愛嬌振りまいたら変か? よくわかんなーい私赤ちゃんだからー。みたいな感じが普通か?

 ―――あれ? なにか瞳孔小さくなってるような、そんな尋常じゃない気配が。

 もしかして……本当に不味い?


「た、ため息? 赤子も息くらいは吐くよ落ち着いてヴァノッツァ。自分の子の前でそんな顔はしない方が良い」


 だ、ちょ! 親父いい! 所詮若造かヒステリー起こしてる相手に言葉で道理て! マトモな反応する訳ないだろ。問答無用で行動あるのみと既婚者なら知っとけえええ! まず自分の赤子の安全確保してくださいお願いします。

 落とされそうなくらい抱き方が不安定になってるんです!


「あなたは鈍いのよアルフォンソ! コレは産まれた時からおかしかったの!

 わたくしの子なんかじゃないわ。化け物の子よ! あ―――。い、今もわたくしを見て……いや。いやぁあああっ!」


 投げやがっ!? ぬぁあ! 何とか向きを捻って手で和らげッッッッ!

 ――――――。い、い、い、痛てぇぇぇぇぇ……。


 お、折れてない? ゆっくり手をにぎにぎ……うう、痛いけどやべぇ痛みじゃない。多分。じゃあヒビとかは……大丈夫?

 打撲で済んだ、ぽい。赤ちゃんの軽さが助けてくれたのかも。

 ふぅぅぅ……さっきの血の動き死の感覚な気がする。―――おのれぇ。


「な、なんてことを! この子は何もしていなかったよ。赤子が君に何を出来ると言うんだ。

 ああ……可哀想に。大丈夫かな医者をよぶべきかも。ごめんねチエザ痛かったかい?」


 母上カタパルトでロケット食らった赤子に。

『痛かったかい?』てなんじゃあぁ! ズレてるぞ父ちゃん! 今も痛いし真面目に死んだと思ったのよ。死の先を行く者とはお前の息子だ!


 って、抱きあげないでまだ痛いの。あ―――。なんじゃこらボケ母親。

 この世界の常識がどんなもんか知らないが、赤子投げて大したことにならなかったのは私のお陰だろ。なにビビった目してんだ。私こそちょっと怯えてんだぞ!


「見てる……。今のも赤子なのに動きがおかしかった。

 本物よ。本当の化け物。いや……嫌ぁぁぁあぁぁぁっ!!!!!」


 嫌ぁぁぁっ! と、言いつつご長男の手はきちんと取って逃げるんですね。ペッ!

 てんめぇえ……。理性は重要だ。しかしこれはトサカが光り輝く。

 ヤンのか? ヤンのだな? 良いだろう母上あなたは私の敵だ。

 剣と槍振り回してるあなたを見た時から固めようとしてきた覚悟。どれ程の物かご存知いただこう。

 

 親だろうが何だろうが、実害のある敵への手加減は頭にウジ湧いた感情論。

 ヤルと決めたからにはヤル程度の常識が私にはある。

 野菜髪は土になって植物の贄がお似合いだ!!


「なんてことだ。こんなに可愛いのに。―――可哀想なチエザ。でもお母さんを恨んだら駄目だぞ」


 ……ボケ。

 ボ! ケ! やがったな若造。

 お? お? 身長の四倍の高さからポイ捨てされて恨まんで済むとでも?

 あの妻にしてこの夫ありよ。幾ら可哀想な入り婿だからと容赦してやらんか

「しかし困ったな。これからチエザの世話はどうなるんだろう」


 ああ世話ね。ほんっとおおおおお乳離れしてて良かった。もう離乳食、いや、きちんと噛む理性のある私なら普通の食べ物でも大丈夫。

 まだ母乳を必要としていたらいつ放り投げられるのかと怯える羽目……待て。


 当主がああなったのに、私への食事が用意されるだろうか?


 ―――――――――。あ。まずいです。

 そもそも奇妙な赤子など産まれなかったことにするのが最善手。と、判断されちゃうかも。或いは死産としてしまうか。

 いやいやそんな面倒な細工無用だ。赤子の病死を誰が疑う? しかも母親が顔で泣いて腹で笑えば? 少なくとも私は疑わない。


 …………どないしょ。言葉で説得する? 生後一歳未満なのに、毒を片手に近寄った相手へ立て板に水な感じで赤子殺しは世間体が悪いと?


 ますます化け物言われてしまう。最終手段としては考えておくけど……まずは様子を見るんだ。そう、まま、待とう。慌てて動く馬鹿は死をもらうのだ。


 ……。しかし少しでも良心を軽くしたければ寝てる間にヤっちゃうのでは?

 …………。父上さまー。あなたが今抱いてる重み命の重み。大事にするのは如何です? ね? 殺そうとか考えないように意見をお願いします。それと食事の用意も何とか。


 あなたをヤル気になってたような記憶もありますけど。間違ってました。

 そんなの考えて良い立場ではありません。普通は立てない年頃なだけに。なはは。

 ……私の殺意。伝わってませんよね?

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